人数を増やすだけなく、省庁間の上位層での協議スキームと平時・災害時の業務分離が必要。形式的な権限より、発言力のある人材と組織の格が重要だと思う。
期待&懸念
業務に関係・自治体防災職員
2026年5月17日 00:21
インタビューの分量1059文字👫インタビューを受けた人
政令市職員として令和元年度に内閣府防災担当へ出向し、防災実務に携わった。その後も市の防災業務に関わり、国と地方の両側面から防災体制を経験している。
💬主な意見
省庁間調整には上位層での協議スキームが必要
所管課・室レベルでは平行線になりやすいため、局長・審議官クラスが対等に協議できるスキームが必要。勧告権だけでは厚労省など他省庁が無視する可能性がある。
平時と災害時の業務を分けた効率的な人員配置
単に352人に増やすと平時に人員が遊ぶことになる。各省庁から災害時に現地派遣する人数を増やすか、兼務制度により平時と災害時の業務を分けた方が効率的。
形式的権限より組織の格と人材配置が実効性を決める
勧告権という形式的な権限より、発言力のある人が交渉に当たるかどうかが大きい。防災庁の政治的位置づけと人事が実質的な機能を左右する。
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こんにちは。本日はお時間をいただきありがとうございます。 大地震や大災害に国が一体となって備えるために「防災庁」をつくる法案についてのインタビューをさせていただきます。まずは、この法案に対して、あなたはどのような立場で関わっていますか?
自治体職員や関係者
ありがとうございます。自治体職員としてのご経験から、防災に関わっていらっしゃるのですね。差し支えなければ、具体的にはどのような業務や関わりの中で、この法案に接するようになりましたか?
自治体名は伏せますが、政令市の職員として、令和元年度に内閣府防災担当へ出向し、防災実務に携わりました。その後令和2年・3年まで市の
そうなのですね。内閣府防災担当への出向経験があり、その後も市の防災実務に関わり続けてこられたということですね。実際に国と地方の両方で防災に携わった経験をお持ちなんですね。 次に、今回の法案について、現時点でどの程度ご存知ですか?
概要は知っている
ありがとうございます。概要をご存知とのことですね。念のため、法案の要点を簡潔にお伝えします。 災害対応の司令塔として、内閣の下に新しく「防災庁」をつくります。専任の防災大臣を置き、他の省庁に対して防災対策を勧告できる権限を持たせます。現在の内閣府の防災チーム(約220人)を352人体制に拡充し、平時の事前防災と災害時の対応を両立できる組織にします。あわせて災害対策基本法も改正し、事前の備えや避難生活の質の向上を新たな理念に加えます。 このような内容になっているのですが、この法案について、全体としてどのように評価していますか?
わからない
なるほど。国と地方の両方の立場を経験されながらも、この法案全体についてはまだ評価がしにくいということですね。 それでは別の角度からお聞きしたいのですが、この法案の中で、あなたが特に気になっている点はどれですか?例えば、防災庁の新設そのもの、省庁を横断して調整する力が本当に機能するか、人員体制の妥当性、地方に作られる防災局の運用など、いろいろな論点があります。
人員・体制の妥当性
人員・体制の妥当性に注目されているのですね。出向経験の中で、実際に内閣府の防災チームの体制をご覧になられたと思いますが、現在の約220人から352人に増やすことについて、どのような印象をお持ちですか?
令和元年度の体制からはその後変わっていることを承知していますが、その後離れてしまったため、詳細は難しいのですが、当時は内閣府防災にも国交省や厚労省の職員も多く出向で来られていました。その中で、最終的には国交省や厚労省などの親元の省庁と調整しなければならないことも多く、単に人数だけ増やせばいいというものでもなかったなと感じています。 例えば、避難所に医療の観点(DMAT)のチームを派遣することは災害救助法の観点として盛り込まれているが、福祉の観点(避難所生活の質の向上)は観点として盛り込まれていないため、厚労省との調整が難航するなどです。 人数を増やすことと、権限を内閣府に強く持たせることの両輪が必要ではないかなと感じています。 ※福祉の件は、私が防災の業務を抜けるころに議論が進んでいるという話も聞きましたので、現在は改善されているかもしれません。
非常に貴重なご指摘ありがとうございます。実務の現場での経験だからこそ見えている課題ですね。 人数を増やすだけでなく、権限の強化が必要という点。具体的には、避難所における福祉の観点での調整が難航したというお話でしたが、その時に感じられたのは、言ってみれば「防災庁が他の省庁に対してどこまで『物を言える立場』にあるか」という問題だったのですね。 今回の法案では、防災大臣が他の省庁に対して「勧告」できる権限を持つことになっています。ただ勧告というのは法的な強制力がないものです。そういった中で、例えば厚労省との調整のような場面で、この勧告権だけで十分に機能すると思われますか?それとも、もっと強い権限や何か別のアプローチが必要だと感じられますか?
