みらい議会みらい議会

ロケット単体の許可対象化は良いと思う一方、政府補償の範囲や、再使用ロケットの責任(環境汚染含む)の線引きが気になる。国際競争には包括許可とEc共通物差しが大事。

期待&懸念

期待&懸念

専門的な有識者・宇宙研究者

👫インタビューを受けた人

学生のみで構成されるチームでハイブリッドロケットを製作し、実際の打上げ実験を経験した宇宙分野の有識者・研究者。現場の運用(関係機関への届け出や周知)にも接点がある。

💬主な意見

意見1

ロケット単体の許可対象化は評価

衛星を載せないロケット単体の打上げが制度上可能になる点は前向きに評価している。

元の回答を見る
意見2

責任の範囲は環境影響まで明確に

再使用型などはガイドライン整備で進めつつ、事故時の第三者賠償の責任範囲、とくに落下物等による環境汚染が漁業・農業に及ぶ場合を明確にしてほしい。

元の回答を見る
意見3

国際競争には包括許可とEc標準化

許可手続の簡素さ・スピードが重要。重量・エンジンが同じなら包括許可し、変更は安全解析の範囲で扱う。Ecの共通物差しと国の統一データ(人口メッシュ、海上・航空密度)が必要。

元の回答を見る

🎤すべての会話ログ

本日はお時間ありがとうございます。「宇宙活動法を施行以来初めて改正し、ロケット単体打上げの許可制度創設と政府補償の対象を拡大する法律」について、感じていることや懸念点を中心に伺います。 この法案にどういう立場で関わっていますか。(1つ選択)

有識者・研究者として宇宙分野に関わっている

ありがとうございます。有識者・研究者として関わっていらっしゃるのですね。 具体的に、どんな研究テーマや活動の文脈でこの法案(宇宙活動法の改正)に接点がありますか?

学生のみで構成されるチームがハイブリッドロケットを制作して、その打ち上げをやったことがある。

学生チームでハイブリッドロケットを製作して、実際に打上げまで経験されているのですね。現場感のあるお立場で伺えるのはとても貴重です。 その打上げのとき、法制度(許可や保険・賠償の扱いなど)で「ここが分かりにくかった/やりにくかった」と感じた点はありましたか?

近くの空港と消防、警察に届けるのと、地元住民に打ち上げ実験をやることを伝えなければならない。だから打ち上げたいと思った時に打ち上げれない。だから他の大学と共同で一緒に打ち上げ実験を行っている。

関係機関への届け出や地元への周知が必要で、思い立ったタイミングで機動的に打上げできない、というご苦労があるのですね。その結果、他大学と合同でまとめて実験する運用になっている、と。 その「打上げたいと思った時に打ち上げられない」点について、実務上いちばんボトルネックになっている手続きはどれですか?

手続きにはあまり関わっていないから何とも言えない。

承知しました。手続き自体にはあまり関わっていないのですね。 では、打上げの計画を立てる側から見て「ここが不確実で予定が組みにくい」と感じた点はありましたか?

あまりないかな。強いて言えば当日の天候(風)ですね。あと打ち上げた機体の捜索時間が変動することですね。

なるほど、制度というより運用面では天候(風)と、機体回収・捜索にかかる時間の変動が読みづらいのですね。 今回の法改正(衛星の打上げ・管理に関する制度)について、現時点でどの程度ご存知ですか。(1つ選択)

断片的に聞いたことがある程度

ありがとうございます。断片的に聞いたことがある程度、ということですね。 今回の改正は大きく言うと、①人工衛星を載せない「ロケット単体の打上げ」も許可の対象に入れる、②事故時の政府補償(民間保険で賄えない部分)をロケット単体の打上げ等にも広げる、という方向です。 この改正を踏まえて、全体としてどのように評価していますか。

政府補償がどれくらい効くのかが気になるね。ロケット単体の打ち上げが出来るのは評価する。

政府補償の効き方が気になる一方で、ロケット単体の打上げが許可対象になる点は評価されているのですね。 ここで伺いたいのですが、政府補償について「どれくらい効くのか」というのは、具体的にはどの部分(補償される損害の範囲、補償される金額の上限、手続きの確実さ・スピードなど)のイメージに近いですか?

補償される損害の範囲

補償される損害の「範囲」が一番気になっているのですね。 その範囲について、いま想定しているのは第三者(周辺住民や施設など)への損害のことですか、それとも打上げ実施者側(機体・設備・関係者など)の損害のことですか?

