インタビューレポート
ロケットの打上げルールを見直して、日本の宇宙産業を強化するための法案申請や安全審査が細かすぎてコンステだと1機ごと認可で間に合わず、米国標準・英語で完結する形に寄せて、必須情報だけに絞るのが大事だと思う
期待&懸念
専門的な有識者・宇宙研究者
2026年4月11日 13:36
インタビューの分量1174文字👫インタビューを受けた人
宇宙分野の有識者・研究者として、衛星利用(地球観測・科学利用)に関わる立場から、打上げ・管理制度の国際標準化と申請実務の負担を問題視している。
💬主な意見
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本日は「ロケットの打上げルールを見直して、日本の宇宙産業を強化するための法律(人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案)」について、お考えを伺います。率直なお話を歓迎しますので、差し支えない範囲でお答えください。 この法案にどういう立場で関わっていますか。(1つ選択)
有識者・研究者として宇宙分野に関わっている
ありがとうございます。有識者・研究者として関わっていらっしゃるのですね。 具体的に、どんな研究テーマや活動の中でこの法改正と接点がありますか?
衛星利用
衛星利用の領域から見ていらっしゃるのですね。 その「衛星利用」の中でも、どういった分野(例:地球観測、通信、測位、科学利用など)に主に関わっていますか?
地球観測、科学利用
地球観測と科学利用なのですね。ありがとうございます。 今回の法改正(衛星の打上げ・管理に関する制度)について、現時点でどの程度ご存知ですか。(1つ選択)
概要は把握している
ありがとうございます。概要は把握されているのですね。 今回の法改正について、全体としてどのように評価していますか。
一部評価している
一部評価、ということですね。どのあたりを評価していると感じていますか?
改正すると決めたところ
改正すると決めた点そのものを評価されているのですね。 その「改正すると決めた」ところについて、どんな狙い(例:民間参入の促進、安全確保、国際競争力、宇宙ゴミ対策など)が特に重要だと捉えていますか?
グローバル標準な法制度である点
グローバル標準に寄せた法制度、という点を重視されているのですね。 「グローバル標準」と感じるのは、今回の改正内容のどの部分ですか?
コンステ対応は必須、また、国内事業者にしかわからないような認可基準を前提とした(例えばクラウドではなくオンプレのみの対応のようなもの)申請書を出させるのは辞めるべき
おっしゃる点、実務上の摩擦が減るかどうかに直結するので重要ですね。 今回の法改正に関連して、「国内事業者にしかわからないような認可基準を前提とした申請」を無くす、という観点で、いま特に問題になっている(または問題になりそうな)申請書類・審査項目はどれですか?
安全審査関連、特にそもそも項目が多くコンステにも関わらず一機ごとに認可が必要では時間と手間がかかりすぎる
安全審査の項目が多い上に、コンステでも「1機ごとに認可」が必要だと時間・手間が大きすぎる、というご懸念ですね。 その「1機ごとに認可」になってしまうことで、運用上いちばん詰まりやすいのはどのタイミングですか?
日本で申請して何度も細かくやり取りをして何ヶ月も待っている間にアメリカではコンステが完成しているでしょう
申請〜照会対応を何度も挟んで数か月待つ間に、海外ではどんどん進んでしまう、という時間軸のギャップが一番のボトルネックなのですね。 その「何ヶ月も待つ」プロセスの中で、特に時間を食っているのはどの局面ですか?
内閣府とのやりとりではないでしょうか
内閣府とのやりとりがボトルネックになっている感覚なのですね。 その「内閣府とのやりとり」の中で、特に長期化しやすいのはどういう種類の照会・差し戻しですか?
本質ではない部分の確認や、海外の資料の翻訳対応など無駄が多かった印象です
本質ではない確認や、海外資料の翻訳対応が積み重なって無駄が多い、というご経験なのですね。 その「本質ではない部分の確認」というのは、どういう種類の指摘(形式面、用語の定義、体裁、重複提出など)を指していますか?
形式、体裁いずれも保守的で、多忙で人がいない民間スタートアップ目線とはほど遠く感じた
形式・体裁面が保守的で、スタートアップの実情から遠い、という肌感覚なのですね。 その「保守的な形式・体裁」のせいで、申請者側で特に負担になっていた作業はどんなものですか?
