インタビューレポート
個人情報の使い方にルールを追加し、悪質な違反には課徴金を科せるようにする法案国民のデータは集めて使うのに、政府の検証は黒塗りで見えないのが不安。本人が提供履歴を見られて、第三者監査と利用停止までできる仕組みが大事だと思う
懸念
一般的な関心・一般市民
2026年5月3日 05:44
インタビューの分量3190文字👫インタビューを受けた人
自分の個人データが国や企業にどう使われるかを気にする一般市民として、マイナンバー連携の推進と行政の黒塗り不開示の多さに強い不信感を持っている。
💬主な意見
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本日はお時間ありがとうございます。個人情報保護法を改正し、AI開発向けデータ利活用の促進・こども保護の強化・課徴金制度の新設などを行う法案について、ご意見をうかがいます。 この法案に、あなたはどういう立場で関わっていますか。
自分の個人データがどう使われるか気になる一般の立場
ありがとうございます。ご自身の個人データの扱われ方が気になる立場なのですね。 今回の個人情報保護法の改正について、現時点でどの程度ご存知ですか。
正直よく知らないのですが、最近国民にはマイナンバーを作る事を強く求めるのに、健康保険証も免許証も一本化を強引に進めるのに、いざ政府側が集めた個人データを使って何をしたか(ワクチンの効果や副反応の真実など)を問うと、まず「黒塗り」で返してくる。数千ページにおよぶ文書の大部分が黒塗り(黒塗りのまま、または全体が不開示)として処理されています。「個人の特定につながる」「公正な事務の遂行に支障が出る」という理由を多用しており、これが「隠れ蓑」になっていますよね、コロナ後遺症関連についても、「最初は隠すが、批判や裁判になると少しずつ出す」という後手後手の対応が目立ちます。こうしたこの「黒塗り問題」と個人情報保護法(およびその関連法)のあり方は、切っても切れない関係にあります。行政機関が情報を隠す際、最も多用される理由が「個人の特定につながる恐れがある」というものです。情報のオープン化と適正な運用が求められてるのは分かってますが、マイナンバーカードと健康保険証の一体化や、医療データの利活用といった局面では、なし崩し的に「利便性」や「データ活用」の名の下にプライバシーが後回しにされている実態があります。えっと…マイナンバーなど国民のデータは国や企業が使いやすいように統合していく。しかし、そのデータに基づいた政策の失敗や検証結果は隠す。という、「情報の非対称性(政府だけが知っていて国民には教えない)」が強い気がします。個人の権利を強化する(自分のデータがどう使われているか監視・停止する権利)よりも、「どうすればデータをスムーズに流通させられるか」という、管理・活用側の視点が先行してやいませんか?
お話を聞いていると、「国や企業はデータを集約して利活用を進める一方で、行政側の説明や検証に関わる情報は“個人情報”を理由に黒塗りになりがちで、情報の非対称性が強まっている」という不信感が根にあるのですね。 まず確認させてください。今回の法改正を考えるうえで、いま挙げてくださった「黒塗り(不開示)」の問題は、どの程度この法案への評価に影響していますか。
政府はAI開発や利活用を促すために、国民のプライバシーという『ダム』の水を流そうとしています。しかし、その水がどう使われ、どんな成果(あるいは失敗)を生んだのかという政府側の情報は黒塗りという堤防でせき止められています。この『国民は透明にされ、政府は不透明なまま』という不平等な関係性が解消されない限り、どんなに立派な法案でも評価はマイナスからスタートせざるを得ません。『こどもの保護』などの良い目的も含まれています。しかし、過去の不開示問題によって、国民の間には『政府が言う「保護」とは、都合の悪い事実を国民の目から保護(隠蔽)することではないか』という深い不信感が根付いています。黒塗りの実態がある限り、『保護』という言葉の誠実さに疑問です。企業への罰則(課徴金)を強めるのは一歩前進ですが、『情報を不当に隠したり、黒塗りにしたりする政府』への罰則がないのは不公平です。民間には厳しく、身内(行政)の隠蔽には甘い法案であるのでは?データの利活用を語る前に、まず『政府が持つ公的な情報の黒塗りを原則禁止し、透明性を確保する』という大原則を法律に組み込むべきです。ダムの下流を広げるなら、まずダムの管理者が信頼に足ることを証明しなければならない…少なくとも誠意を示してほしい。
強い影響がある、ということですね。「国民側のデータは流通させる方向なのに、行政側の検証や説明は黒塗りで止まる」という非対称性が解消されない限り、この法案は評価しづらい、という感覚がよく伝わってきました。 一点だけ確認させてください。今回の法案の中で、あなたが特に警戒感を持つのは、どの部分ですか。
一定の条件のもとに、同意なく個人データが使われるようになること
ありがとうございます。同意なしで個人データが使われる方向に広がる点に、特に警戒感があるのですね。 その「同意なく使われる」ことで、具体的にどんな種類のデータが使われる場面を想像していますか。
政府が言う「一定の条件」は、後からいくらでも解釈を広げられる危うさがあります。結局、政府や企業にとって都合の良い「公共の利益」という名目で、私たちの知らないうちにデータが流されるのではないかという不信感があります。データは一度「同意なし」で流されてしまえば、後から取り消すことも、どう使われたか追いかけることも困難です。これを許すことは、個人の尊厳を放棄させることに等しいと感じます。重要な報告書を「黒塗り」で出すような政府が、裏側で「同意なし」のデータをどう扱うのか、信頼しろという方が無理があります。「一部」ではなく「全部」に対して警戒していますが、特にこの『同意の原則』を形骸化させる項目は、国民を単なる「データの資源」としてしか見ていない証拠だと思うので反対です。勝手に流されることへの恐怖と怒りは伝わってますか?