第三者ですね。でも両方とも気になりますね

第三者への損害が中心で、ただ実施者側も気になる、ということですね。 今回の政府補償制度は基本的に「第三者に生じた損害」について、まず民間保険で賠償し、それでも足りない部分を上限額まで国が補償する建て付けです(打上げ実施者自身の機体・設備の損害を直接補填する仕組みとは別枠です)。 この前提を踏まえて伺いますが、第三者損害の中でも、特に範囲が曖昧だと感じるのはどんなケースですか?

今のところ無いかな

承知しました。現時点では、第三者損害の範囲で「ここが曖昧で困る」という具体ケースは特に思い当たらないのですね。 では、今の法規制の課題・法改正で気になっていることはどれに近いですか?(1つ選択)

今回の許可対象から外れたもの(再使用型ロケットの着陸、ロックーン、サブオービタル等)

ありがとうございます。今回の改正の「許可対象から外れたもの」(再使用型ロケットの着陸、ロックーン、サブオービタル等)が気になっているのですね。 その中でも、特に気になっているのはどの領域ですか?

再使用型ロケット

再使用型ロケットが特に気になっているのですね。 今回の改正では、再使用型ロケットの「着陸そのもの」を法律で明確に許可対象へ入れるというより、施行規則や審査基準(ガイドライン)側の整備で安全確保を明示していく整理になっています。 その前提で伺いますが、再使用型ロケットについて、いま特に気になっているのは「どの場面」の安全やルールですか?

やってないから思いつかない。同じロケットなのに今回の法改正の対象に入ってないことが気になった。

再使用型ロケットは実際に扱っているわけではない一方で、「同じロケットの話なのに、改正の“対象”として明確に入っていないように見える」のが気になった、ということですね。 その点について、制度としては「法律で明確に書かれていないと不安」なのか、「まずはガイドライン整備で柔軟に進める方が良い」のか、感覚としてどちらに近いですか?

ガイドライン整備で進める方が良いと思う

ガイドライン整備で柔軟に進める方が良い、というお考えなのですね。 その場合、ガイドラインに最低限「これは明記してほしい」と思う要素はどのあたりですか?

責任の範囲です

責任の範囲を、ガイドラインに最低限明記してほしいということですね。 ここでいう「責任の範囲」は、主にどの責任を想定されていますか?

事故時の損害賠償責任(第三者への賠償)

事故時の第三者への損害賠償責任を、はっきりさせてほしいということですね。 その「責任の範囲」について、いま特に明確にしてほしいのは、どの線引きですか?

例えば生態系の影響などの環境汚染はどうなのかが気になる

生態系への影響など、環境汚染が「第三者損害」としてどう扱われるのかが気になるのですね。 その環境汚染について、いまイメージしているのは「落下物や推進剤などの物質が地上・海上に残って生じる影響」ですか?

そうです。でもJAXAも中国のロケットも放置しているから問題ないのか?って思う。こちらが把握していないだけかもしれないけど

落下物や推進剤などが地上・海上に残る影響を想定されていて、現状はあまり問題視されていないように見える点に引っかかりがあるのですね(情報が見えていないだけかもしれない、という感覚も含めて)。 その「環境汚染の扱い」を明確にするとしたら、まずどの種類の影響までをルールの対象として書いてほしいですか?

漁業や農業に影響を与えるところまでかな。でもこれ以上のことは正直わからない。

漁業や農業に影響が出るところまでは、少なくともルールの対象として明確にしてほしい、ということですね。わからないところはわからない、と切り分けて話してくださって助かります。 この法案について、制度設計をする人に何か一つ伝えることがあるとしたらそれは何ですか?

これで国際競走を維持できるかは疑問です。

国際競争力の観点で「この改正だけで維持できるのか疑問」という問題意識なのですね。 その疑問は、制度面で言うと「許可手続のスピード・簡素さ」の部分が一番大きいですか?

そうです。スペースxの打ち上げには「同じロケット・同じ条件なら複数回まとめてOK、ただし年間25回まで」という感じで許可手続きの簡素さとスピードが速いです。

許可手続のスピードと簡素さが、国際競争力の肝だということですね。SpaceXの例のように「同一機体・同一条件なら包括的に回せる」設計をイメージされているのも、すごく具体的で示唆があります。 日本でも同様の“包括許可”を入れるとしたら、どんな条件(同一機体の定義、変更があった場合の扱い、回数上限など)を満たせば現実的だと思いますか?

