インタビューレポート
先端技術のベンチャー育成を支援する新しい法人を作る法案ディープテックは単独だと人材・資金・規制対応が揃いにくいので集積地は良いと思う。一方で成果映えより検証プロセスや基礎・運用研究、研究の行き詰まりも開示して外部知見が入る仕組みが大事
期待&懸念
業務に関係・起業家
2026年5月9日 19:28
インタビューの分量838文字👫インタビューを受けた人
スタートアップの創業者として、ディープテック領域での人材確保・資金調達・規制対応や、研究支援の評価と透明性が事業化に与える影響の観点から意見を述べた。
💬主な意見
🎤すべての会話ログ
本日は、「先端技術のベンチャー育成を支援する新しい法人を作る法案」について、お考えや気になっている点を伺います。率直に、話しやすい範囲で大丈夫です。 この法案にどういう立場で関わっていますか?
起業・スタートアップ関係者
ありがとうございます。差し支えなければ、その「起業・スタートアップ関係者」としての関わりは、どんな立場に近いですか?
起業家(創業者)
承知しました、創業者の立場から見ての実感を伺えるのはとても大きいです。 今回の法案改正(グローバル・スタートアップ・キャンパス運営法人の設立)について、現時点でどの程度ご存知ですか?
ほとんど知らない
ありがとうございます。前提を短く共有すると、この法案は、東京に整備される「グローバル・スタートアップ・キャンパス」を運営し、大学などの研究成果をスタートアップの創業・事業化につなげるために、国と民間が協力する新しい“認可法人”をつくる内容です(助成、施設提供、知財支援、貸付・出資、人材育成、交流イベントなどを一体で行う想定です)。 この法案について、全体としてどのように評価していますか?
どちらかといえば良い
「どちらかといえば良い」と感じられているのですね。 そう評価するうえで、特にプラスだと思う点はどのあたりですか?
スタートアップは集積地が必要です。 一般には賛否両論があると思いますが、特にディープテックは単体で競争できる分野ではないからです。
集積地の必要性、特にディープテックでは「単体で競争しにくい」という感覚があるのですね。 その「単体で競争できない」と感じるのは、具体的にはどんなリソースや相手(例:設備、人材、資金、顧客、規制対応など)が揃わないから、というイメージに近いですか?
例に上がっているすべてです。
なるほど、設備・人材・資金・顧客・規制対応まで、全部が絡み合っていて単独では揃えきれない、ということですね。 その中でも、このキャンパス型の拠点ができることで「特に改善しそう」と感じるのは、どの要素ですか?
人材、資金、規制対応ですね。
人材・資金・規制対応が特に効きそう、という見立てなんですね。 その中で「規制対応」について、この拠点(新法人)がどう支援してくれると現実的に助かるイメージですか?
業界特有の課題をロビイングする場所として、必要です。 ただし、キャンバスというかたちで、いろんなものを1つにまとめるよりも、同じ研究をしている人たちを1同に集めることが重要です。量子なら量子、宇宙なら宇宙、防衛なら防衛などです。
規制対応を「業界特有の課題をロビイングする場所」として捉えられているのですね。一方で、何でも一つに集約する“キャンパス”より、領域ごと(量子・宇宙・防衛など)に同じ研究・事業の人が集まることが重要、というご指摘もよく分かりました。 その「同じ研究をしている人たちを集める」形にする場合、どういう単位で分けるのが現実的だと思いますか?
テーマを掲げると思うので、そのテーマごとに集めるのがいいと思います。
テーマごとに集めるのが現実的、ということですね。 この法案では、支援する「特定先端技術」の範囲を主務大臣や評議員会の判断で決めていく設計になっていますが、創業者の立場から見ると、その“テーマの決め方”で特に気になるのはどのあたりですか?
アプリケーションだけに偏らない事です。 オペレーションまで含めると、基礎的な基盤技術は共通化できる点が多いと思います。
「アプリケーションだけに偏らないこと」、そして運用(オペレーション)まで視野に入れると基盤技術は共通化できる部分が大きい、という感覚なのですね。 ここで言う「アプリケーションに偏る」とは、具体的にはどういう支援のあり方を指していますか?
テーマ主導になると、末端の目立つキラキラした部分にばかり目が行きがちで、その成果の方が一般受けが良いので、成果を重視するとそちらばかり評価されがちです。 重要なのは、検証可能なプロセスです。これは、例えば数学的な要素だったりします。
おっしゃる通りで、テーマ主導だと「見栄えのする成果」に評価が寄って、地味でも重要な基盤や検証プロセスが埋もれやすい、という懸念なのですね。 その「検証可能なプロセス」を重視する評価にするなら、支援先の選定や進捗評価で、どんな形で見える化されていると納得感が出ますか?
基礎研究と、運用のためのエコシステム研究にも十分に予算が咲かれるべきです。
基礎研究と、運用のためのエコシステム研究にもきちんと予算が割かれるべき、ということですね。 その「運用のためのエコシステム研究」というのは、どういう活動や成果物が含まれるイメージですか?
評価方法から研究させるべきです。評価方法は画一的なものではなく、分野ごとに評価点が異なるはずだからです。
評価方法そのものを研究対象にして、分野ごとに評価点を変えるべき、ということですね。 その「分野ごとに異なる評価点」を設計する場面で、誰が関わる形だと偏りが減ってうまく回りそうだと思いますか?
次の質問に進む
承知しました。では次に進みますね。 今回の法案で、あなたが特に気になっている点はどれですか?
運営法人の透明性やガバナンスは適切か
透明性やガバナンスが特に気になっているのですね。 その点について、現時点でいちばん不安が大きいのは「どんな意思決定」(例:支援先の選定、出資判断、テーマ設定、役員人事など)ですか?
意思決定もさることながら、プロセスの透明化です。 役員人事だけではなく、研究そのもののの開示・評価です。
プロセスの透明化、特に「役員人事」だけでなく「研究そのものの開示・評価」まで含めて見えるようにしてほしい、ということですね。 その「研究そのものの開示」について、最低限ここまでは公開されていてほしい、と思う情報はどのあたりですか?
少なくとも、何を行っているのか、解決しようとしている課題は何何なのか?現状行っていることのアプローチ、成果発表が必要です。 そして、もっと重要なことは現状の課題、行き詰っているところなどです。ここには、その時に研究機関内にない外部知見が入ることで一気に解決に向かう可能性もあるからです。ここがクローズドではだめです。
研究の「何をやっているか」だけでなく、狙っている課題、アプローチ、成果発表に加えて、行き詰まりや未解決課題も開示して外部知見が入りやすくする——ここがクローズドだと機会損失になる、ということですね。 最後に伺います。 この法案について、制度を設計する人に伝えるとしたら、どんな点を重視して設計してほしいですか?
上記です。 外部知見を入れる余地をつくってください。それが、人材の流動性をつくり、イノベーションの活性化に寄与します。
承知しました。外部知見が入る「余地」を制度として確保することが、人材の流動性やイノベーションの活性化に直結する、というお話ですね。 ここまで伺った内容をまとめ、レポートを作成します。
お時間をいただき、ありがとうございました。伺った内容をもとに、レポート案をまとめました。ご確認ください。