災害対応に完璧さは求めず、限られた資源や情報の中でベストを尽くす姿勢が大事。犠牲がゼロでない現実を受け入れ、支援者の無理しすぎない体制が重要。防災大学校は学生だけでなく企業や地域の人も学べる場になり、多様な視点や支援者のメンタルケアを組み込んだ教育を望む。
期待
専門的な有識者・企業防災担当者
2026年5月1日 23:38
インタビューの分量1299文字👫インタビューを受けた人
西日本豪雨で営業エリアが被災し精神疾患を負った経験を経て、現在はグループ本社の防災担当として防災訓練や初動対応計画の実効性検証、従業員の防災意識開発に取り組んでいる防災士。
💬主な意見
市町村への支援と民間企業との連携強化
市町村の体力や資源が限られている現実を踏まえ、防災庁が地区防災計画策定にガイドやファシリテーションの支援をすることで実効性が高まる。また民間企業との連携強化も期待している。
元の回答を見る現実的で体験的な防災教育プログラム
HUGやKUGのようなゲーム形式の教育が有効。理想と現実のギャップを埋めるワークショップやプログラムが必要で、異動直後の担当者向けも含めて実効性のある訓練につなげることが重要。
元の回答を見るメンタルやムードのゾーニングと支援者ケア
避難所運営では身体障害者配置だけでなく、メンタルやムードの違いに応じたゾーニングが必要。支援者のメンタルケアや休息を組み込み、極限状態での判断ミスを前提とした設計が大切。
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こんにちは。本日は、大地震や大災害に国が一体となって備えるために「防災庁」をつくる法案についてお話をお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 まず最初にお伺いしたいのですが、この法案にはどういう立場で関わっていますか?
西日本豪雨で、直接住居や身体に危険はありませんでしたが、営業担当エリアが被災、結果としてPTSDになり、精神疾患を負いました。今は、東京の企業で防災担当をしています。防災士です
そのような経験をされたのですね。西日本豪雨での営業エリアの被災、そしてそれに伴う精神的な負担。そうした経験の中で、今は東京で防災の仕事に携わり、防災士の資格もお持けなんですね。 そこから防災の世界に進まれた背景が感じられます。現在の東京での防災の仕事では、具体的にどのようなことに取り組まれていますか?
グループ本社防災担当で、防災訓練や初動対応計画の実効性検証、従業員の防災意識開発に取り組んでいます。
ありがとうございます。グループ本社での防災担当として、訓練や初動対応、従業員の防災意識開発に取り組まれているのですね。そうした企業防災の現場経験を持たれているからこそ、今回の法案についても現実的な視点からご意見をお持ちだと思います。 では、今回の法案(防災庁の設置、災害対策基本法の改正)について、現時点でどの程度ご存知ですか?
概要は知っている
ご存知ありがとうございます。では、今回の法案について全体としてどのように評価していますか?
良いと思う
良いというご評価ですね。そのように判断された理由として、どのあたりが良いと感じられましたか?
防災の専門部隊ができるのはいいと思う
防災の専門部隊ができることに期待されているのですね。企業防災の現場にいらっしゃる立場から、専門部隊ができることでどのような変化や効果を期待されていますか?
意思決定の速度や、中央防災会議の質が高まるのではないかと期待している。
意思決定の速度や中央防災会議の質が高まるというご期待ですね。企業防災の経験からすると、実際の災害時や事前の計画づくりで、意思決定の遅れが具体的にどんな課題になってきたのか、教えていただけますか?
市町村中心の原則があると思うが、市町村の行政機関の体力や資源によっては、事前に地域防災計画や地区防災計画に資源を割けないと思う。防災庁や中央防災会議でガイドやファシリの支援をしてあげたら、もうちょい地区防災計画の策定や実効性が高まると思う。あと民間企業との連携にも期待したい
なるほど、ありがとうございます。市町村の体力や資源の制約が現実にあって、そこに国からの支援や指導があると、地区防災計画の質が高まるというお考えなんですね。また民間企業との連携にも期待されている。 そうした支援や連携が実現した場合、あなたが今取り組まれている従業員の防災意識開発や初動対応計画の検証は、どのように変わると想像されますか?