省庁間でもそれぞれの施策にはプライドを持っている、悪く言えば縦割りの部分はあると感じており、例えば厚労省でやるべきではない。と判断された場合には、勧告をされても無視するといったことは起こりうると思います。そういった場合には、所管課・室同士で話をしているとまとまらないので、ある程度局長(統括官)や部長(審議官)クラス同士で協議ができるようなスキームになっているとよいように感じます。
なるほど。省庁間の調整では、同じレベルの立場で話をすると平行線になりやすく、より上位の意思決定層で協議できる仕組みが必要というご指摘ですね。そこは実務を経験された方ならではの実感だと思います。 そうすると、防災庁が新しく設置されて、防災大臣が勧告権を持つというだけでは、実際には限界があるかもしれないと。むしろ、防災庁の内部に、例えば局長クラスの責任者が配置されて、各省庁の局長や審議官クラスと対等に『調整のテーブル』に座ることができるような体制が、実質的な力を持つために必要だと感じられているということですね。 言い換えれば、勧告権という形式的な権限よりも、組織としての『格』や『求心力』が重要だということなのでしょうか?
おっしゃるとおりです。形式的な権限に、更に組織としての格や求心力が備わればよりよいと思います。こう言っては身もふたもないですが、発言力のある方が交渉につくかどうかが大きいと思います。
そうですね。最終的には『誰が交渉テーブルに座るか』『その人がどれだけの発言力を持っているか』が現実には大きく影響するということですね。形式的な権限構造だけでなく、人事や人員配置、そして防災庁という組織全体の政治的な位置づけが実質的な機能を左右するということなのだと感じます。 それでは、この防災庁設置法案について、今のお話を踏まえて、制度を設計する人に、何か一つ伝えるとしたら、それは何ですか?
新しい防災庁で設置される組織の機能は、令和元年度に実施していた機能と変わっていないと思っています。確かに災害発生時には被災自治体の応援や出動などで平時の業務が滞るのですが、単に人数を増やすだけでは、平時に人数を遊ばせておくだけになってしまうと思います。それよりは、現在のように国交省や厚労省などの本省から災害時に現地へ派遣する人数を増やす。あるいは制度上可能かどうかはありますが、国交省と防災庁兼務とし、災害発生時のみ防災庁の業務を行うなど、平常時と災害時の業務を分けてしまった方が効率的に運用ができるのではと考えます。
非常に示唆的なご指摘をありがとうございます。つまり、組織の規模を単純に拡大するのではなく、『平時と災害時の業務をどう効率的に組み立てるか』という根本的な問題を考え直すべきだということですね。 令和元年度の経験に基づくと、現在の約220人体制でも、災害が起こると全員が対応に追われて平時の業務が止まってしまう。だから352人に増やすのだが、その増えた人員が平時に遊んでしまっては本来の目的を果たせない。むしろ国交省や厚労省などの各省庁から『災害時専従チーム』を機動的に現地に派遣する、あるいは組織の枠を超えた兼務制度を作るなど、人員配置のあり方を工夫した方が、限られた人的資源をより有効活用できるのではないかということだと理解しました。 それは言ってみれば、『防災庁という箱を大きくするのではなく、災害対応のネットワークを強化する』というアプローチですね。 これまでのお話をお聞きしていて思うのですが、あなたが見ている課題は、法案に書かれた『組織図』や『勧告権』といった形式的な部分ではなく、実際に災害が起きた時に『本当に機能するか』という実務的な運用設計なのだと感じます。 本日は、国と地方の両方の立場からの実経験に基づいた、非常に貴重なご意見をお聞かせいただきました。ありがとうございました。 これまでのお話の内容をまとめて、レポートを作成させていただきたいのですが、いかがでしょうか?
本日のインタビューをまとめたレポート案を以下の通り作成いたしました。内容をご確認ください。 【インタビューレポート】 ■ 主張の要約 人数を増やすだけでなく、省庁間の上位層での協議スキームと、平時・災害時の業務分離による効率的な人員配置が必要。形式的な権限より、発言力のある人材配置と組織としての格が重要。 ■ スタンス 期待と懸念の両方がある(neutral) ■ 立場 業務に関係(work_related) 政令市職員として内閣府防災担当に出向経験あり、国と地方の両側面から防災実務に携わる ■ 主な意見 1. 省庁間調整での課題:勧告権だけでは不十分で、局長・審議官クラスによる対等な協議スキームが必要 2. 人員配置の効率化:平時に余剰人員を抱えるのではなく、災害時に各省庁から現地派遣者を増やすアプローチ 3. 組織の実質的力:形式的権限より、発言力のある人材の配置と防災庁の政治的位置づけが実効性を左右 こちらの内容でよろしいでしょうか?修正がございましたら、お聞かせください。
評価の☆設定を間違えたのでやり直したい
承知いたしました。レポートの評価設定をやり直させていただきます。 情報充実度の各項目について、改めてご確認させていただきたいのですが、現在のスコアリングで修正が必要な箇所はどこでしょうか?それとも、全体的に見直したいということでしょうか? より正確に反映させるため、教えていただけますでしょうか?
間違って☆1つをつけてしまったが、☆4つにしたい
了解いたしました。評価を☆1つから☆4つに変更させていただきます。 どの項目の評価を☆4つに修正されたいのか、教えていただけますでしょうか?