同一機体で複数回まとめて打ち上げれるようにして欲しい。あとその投資に対する税制優遇措置があればして欲しい

同一機体で複数回まとめて打上げられる包括的な許可は、開発サイクルを回すうえで大きいですよね。加えて税制優遇も、投資判断に効くということだと受け取りました。 ここで一点だけ伺いたいのですが、「同一機体」として包括許可の対象にできる範囲は、どこまでを想定されていますか?

同じ重量とエンジンである場合に限ると思う。

重量とエンジンが同じ範囲に限って包括許可、というイメージなのですね。 その条件だと、機体側で変更が起きやすい部分(例えばアビオニクスやソフト、推進剤のロット、射点・飛行経路など)が変わった場合は、どの程度までなら「同一扱い」で回してよいと思いますか?

それらの変更は千差万別です。それでも既存の安全解析でカバーされる範囲であれば良いと思う

既存の安全解析でカバーできる範囲なら「同一扱い」で回してよい、という整理なのですね。現実の開発の回し方にも合っていそうです。 その「既存の安全解析でカバーされる範囲」を判断する際に、制度として基準にしてほしい指標はありますか?

FAAの基準です。例えば Ecを常に下げる設計 • 海上に落とす軌道 • FTSを高信頼化 • 失敗しても被害ゼロ設計

FAAの考え方(被害期待値Ecを下げる設計、海上落下軌道、FTS高信頼化、失敗しても被害ゼロに寄せる設計)を基準にしてほしい、ということですね。 その「Ecを常に下げる設計」を日本の許可・審査の基準に取り込むとしたら、どの段階(設計審査、打上げごとの運用審査、飛行中の監視・中止判断など)で効かせるのが現実的だと思いますか?

1か所で縛るのではなく「3層で効かせる」のが現実的かつ強いです。 特に日本のように慎重な審査文化だと、 ①設計審査で“Ecが下がる構造”を固定化し、 ②運用審査で“Envelope内か”を高速判定し、 ③飛行中は“逸脱したら即Ecを下げる行動(中止)”を自動化する この分担が最も機能します。

3層(設計・運用・飛行中)でEcを効かせる、という整理は、日本の審査文化も踏まえた現実的な設計思想ですね。特に②でEnvelope判定を高速化する、というのは包括許可とも相性が良さそうです。 その②の「Envelope内かを高速判定」を制度に落とし込むとき、Envelopeの中身として最低限固定しておくべき要素は何だと思いますか?

物理値の寄せ集めではなく、 「第三者リスク(Ec)を一意に再現できる最小パラメータ集合」にするべき

物理値の羅列ではなく、「第三者リスク(Ec)を一意に再現できる最小パラメータ集合」にすべき、というご提案ですね。審査の高速化と説明可能性の両立を狙った考え方だと理解しました。 その“最小パラメータ集合”を決めるとき、制度側がまず固定して定義すべきだと思うパラメータは何ですか?

制度側が最初に固定すべきは 事業者がどう設計するかではなくリスクをどう再現・比較するかの座標系です。 つまり、Ecを一意に計算できる共通の物差しを先に固定するのが最優先です

事業者の設計自由度ではなく、Ecを再現・比較するための「共通の物差し(座標系)」を制度側がまず固定すべき、ということですね。かなり制度設計の核心だと思います。 その“共通の物差し”を運用するうえで、Ecの評価に使う人口分布や滞在率などの前提データは、国が統一データを提供する形が良いと思いますか?

それが良いと思う。誰が計算しても同じ値になるのが重要です。

国が統一データを提供して、誰が計算しても同じEcになるのが重要、ということですね。制度の透明性と予見可能性にも直結するポイントだと思います。 その統一データについて、特に国が責任を持って更新・配布してほしいのは「どの種類のデータ」ですか?

人口メッシュ、海上と航空の密度ですね

人口メッシュと、海上・航空の密度データを国が統一的に整備してほしい、ということですね。Ecを計算する入力がぶれると、審査の速さも公平性も崩れてしまうので、重要な示唆だと感じました。 ここまで伺った内容を踏まえると、制度設計としては「Ecの共通物差し+国の統一データ+包括許可(Envelope判定の高速化)」が鍵になりそうです。 このあたりまでで主要な論点は十分伺えたと思うので、これまでの内容をまとめ、レポートを作成します。

お時間いただきありがとうございました。伺った内容をもとに、インタビューの要約レポート案を作成しました。ご確認ください。