地区防災計画は地区が主体的に取り組まなければならないし、企業の防災計画は企業が主体的に取り組まなければならないが、それなりにハードルが高く、いきなりやれと言われてできるもんではないというか、理想と現実にギャップがある。だからワークショップとかプログラムを提供すれば、もうちょい実効性のある計画が立てられるんじゃないかな。訓練にも具体性が高まり、これじゃ無理だねとか、気づきになるとおもう
つまり、理想的な計画づくりと実現可能な計画づくりのギャップがあって、そこをワークショップやプログラムで埋めることで、より実効性のある計画や訓練が生まれるということなんですね。現場の実感として、そういう気づきや修正が起きることで初めて実行力が伴うと。 そうした支援プログラムが防災庁から提供されるとしたら、あなたの企業や地域の防災計画づくりでは、どんなプログラムや支援があると一番役に立つと思いますか?
企業はそれなりに大企業だから結構頑張れてるんだが、異動直後とかだと大変なので、教育プログラムとかはほしいかも。HUG(避難所運営ゲーム)やKUG(帰宅困難者滞留運営ゲーム?)はあまり防災界隈以外では知られてないが、素晴らしい。地域に関しては、消防団や防災会にもっと参加しやすくなるといいと思う。謎が多すぎる、消防団と防災会は
なるほど。HUGやKUGといった実践的なゲーム教材は、確かに防災界隈ではよく知られていますが、広く普及していないんですね。そして地域では、消防団と防災会の役割や関係性が曖昧で、参加しにくいという課題がある。 異動直後の担当者向けの教育プログラムと、地域の消防団や防災会への参加ハードルを下げること。両方とも実効性を高めるには欠かせないということですね。 そこで少し視点を変えてお伺いしたいのですが、今回の法案で、あなたが特に気になっている点はどれですか?
防災教育とそのあり方
防災教育とそのあり方が気になるのですね。今のお話の中でも、HUGやKUGといった教材の普及や、異動直後の教育プログラム、地域の参加ハードルなど、教育・人材育成の課題が重要だと感じておられるんだと思います。 防災庁が設置されて防災大学校という研修施設ができるようになるわけですが、そうした組織ができる中で、あなたが防災教育に関して最も懸念していることは何ですか?
懸念というより期待の方が大きいけど、学生だけでなく、民間企業や地域の人も参加できる研修だといいな
学生だけでなく、民間企業や地域の人も参加できる研修にしてほしいということですね。つまり、防災大学校が開かれた施設として、様々なバックグラウンドを持つ人たちが学べる場になることへの期待なんですね。 そのように多様な人たちが一緒に学ぶことで、あなたが考える具体的なメリットは何ですか?例えば、企業の防災担当者と地域の防災会のメンバーが同じ研修に参加することで、どのような効果が生まれると思いますか?
災害対応には多様な視点が必要だとおもう。
多様な視点が必要だというのは、具体的にはどのような場面で、その多様性が活きると思われますか?例えば、企業の視点と地域の視点、あるいは中央と地方など、どういった視点の違いが災害対応では重要だと感じられていますか?
精神障害や身体障害者への配慮、女性や外国人への配慮、中央や地方といったエリアの違い、さまざまな価値観や視野で対応する必要があると思う
ああ、そうなんですね。精神障害や身体障害、ジェンダー、国籍、地域差、様々な価値観——災害対応にはそうした多様な視点が本当に必要なんですね。西日本豪雨での経験や、その後のPTSDという、あなた自身の経験からもそれが強く感じられるのでしょう。 そうした多様な視点を持つ人たちが防災大学校で一緒に学ぶことで、具体的にはどんな成果が生まれると期待していますか?例えば、避難所運営の計画や訓練の中に、そうした配慮がどう組み込まれていくのか、という点について何かイメージはありますか?
