インタビューレポート
ロケットの打上げルールを見直して、日本の宇宙産業を強化するための法案宇宙は領有できないけど、打上げの許可で何を何のために上げるか把握し、影響も見ていくのが大事。補償は必要だが、透明性と簡潔な免責、事故レポートや映像で不正を潰してほしい
期待
専門的な有識者・宇宙物理学者
2026年4月11日 10:01
インタビューの分量826文字👫インタビューを受けた人
宇宙物理学の研究者として宇宙分野に関わる立場から、打上げ許可での情報把握・影響評価、政府補償の透明性や免責設計、不正防止の制度要件について意見を述べた。
💬主な意見
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本日は「ロケットの打上げルールを見直して、日本の宇宙産業を強化するための法律(人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案)」について、お考えを伺わせてください。率直なお話で大丈夫です。 この法案にどういう立場で関わっていますか。(1つ選択)
有識者・研究者として宇宙分野に関わっている
ありがとうございます。有識者・研究者として関わっていらっしゃるのですね。 具体的には、どういった研究テーマや業務の文脈で、この法案(打上げ許可の対象拡大や政府補償の拡張など)と接点がありますか?
宇宙物理学の研究者です
宇宙物理学の研究者でいらっしゃるのですね、ありがとうございます。 今回の法改正(衛星の打上げ・管理に関する制度)について、現時点でどの程度ご存知ですか。(1つ選択)
ほとんど知らない
ありがとうございます。では前提をそろえるために確認させてください。 今回の法改正について、現時点でどの程度ご存知ですか。(1つ選択)
知らない
承知しました。では、まずごく短く要点だけ共有しますね。 この法案は主に①人工衛星を載せないロケットの試験打上げも国の許可対象にする、②その場合も事故時の政府補償の対象を広げる、③宇宙葬カプセルのような「人工衛星に当たらない物体」もルールの枠に入れて宇宙ごみ対策を整理する、という内容です。 この法改正について、全体としてどのように評価していますか。
評価している
評価しているとのこと、ありがとうございます。 現時点で、どういった点を「評価している」と感じていますか?
宇宙法において宇宙の領有等は不可能なので管理的な部分が難しい一方、根元の部分で管理が可能だから
なるほど、宇宙そのものの「領有」はできない一方で、地上側・打上げの入口のところは管理できるので、そこを制度で押さえるのが現実的、という評価なのですね。 「根元の部分で管理が可能」というのは、具体的にはどの段階(例:打上げ許可、事前審査、安全基準、損害賠償・補償の枠組み等)を指してお話しされていますか?
許可ですかね どういうものを打ち上げて、何をするのかは知らないとダメだし、それによる影響を環境アセスメント的な感じで評価できると良いと思っている
許可の段階で「何を打ち上げて、何をするのか」を把握して、影響も評価できるようにしていくのが大事、というお考えなのですね。 この法案で許可対象が広がる「人工衛星を載せないロケットの試験打上げ」について、許可の審査で最低限押さえるべき情報は、どんな項目だと思いますか?
ロケットの打ち上げ期間(ウィンドウ込)、
打上げ期間(ウィンドウ含む)を最低限押さえるべき、ということですね。 その「打上げ期間(ウィンドウ)」について、許可審査ではどの粒度まで事前に確定して申請・公開されるのが望ましいとお考えですか?
基本的に全部公開するもんじゃないですかね? 今とか広告はしてますけど、本数が増えたら把握難しくなるでしょうし
公開は基本的に全部、というお考えなのですね。打上げ回数が増えるほど、情報が散らばると把握しづらくなるという懸念もよく分かります。 「全部公開」が望ましいという前提で伺いますが、公開の方法としては、どんな形(例:国の一元的な一覧、射場ごとの一覧、事業者の公表に国が集約、など)が現実的だと思いますか?
ポートが決まってるんでそこで管理するとかがいいんじゃないですかね国→指定管理者→企業で繋がってるといいと思います
射場(ポート)を起点に、国→指定管理者→企業という流れで管理するのが良い、ということですね。 その「指定管理者」には、打上げウィンドウの調整に関してどこまでの権限を持たせるのが望ましいと思いますか?
国が監督者、指定管理者は管理するだけじゃないですかね
整理すると、国は監督で、指定管理者は運用面の「管理」に徹するのが望ましい、というお考えですね。 この法案で、ロケット事故時の政府補償の対象が(人工衛星を載せない試験打上げにも)広がる点については、どのように受け止めていますか?
正直必要。まずH3ロケットの試験失敗で衛星無駄にしてるのも資金面の援助がないから。SpaceXが今強いのは無限の資金力をベースに失敗してもなんとかなる設計が出来ているから。その辺をちゃんと補償しないと未来は暗いと思う
必要だという受け止めなのですね。資金面で「失敗しても次に進める」環境が競争力に直結する、という実感が伝わってきました。 一点だけ補足すると、この法案の政府補償は、開発費の穴埋めというより「打上げ事故で第三者に与えた損害(対人・対物など)」の賠償について国が補償できる範囲を、人工衛星を載せない打上げにも広げる趣旨です(事故1回あたり上限3,500億円)。 この補足を踏まえたうえで、今回の政府補償の拡張で「企業が挑戦しやすくなる」と感じる部分はどのあたりですか?
