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実際のインタビュー

デジタル教科書を正式に認めるための法案
期待&懸念

期待&懸念

業務に関係・小学校教員

2026年3月30日 12:59

インタビューの分量1939文字

🎤すべての会話ログ

こんにちは。本日は「デジタル教科書を正式な教科書として認めるための法案」について、感じていることや実感を伺いたいです。 この法案は、あなたの生活や立場とどのように関わっていますか?

教育関係の仕事/経験がある

教育関係のご経験があるのですね。差し支えなければ、そのご経験は「どんな立場・役割」(例:教員、支援員、教材開発、ICT支援、管理職など)に近いですか?

小学校教員(担任)

小学校の担任の先生なのですね。現場感のあるお話が伺えそうで心強いです。 デジタル教科書について、どの程度ご存知ですか?

よく知っている/使ったことがある

ありがとうございます。実際に使ってこられた立場なのですね。 紙とデジタルを比べたとき、学びやすさはどう変わると思いますか?

場面によって使い分けが良い

使い分けが良い、という感覚とても現場的ですね。 その「使い分け」が特に効果的だと感じるのは、授業のどんな場面ですか?

複数回書いて練習するような学習(漢字練習等)は紙の方が優れている 何故なら紙の場合、手を動かす、書いた線を目で見る、書いた字や成果が紙面上に積み上がっていくというプロセスを踏み、学習効果が高まるからだ デジタルでは書き順を動画等で確認するのには向いていると思うが、画面表示サイズ上の制約があり、書いたものを瞬時に見比べたり成果を積み上げて達成感を味合わせるのは難しい 小テストのような場面ではデジタルだと採点や間違った問題に再挑戦しやすいなどのメリットがある

具体的な場面での整理がとても分かりやすいです。漢字練習のように「積み上がり」や「達成感」まで含めて学習効果が出る、という実感なのですね。 そのうえで伺いたいのですが、もしデジタル教科書が「正式な教科書」として位置づけられて、デジタルの比重が今より高まった場合、漢字練習のような“紙が強い”学習は、学校としてどんな運用にするのが現実的だと思いますか?

他国では既にデジタル教科書のみの運用で成績が下がったという調査結果が出されているため、併用するべきだと思っている 特に小学生等デジタル機材に慣れていない子どもの場合、操作に不慣れで時間がかかったり、機器の破壊リスクなどもあったりする しかし学習障害で読み書き等に困難がある児童生徒にはデジタル教科書やハイライト機能・読み上げ機能などは使いやすいツールであるため、併用を強く勧める 紙の教材は残すべきである

併用が前提、というお考えがはっきりされていますね。操作の不慣れや破損リスクといった現場の負担感がある一方で、読み書きに困難のある子には機能面が大きな助けになる、という整理だと受け取りました。 では、デジタル教科書を使うことについて、いちばん気になる懸念や課題は何ですか?

個人的な考えではこの選択肢の中だと、健康面以外の3つです。 学習面、家庭・公平性、学校運用です。 学習面では前にも述べた通り、他国で既にデジタル教科書が使用されて、成績が下がっているという結果が出ています。 家庭・公平性に関しては、家庭環境によっては、保護者が子供の不規則な行動を管理できず、デジタル端末を家庭で破壊してしまったり、充電を忘れてしまったりということが考えられます。そのため私の学校では持ち帰らせていません。 また、ノートと違い、保護者が子どもの学習の進度や内容を素早く把握できない為、子どもの学習内容が保護者にわかるように機能を使いやすくすることと、詳細な操作マニュアルが必要だと思います。 学校運用に関しては、デジタル教材や教科書のデジタルコンテンツも授業内で使わせてもらいましたが、高齢の教員は操作に不慣れですし、教材会社も児童生徒向けのコンテンツ作成に不慣れでノウハウの蓄積がなく、相当苦慮していると思います。(計算問題に答える際、機能的に補助的な計算をするスペースや手書きする機能がないなど) まだ全面移行するにはありとあらゆる課題が多いという印象です。

かなり多面的に課題を捉えていらっしゃいますね。特に「家庭での管理」や「保護者が学習状況を把握しにくい」という点は、紙のノートと違うところで現場のリアルだと感じました。 いま挙げてくださった中で、学校現場でデジタル教科書を正式に扱うようになったとき、運用面でハードルになりそうなのは何だと思いますか?

