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ペイロードの有無で打上げ規制を分けるのは安全・デブリ抑止の目的から技術的に不自然。審査基準は曖昧で保守的になりがちなので、残存リスク(Conditional Ec)で見て海外と競える運用にしてほしい。

期待

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業務に関係・ロケット技術

👫インタビューを受けた人

ロケット電気系の開発と自律飛行安全システム(AFSS)の設計開発、技術提案に携わるエンジニアとして、打上げ安全要求や許認可の実務影響に関心がある。

💬主な意見

意見1

空打上げも規制対象にするのは合理的

規制の本質は安全性と軌道上デブリ抑止で、ペイロード有無はほぼ無関係。線引きに技術的根拠が薄い。

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意見2

適用外だと許可手続きが初動で混乱

顧客ペイロードがないと打上げ許可の適用対象外となり、許可手続きの扱いが曖昧で混乱し、最初の段階でつまづく。

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意見3

手段でなく残存リスク基準へ(Conditional Ec)

判断基準の曖昧さが保守化を招く。米国CFR Part 450のように故障後のConditional Riskを評価し、Conditional Ec等の定量目標で競争条件を揃えたい。

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🎤すべての会話ログ

本日は「ロケットの打上げルールを見直して、日本の宇宙産業を強化するための法律(人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案)」について、お考えや気になる点を伺います。率直なご意見で大丈夫です。 この法案にどういう立場で関わっていますか。(1つ選択)

打ち上げ・衛星運営など、宇宙活動法の対象となる事業に携わっている

ありがとうございます。宇宙活動法の対象事業に携わっていらっしゃるのですね。 具体的に、どんな業務・役割で関わっていますか?

ロケット電気系の開発、および自律飛行安全システムの設計開発のエンジニア及び技術提案

ロケット電気系と自律飛行安全システムまで担当されているのですね。かなり実務に近い立場から見えていることがありそうです。 今回の法改正(衛星の打上げ・管理に関する制度)について、現時点でどの程度ご存知ですか。(1つ選択)

ほとんど知らない

承知しました。では前提を手短にそろえるために確認させてください。 今回の改正は、これまで主に「人工衛星を載せる打上げ」を想定していた許可や政府補償の枠組みを、人工衛星を載せない試験打上げ(いわゆる空打上げ等)や、宇宙葬カプセルのような「人工衛星に当たらない物体」にも広げて、民間の開発を進めやすくする、という方向性です。 この法改正について、全体としてどのように評価していますか。

評価している

評価されているのですね。 その評価に至った背景として、どういった場面や課題感が特に効いていますか?

国がロケット打上げの規制を行う本質的な理由は安全性や軌道上デブリの発生抑止であると考える。この点において、最終軌道投入段にペイロードが乗っているかどうかはほぼ関係がない。その点で規制の対象とするかどうかを分けることに技術的根拠がないと考える。

おっしゃる通りで、「安全性・デブリ抑止」という規制の目的から見ると、ペイロードの有無で線引きする合理性は薄い、という問題意識なのですね。 その見立てを前提に伺いたいのですが、現行制度で「ペイロードがない」ことを理由に、現場としてやりづらさや不確実さが出ていたのは、どのあたりですか?

単純に顧客としてのペイロードを搭載しないと活動法の打上げ許可の適用対象とならないため、許可手続きに混乱が生じる。

なるほど、「顧客ペイロードがない試験打上げ」だと制度の適用外になってしまい、許可手続きの扱いが曖昧になって混乱が出る、ということですね。 その混乱は、手続きのどの段階で特に表面化しますか?

最初の段階でつまづくと考える。

初動でつまづく、という感覚なのですね。 その「最初の段階」というのは、具体的にはどのタイミング(例:事前相談の持ち込み、申請書類の要件確認、審査の入口判断など)に一番近いですか?

私は申請の当事者ではないので、わからない。

承知しました。申請実務の当事者でない立場だと、そこは見えにくいですよね。 では視点を変えて伺います。今回の法改正で、現時点でいちばん気になっている論点はどれに近いですか?(1つ選択)

国際競争力・イノベーションへの影響

ありがとうございます。「国際競争力・イノベーションへの影響」が気になっているのですね。 その点が気になる背景として、どういった事象や兆し(開発スピード、資金調達、試験回数、顧客獲得など)が特に効いていますか?