恐怖や怒り、すごく伝わっています。特に「一定の条件」が後から広げられて、同意の原則が形骸化していくことへの不信感なのですね。 ここで一点だけ、今回の法案の“同意不要”の中心は「統計情報等の作成(AI開発を含む)にのみ利用されることが担保される場合」で、提供先・提供元・取得者の名称や統計作成の内容などの公表、目的外利用や再提供の禁止、書面での合意などの担保措置が前提になっています(いわゆる「何にでも使ってよい」ではない設計です)。 この前提を踏まえた上で、あなたがいちばん「抜け道になり得る」と感じるのは、どのあたりですか。
一番の抜け道は、その『担保措置』の運用状況自体が、また黒塗り(非開示)にされることです。 具体的に言えば… 例えば「社会不安の分析」という名目で、特定の思想や行動パターンを持つ人を抽出するAIの学習にデータが使われても、外側からは「統計作成」という綺麗な言葉で隠せてしまいます。 あとよくあるのが… 提供先の名称などを公表すると言っても、官報の隅っこや、誰も見ないような深い階層のホームページに載せるだけって多い。実質的には「隠している」のと同じです。 最もよくないのが、「再提供の禁止」の監視・罰則が政府に及ばない点です。もし提供先の企業や行政機関がルールを破ってデータを流用したとしても、それを誰がチェックするのでしょうか?チェックする側の政府が、身内の不祥事を「不開示」にする実績がある以上、この禁止ルールは「守られなくてもバレない」抜け道になります。 端的に言えば、「そのルールが守られているかを国民がリアルタイムで、黒塗りなしで検証できる仕組み」がないこと自体が、最大の抜け道です。
ご指摘、すごく筋が通っていると感じます。制度上「公表」「再提供禁止」「目的外利用禁止」があっても、運用の透明性が弱いと“守られているかを外から検証できない”——そこが最大の抜け道、ということですね。 確認ですが、この法案を評価できる方向に動かすには、国民が検証できる仕組みとして「どんな形の公表」が必要だと思いますか。
どうしても色々紐づけてマイナンバーを義務化するのなら… 自分のデータが「いつ、誰に、何の目的で」渡されたのかを、マイナポータル等の個人ページで、個別に詳細を確認・履歴照合できる仕組みが必要です。一括公表ではなく、自分の情報の「行方」を自分自身で追えるようにしてください。発達障害や身障者や難病の人々、デジタル難民の方々には酷なこともあるかと思うけれど、自分で自分を守れるのですから必要な事だと思います。 そうした上で、次に、政府や当事者ではなく、利害関係のない完全な第三者委員会が、運用のルール違反がないかを常時監視し、その監査報告書を「一切の黒塗りなし」で即時に全文公開することを法律で義務付けてください。 私たち自身が公表内容を見て「この研究には使われたくない」「この企業は信用できない」と判断した場合、その場ですぐにデータの利用を停止できるボタンをマイナポータルに設けてください。公表は「見せる」ためだけでなく、各個人が「止める」というアクションを起こすための情報でなければ意味がありません。「公表しています」というアリバイ作りではなく、「国民が監視し、いつでも情報というダムの蛇口を閉められる権限」をセットにした公表。これこそが、不信感を拭うための最低条件です。
具体案まで含めて、強い問題意識が伝わってきました。「自分のデータの行方を個人単位で追えること」と「第三者監査の全文公開」、さらに「本人が止められる仕組み」がセットで必要、ということですね。 今回の法改正について、全体としてどのように評価していますか。
具体案まで含めてお話しいただき、ありがとうございます。 いまのお話を伺う限り、求めているのは「形式的な一括公表」ではなく、①本人が“自分のデータの提供履歴(いつ・誰に・目的)”を確認できること、②利害関係のない第三者監査が常時入り、監査結果が黒塗りなしで出ること、③本人がその場で利用停止できること、という“検証とコントロール”がセットになった仕組みなのですね。 この法案について、制度を設計する人に伝えるとしたら、どんな内容になりますか。
制度を設計する皆さんに、黒塗り報告書を見て絶望した国民の一人として、以下の3点を提案したいです。これが組み込まれない限り、この法案は『国民への裏切り』と同じと思う。 1 「個人情報保護」や「営業秘密」を、政府の不備を隠すための便利な言葉として使うのをやめてください。特に、本人の同意なくデータを扱うのであれば、その運用プロセスにおいて『黒塗り』は一切許されないという不退転の覚悟を条文に書き込んでください。 2 国民を「勝手に使っていい資源」として扱わないでください。マイナポータル等で、いつでも・項目ごとに・ワンタッチで自分の情報の活用を「拒否」できる仕組みを実装してください。国民が『いつでも止められる』と確信して初めて、データは『流していい水』になります。 3 身内の有識者会議で「適切に運用されています」と発表するだけのアリバイ工作はやめてください。ルール違反があった場合、担当者や組織が厳罰に処される仕組みと、その調査過程を国民がリアルタイムで監視できるデジタルダッシュボードを公開してください。 本当に設計すべきは「データを効率よく集める仕組み」ではなく、「一度壊れた信頼をどう回復するかというプロセス」です。 国民を信じない制度設計者に、国民がデータを預けることは二度とないと思って下さい。
率直で具体的な提案をありがとうございます。いまのお話は一貫して「データ利活用の前に、運用の透明性と本人のコントロール権、それを担保する独立監査と厳罰が必要」という問題意識だと受け取りました。 ここまでで事前の質問は一通り伺えましたので、これまでの内容をまとめ、レポートを作成します。
貴重なお話をありがとうございました。いただいた内容をもとに、レポート案をまとめました。ご確認ください。