この選択肢の中だと個人的には研修の難しさと端末通信トラブルが気になります。 教員は成り手が少なく、私の勤務するような地方では高齢の教員や再任用で働いてくださる先生方も多いです。 40代くらいまでの教員はデジタルコンテンツを併用して授業ができている印象ですが、もっと高齢の教員には研修をしても授業のメインとしてはかなり扱いづらいかと思います。 しかし彼らには長年の指導経験の蓄積があります。 デジタルと紙、子どもたちの成長のために、今ある資産(高齢の先生の経験値と若手教員の柔軟さ、紙とデジタル)併用の道を探りたいです。 また私のようにデジタルコンテンツを併用したいと思い、使用することができても、幼い子どもたちは操作が難しかったり、予期さぬ操作をしたり、突然フリーズしたりと紙の教材にはない独自の困難さがあります。 使用するソフトや会社によって操作感が異なり、再起動したり授業時間外(勤務時間外)に自身に操作して慣れたりトラブルシューティングをしたりととにかく時間がかかります。 専門家や、操作の仕方を支援してくれる方が居てくれると大変ありがたいですが、それは教員内では人手が足らず難しいです。

研修の難しさと、端末・通信トラブルによる授業中断や準備負担――どちらも「時間」と「人手」に跳ね返ってくる感じが伝わってきました。高齢の先生方の指導経験という資産を活かしつつ、紙とデジタルを併用したい、という方向性も納得感があります。 最後に1点だけ伺います。 デジタル教科書に関して、制度設計をする人に何か一つ伝えることがあるとしたらそれは何ですか?

私は自身の経験から、紙とデジタルコンテンツの併用を強く勧めます。 しかしどうしても使いたいのであれば、とにかく現場の声を聞いて機能の改善に努めてください。 多くの地域で採用されている教科書会社のデジタルコンテンツでさえ、まだ日が浅くノウハウの蓄積が足りないため、前述した通り子どもの思考に沿ったものになっていません。 (計算問題に対して、補助計算をする機能もスペースもなく、答えのみ選択肢で選ばせるなど) 私たちはあまりに日々の業務に忙しく定期的なアンケートに応えることは難しいですが、例えば長期休暇中は研修出来るくらいには日程に余裕があります。 教育委員会や地域と連携し調査をすれば、どのような機能が現場の先生方に重宝され、子どもたちに必要とされているかわかるはずです。 決して議会や自称有識者の現場の外のみの話し合いで解決することなく、現場の教員たちへ意見を求めて欲しいです。 私たちは残業代を受け取ることもなく、日々研修と研鑽の中で自身の指導力を高め、子どもたちのため、地域のために身を粉にして働いています。

現場の外だけで決めず、紙とデジタルの併用を前提に、教員の声を吸い上げて機能改善に反映してほしい、という強いメッセージだと受け取りました。特に「子どもの思考に沿った設計になっていない」「授業で使うとトラブル対応や慣れるための時間が増える」という点は、制度設計に直結する重要な示唆ですね。 ここまでで事前の質問は一通り伺えましたので、これまでの内容をまとめ、レポートを作成します。

お忙しい中、現場の具体的なお話を丁寧に共有してくださりありがとうございました。ここまで伺った内容でレポート案をまとめました。ご確認いただき、事実関係やニュアンスの違いがあれば遠慮なくお知らせください。

💬意見の要約

意見1

紙とデジタルは併用が現実的

デジタルのみは成績低下の調査もあり不安。操作不慣れや破損リスクもあるため、紙教材を残しつつ使い分けたい。

意見2

書いて積み上げる学習は紙が強い

漢字練習などは、手を動かし成果が紙面に積み上がることで学習効果や達成感が出る。デジタルは比較や積み上げがしづらい。

意見3

現場の声で機能改善と支援体制を

保護者が進度を把握しにくい、教員研修が難しい、端末/通信トラブル対応が負担。長期休暇等を使い現場意見を集め改善してほしい。