それこそリスク評価が明瞭になるところでは
リスク評価が明瞭になる点、ということですね。関係者間で「最悪時にどこまでが補償されるか」が見えると、前に進めやすいという感覚はよく分かります。 その「リスク評価」を明瞭にするために、制度として最低限“見える化”されていてほしい情報は何だと思いますか?
免責事項
免責事項の明確化が重要、ということですね。 その免責事項について、どんなケース(どういう状況のとき)を免責として整理しておくのが適切だとお考えですか?
パットは思いつかないが、制度設計として無制限に補償みたいなのは詐欺みたいなスキームが発生するかもしれないという話を想定しています
なるほど、無制限の補償に見えてしまうとモラルハザードや不正スキームの余地が出る、というご懸念ですね。 そうした不正を抑える観点で、補償を受けるための要件として「これが満たされていない場合は対象外」と線を引くとしたら、どんな条件があると効果的だと思いますか?
届出ちゃんとしてるかと、事故プロセスの開示ですかね
届出の適正さと、事故プロセスの開示を要件に、ということですね。透明性が担保されると不正も抑えやすいという発想だと理解しました。 では最後に、この法案について制度設計をする人に「こういう点は必ず押さえてほしい」と伝えるとしたら、どんなことを伝えたいですか?
"公正に"宇宙ビジネスをやる人間が報われる制度設計にして欲しい
おっしゃる「公正に宇宙ビジネスをやる人間が報われる」が、この法案の運用で担保されるとしたら、どんな“仕組み”があると一番効くと思いますか?
透明性と、免責事項の簡潔性
透明性と、免責事項を簡潔にすることが鍵、ということですね。 ここで伺いたいのですが、「透明性」を高めるために、国や指定管理者が定期的に公表してほしい情報には何が含まれるのが望ましいですか?
上がってくる事故レポートの開示とか
事故レポートの開示が重要、ということですね。 その事故レポートは、どの範囲まで公開されるのが望ましいとお考えですか?
個人情報はマスクするくらいでちゃんと出す方がいいんじゃないでしょうか
個人情報はマスクしつつ、基本的にきちんと出すべき、というお考えですね。 今の法規制の課題・法改正で気になっていることはなんですか?(1つ選択)
許可対象が拡張されること(空打上げ・ダミーペイロードなど)
ありがとうございます。許可対象が拡張される点が気になっているのですね。 その点が気になるのは、どのような背景やきっかけがあってのことですか?
補助金スキームみたいな所を危惧しているため。
補助金スキーム的な濫用の余地を心配されているのですね。 「許可対象の拡張」を使って起こり得ると感じている補助金スキームの“具体的な形”(どういう申請・実態だと問題になりそうか)を、差し支えない範囲で教えていただけますか?
実態のない打ち上げをベースに、手を組んだ事業者に対して対物の破損を実行。補助金を過剰に請求し、利潤折半
懸念の具体像がよく分かりました。実態の薄い打上げを“許可”で通し、関係者が結託して対物事故を作り、補償(補助金のように見える支払い)を過剰請求する、という不正シナリオですね。 一点だけ補足すると、この法案の政府補償は基本的に「第三者への損害賠償」を対象にする枠組みで、事業者の開発費を補助する制度そのものではありません。ただ、ご指摘のように“事故を装う/誘発する”ような不正の芽を最初から潰す設計は重要だと思います。 この手の不正を防ぐ観点で、許可審査の段階で必須にすると効くチェックは何だと思いますか?
映像記録や事故の詳細をしっかり書くレポート(補償側)
映像記録と、事故の詳細をしっかり書くレポートを(補償の条件として)求めるのが効く、ということですね。 その「映像記録」について、最低限どの範囲(例:射点周辺、飛行経路、分離イベント、回収物の状況など)を必須にするのが現実的だと思いますか?
基本的に事故が起こるとしたら打ち上げの瞬間〜数分なのでポートと飛行経路の映像、回収物の写真とかあるといいと思います
打上げ直後〜数分の「ポート周辺+飛行経路」の映像と、回収物の写真まで含めるのが現実的、ということですね。具体的でとても参考になります。 ここまで伺った内容を私の理解で整理すると、①許可対象拡張は必要だが、透明性と免責事項の明確化が不可欠、②政府補償はリスクを見える化して挑戦を促す一方、不正(事故の偽装・誘発など)を防ぐ設計が要る、③そのために事故レポート開示や映像記録など“検証可能性”を制度要件にすべき、というお話でした。 このあと、これまでの内容をまとめてレポートを作成します。よろしいでしょうか。
お時間を割いていただき、ありがとうございました。伺った内容をもとに、レポート案をまとめました。内容に誤りや抜けがないか、ご確認ください。