資料準備と照会対応
資料準備と照会対応が特に重いのですね。 その「資料準備」では、どの種類の資料を揃えるところが一番負担でしたか?
まず申請書のどれに該当するかを自分たちで読み込むところからはじまり、いつまでに何を出すのか、重複や海外標準ではないような内容もあって確認に時間を要する印象だった
申請書のどれに該当するか読み解くところから始まり、期限や提出物の全体像、重複や海外標準とズレた要求の確認に時間がかかる、ということですね。 その「まず申請書のどれに該当するかを読み込む」段階で、いちばん迷いやすいのはどんな点ですか?
何のために必要な情報なのかRequirementがはっきりしないものが多く、また、曖昧なリクエストで答え方が何通りもあるような問だと差し戻しが増える
Requirement(何のために必要な情報か)が明確でない項目や、曖昧で答え方が複数あり得る設問が、差し戻し増の原因になっているのですね。 その「曖昧なリクエスト」の典型例として、どういう設問・項目が思い浮かびますか?
様式で自由記述になっているよう項目全般
自由記述の様式項目全般が、解釈の幅が広くて差し戻しの温床になりやすい、ということですね。 その自由記述項目について、もし制度設計側に求めるとしたら「どういう形での標準化」(例:選択式、記入例の提示、必須/任意の明確化、文字数や観点の指定など)があると一番改善しそうですか?
必須なものだけを聞いて欲しい
必須なものだけに絞って聞いてほしい、という点がいちばん大きいのですね。 その「必須」に絞るとしたら、安全審査の観点ではどの種類の情報を必須として残すべきだと思いますか?
衛星テストの結果など
衛星テスト結果のような、実証に裏打ちされた情報は必須として残すべき、ということですね。 その「衛星テストの結果」について、申請で必須にするなら、どのレベルの粒度(例:サマリーだけ/試験項目ごとの合否一覧/生データまで)を求めるのが現実的だと思いますか?
国として認可したことで国が責任を負うべきところまでは求めるべき(破損リスクなど)
国が認可する以上、国が責任を負うべき範囲(破損リスクなど)に関わる情報は求めるべき、という線引きなのですね。 その「国が責任を負うべき範囲」を、今回の制度の中ではどこまでと考えていますか?
元々あまり負っていないと感じている、国際問題に発展することがない限りは事業者の自己責任になるのではないか
国としては実際にはあまり責任を負っていない感覚で、国際問題に発展しない限り事業者の自己責任に寄りやすい、という見立てなのですね。 その前提で伺いたいのですが、今回の法改正で「国の補償の対象が広がる(人工衛星を載せない打上げでも事故被害を国が補償できる)」点については、どのように受け止めていますか?
国として人工衛星を載せない打ち上げの意義をどのように評価しているのかが気になる
人工衛星を載せない打上げ(試験打上げなど)に、国が補償も含めて関与することの「意義の評価軸」が気になる、ということですね。 国がその意義を評価するとしたら、どんな指標(例:技術成熟度の向上、国内産業育成、安全性向上、国際競争力など)を置くのが適切だと思いますか?
国防以外に意義を感じない
国防以外には意義を感じにくい、というお考えなのですね。 その「国防」の観点で見ると、人工衛星を載せない試験打上げには、どんな価値(例:技術実証、供給網、即応性など)があると捉えていますか?
技術実証には意義があるがいつまで実証をするのかは疑問
技術実証の意義は認めつつも、「いつまで実証を続けるのか」という出口が曖昧だと感じていらっしゃるのですね。 その“実証を終える”判断は、どんな状態になったら妥当だと思いますか?
事業としての出口が見えたら
事業としての出口が見えたら、という基準なのですね。 その「事業としての出口が見える」というのは、どんな状態を指しますか?
IPOやMAなどを経て技術が利用されるなら社会的価値がある
IPOやM&Aなどを経て技術が実装・利用されるなら社会的価値がある、という見立てですね。 その「社会的価値がある」と国が判断するうえで、IPOやM&A以外に、どういう到達点(状態)があれば十分だと思いますか?
国の国防需要を満たすなら存続させる意味もあるかもしれない
国防需要を満たすなら存続の意味がある、という条件付きの見方なのですね。 その「国防需要を満たす」を判断する際に、制度設計側が見るべき基準はどんなものだと思いますか?