たとえば、私は避難所の空気や人間関係を重視している。悲壮な空気が耐えられないので息抜きしたいひとと、家族の安否が分からずシリアスなひとは、ゾーニングした方がいいと思う。身体障害者の配置とかは聞いたことあるけど、メンタルやムードの違いでのゾーニングはあまり聞いたことない。でも大事だと思う
非常に示唆的なご指摘ですね。避難所の物理的な配置や設備だけでなく、心理的・社会的な雰囲気、つまり「ムード」というかメンタルの状態によってゾーニングするという視点。これは確かに従来の避難所運営ガイドではあまり聞かない。西日本豪雨でのご経験や、その後のPTSDA、そして防災士として学ばれた中でも、そこに気づかれたのは、本当に大切な視点だと思います。 そういった多様な配慮が、防災大学校での研修に組み込まれるとしたら、あなたはどのような形での学習や議論が、最も実効的だと思いますか?例えば、講義形式で学ぶのか、HUGやKUGのようなゲーム形式で体験するのか、それとも別の形か。
ゲーム形式がいいと思う。今ちょうど、WEBアプリで災害対応ゲームを作ろうとしてる。設計思想として、災害対応に100点はないので、そこは大事にしてる
それは素晴らしい取り組みですね。災害対応に100点はないという設計思想。つまり、完璧な正解を求めるのではなく、限られた資源と情報の中で、どう判断し行動するか、という現実的なシミュレーションを重視しているんですね。 そのゲームの中に、先ほどおっしゃっていたメンタルやムードのゾーニングといった視点も組み込まれているんですか?また、そうした「不完全な判断の中での学習」という考え方は、防災大学校の教育プログラムにも組み込まれるべきだと思われますか?
組み込もうとしてる.組み込まれるべき。支援者のメンタルケアや休息もすごく大事だと思うから、極限状態で判断をミスしてしまうこともありうる、平時の備えや有事の際に無理しすぎないことの大事さを設計思想にもりこんでる
非常に重要なご指摘ですね。支援者自身のメンタルケアや、極限状態での判断ミスの可能性、そして「無理しすぎない」ことの大切さ——これは、あなた自身が西日本豪雨後にPTSDを経験されたからこそ、強く実感されている視点だと思います。
ありがとう
こちらこそ、貴重なお話をありがとうございます。防災教育とそのあり方について、多様な視点、メンタルケア、支援者の無理しすぎない体制づくり——本当に深い洞察をお聞かせいただきました。 ここまでのお話を整理すると、あなたが期待されているのは、防災庁や防災大学校が単なる「専門知識の伝達」ではなく、民間や地域を巻き込んで、現実的で多様性を尊重した災害対応を学べる場になることなんですね。 そこで最後にお伺いしたいのですが、この防災庁の設置という制度を設計する人に、何か一つ伝えるとしたら、それは何ですか?
期待してます!いっしょにがんばろう!
ありがとうございます。その前向きで協働的な想いが本当に素敵ですね。西日本豪雨での経験、その後のPTSD、そして今の防災士としての活動——そうした道のりの中で、「いっしょにがんばろう」という言葉が出てくるのは、本当に誠実だと思います。 防災庁の設計者たちにも、あなたのそうした想いや、多様な視点の大切さ、支援者のメンタルケア、現実的で実効性のある教育プログラムへの期待——こうしたことが届いたら、より良い制度づくりにつながるんじゃないかと感じます。 これまでのお話、本当にありがとうございました。これまでの内容をまとめ、レポートを作成いたします。
レポートを作成いたしました。ご確認ください。
100点を目指さないというより、犠牲がゼロというわけにはならないなかで、一人でも亡くなったり犠牲がでているのに100点なんてことはありえないという考えかな。犠牲がゼロなら最高だけど、100点というよりベストを尽くす姿勢が大事だと思う
承知いたしました。ご指摘ありがとうございます。「災害対応に100点はない」というご指摘を、より正確にお聞かせいただきました。現実には犠牲が避けられない状況の中で、完璧を求めるのではなく、限られた条件の中でベストを尽くす姿勢が大事だということですね。その考え方は、支援者の無理しすぎない体制づくりや、メンタルケアへの配慮とも一貫しているんだと感じます。 こうした視点を含めて、レポートを修正させていただきます。