今回の改正提案対象である「ペイロードなしでも法律の対象とする」かどうかの点ではなく、米国等で導入が進んでいるよりリスク評価ベースな安全確保要求とそれに伴う規制緩和に対し、日本の本法律が求める安全確保策が硬直的になっていないか、常に事業者が同一条件で海外勢と競争できる環境を目指すべきではないか、と考えているから。

問題意識として、日本の安全要求や許認可が「硬直的」だと、海外のリスク評価ベース(性能・リスク基準寄り)の枠組みと比べて競争条件が不利になり得る、ということですね。 ここで伺いたいのですが、現行(または今後の改正後の運用も含めて)日本側の要求が「硬直的だ」と感じるのは、どのタイプの要求に一番近いですか?

審査の判断基準が曖昧で、結果的に保守的になる

なるほど、判断基準が曖昧だと、審査側も事業者側も安全側に寄ってしまって、結果として保守的になる――という感覚なのですね。 その「判断基準が曖昧」と感じるのは、どのあたりの論点(例:飛行安全の評価、地上リスクの見積り、システムの冗長設計の考え方など)で起きやすいですか?

今回カイロス3号機の飛行中断は、ロケット飛行制御系は正常であり、またさらに安全系は1系統生存していたにも関わらず飛行中断が行われている。現在の打上げ基準で上記中断を求める明確な条文はないにもかかわらず。

事例を挙げていただきありがとうございます。機体としては制御系が正常で、安全系も1系統は生存していたのに中断に至った点から、「明確な条文がなくても結果として保守的な判断になり得る」という懸念につながっているのですね。 その観点で伺いますが、制度設計側に求めたいのは、飛行中断(FTS/AFSS)の発動に関する判断基準を、どのレベルまで明文化することですか?

米国の例は参考になるのでは。1故障が発生した後の状態を評価(Conditional Risk Evaluation)し、その残存リスクが一定値を超えた場合に適切な処置をとることを求めている(CFR Part 450)。理想論になってしまうが、安全要求が定めるべきは最終的に達成されるべき残存リスクの定量値であり、その手段ではない。

米国のCFR Part 450のように、故障後の状態を条件付きで再評価して、残存リスクが閾値を超えたら処置(中断など)を求める——「手段の固定」ではなく「定量的な残存リスク目標」を法制度側が示すべき、というご提案ですね。 この考え方を日本の制度に寄せるとした場合、事業者側が示すべき“残存リスクの定量値”は、どんな指標(例:地上被害期待値EC、個人リスクIR、集団リスクなど)で統一するのが現実的だと思いますか?

現在採用されているEcはそのままとしつつ、1故障発生時のConditional Ecがよいと思う。

ありがとうございます。現行で採用されているEcを維持しつつ、故障発生時にはConditional Ecで判断する、という整理が現実的ということですね。 ここまでのお話を踏まえて確認ですが、制度としてConditional Ecを取り入れる場合、閾値(許容水準)は「現行のEc基準と同じ水準」を基本に考えるイメージですか?

当然1故障発生時なので、故障未発生状態でのEcとは値が何桁も異なるはず。具体的な値は他国の事例を見ながらコンセンサスを得ていくしかない。

おっしゃる通りで、故障未発生時のEcと、1故障発生後のConditional Ecでは前提が違うので、同じ桁感で語れないし、閾値設定は国際事例も踏まえて合意形成が必要、ということですね。 この「コンセンサスを得ていく」プロセスについて伺いますが、日本の制度設計としては、どんな進め方(例:暫定値で開始してデータで更新、射場や機体クラス別に段階設定など)が現実的だと思いますか?

まずは保守的な値から始めていき、国民及び事業者の理解が進んでいく中で少しずつ緩和していくのがよいのでは。

ありがとうございます。いきなり緩めるのではなく、まずは保守的な閾値で走らせ、運用実績や理解の醸成に合わせて段階的に調整していく、という設計思想ですね。 ここで一点だけ伺います。その「少しずつ緩和していく」判断をする材料として、どんなデータや実績を主に見ていくのが適切だと思いますか?

端的に打上げの成功事例、成功確率だと思う。あるいは実際に飛行中断が行われた場合、それがどの程度実態に即した事前リスク解析になっていたかも重要なLLである。

ありがとうございます。成功事例の蓄積(成功確率)と、飛行中断が起きた場合の「事前のリスク解析がどれだけ実態に即していたか」の検証が、緩和判断の根拠になるということですね。 ここで確認したいのですが、制度としてその検証を回すなら、飛行中断が起きたときに「何を公開・共有」するのが現実的だと思いますか?

インタビューを終了する

承知しました。ではここでインタビューを終了します。 これまで伺った内容をもとに要点を整理して、レポート(要約)を作成します。

お時間をいただき、ありがとうございました。伺った内容をもとに、要点をレポート案として整理しました。ご確認ください。