即応性やミサイル転用可能性など
即応性や、ミサイルへの転用可能性まで含めて見るべき、というご指摘ですね。安全・産業振興だけでなく安保の観点が制度の前提として重要だ、という問題意識を感じます。 今おっしゃった中で「ミサイル転用可能性」について、今回の法改正の制度設計で特に手当てが必要だと感じるのはどの部分ですか?
手当をする必要があるのか疑問、国として何でもかんでもやるのではなく戦略を示すべき
「手当てが必要か自体が疑問で、国は何でもかんでもやるのではなく戦略を示すべき」というご意見ですね。 その“国として示すべき戦略”は、この法改正に関して言うと、どんな内容を明文化してほしいですか?
米国が毎日のようにロケットを打ち上げている中で日本でまたお金をかけて0からやる意義とゴール
米国が高頻度で打上げている中で、日本が改めてお金をかけて0からやる「意義」と「ゴール」を明確にしてほしい、ということですね。 その「ゴール」について、国がこの法改正とセットでどんな到達状態を掲げるのが適切だと思いますか?
法改正とセットで方針をし示すべき、例えばニュージーランドやオーストラリアのような新興国はむしろ商業化、宇宙産業を盛り上げるためにわかりやすく申請しやすいビジネスを盛り上げるような法律にしている
方針(到達状態)を法改正とセットで示すべきで、NZや豪州のように「商業化を進めやすい、申請しやすい制度」に寄せるべき、というお考えですね。 では伺います。今回の法改正に関して、日本でも「申請しやすい」と実感できる状態にするには、制度上どんな変化があればそう感じますか?
本気で海外から宇宙ビジネスを誘致したいのであれば英語での申請も受け付けるなど
海外から本気で宇宙ビジネスを誘致するなら、英語申請を受け付けるべき、ということですね。 英語申請を可能にするとして、審査のどの部分まで「英語のまま」で完結できるのが望ましいと考えますか?
すべて
全て英語のまま完結できるのが望ましい、ということですね。 その場合、制度設計として「英語で完結」とする対象は、まずどの手続きから始めるのが現実的だと思いますか?
日本での宇宙活動の認可など
宇宙活動の認可手続きから英語で完結させるべき、ということですね。 その「宇宙活動の認可」を英語で受け付けるとした場合、審査が止まりにくくなるように英語で用意すべき提出物(テンプレート化すべき書類)は何だと思いますか?
申請書を米国基準からの抜粋でよくするなど
米国基準に寄せて、そこからの抜粋で足りるようにする、という方向性ですね。 「米国基準からの抜粋でよくする」としたとき、具体的にはどの基準・枠組み(例:FAA/ASTのライセンス関連、NASA/DoD由来の安全要求、保険・責任分担の考え方等)を念頭に置いていますか?
全てです
米国の枠組み全体に寄せるべき、ということですね。 その場合に伺いたいのですが、日本側が独自要件として「これは米国基準に乗せるだけでは足りないので残すべき」と感じる項目があるとしたら、どんなものだと思いますか?
ない
ありがとうございます。日本独自の上乗せは基本的に不要、というお考えなのですね。 では、今回の法改正に関連してお聞きします。今の法規制の課題・法改正で気になっていることは、次のうちどれに近いですか?(1つ選択)
許可や認定を取得するための手続き
承知しました。「許可や認定を取得するための手続き」が気になっているのですね。 その点が気になるのは、どのような背景やご経験からですか?
海外でも手続きの簡略化は話題になるので
海外でも手続き簡略化が議論になる中で、日本も同じ課題意識で見ている、ということですね。 この法案について、制度設計をする人に何か一つ伝えることがあるとしたら、それは何ですか?
施行後に実務面で足枷とならないようにすること、本当に必要なものに絞ることや手続き面でも標準化を進めるが大事だと思います
ありがとうございます。施行後に実務の足かせにならないように、必要最小限に絞りつつ手続きを標準化する、という強いメッセージだと受け取りました。 ここまで伺った内容をまとめ、レポートを作成します。
お時間をいただき、ありがとうございました。伺った内容をもとにレポート案を作成しました。ご確認ください。