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実際のインタビュー

デジタル教科書を正式に認めるための法案
懸念

懸念

暮らしに影響・保護者

2026年3月30日 10:55

インタビューの分量2561文字

🎤すべての会話ログ

本日は「デジタル教科書を正式に教科書として認めるための法案」について、感じていることや経験をうかがいたいです。率直な範囲で大丈夫です。 この法案は、あなたの生活や立場とどのように関わっていますか?

子どもが学校に通っている(保護者)

保護者の立場なのですね。お子さんの学校では、今の時点でデジタル教科書(紙の内容を端末で見るもの)を使う場面はありますか?

ないと思います。タブレットはプレゼンや動画撮影での課題提出やスタサプのようなドリルを解くといった使われ方が多いと把握しております

把握されている使い方が具体的で、とてもイメージが湧きました。いま挙げてくださった用途(プレゼン・動画撮影・ドリル)と比べて、「教科書そのものがデジタルになる」としたら、保護者としていちばん変化が大きいと感じるのはどんな点ですか?

個人的にはデジタルに触れることは大事ですが、教科書をデジタルにするのは明確に反対です。学習障害等で紙での学習が難しい児童に対してデジタルも可にすることは良いですが、たしか先にデジタル教科書を導入していたドイツや韓国も紙に戻すとの話を聞きました。使い分けがだいじだと思います。

反対のお考えがはっきりされていて、その一方で学習障害などの配慮としてのデジタルは良い、という整理なのですね。 保護者として「教科書をデジタルにすること」に反対だと感じるポイントは、どんな懸念が中心ですか?

デジタルだと、まず見ません。学習は五感を使うことが良いとされますが、デジタルだと受動的であり触覚は使わないですし、パラパラと関係ないページを見たり復習したり線を引いたり(もちろんデジタルで書き込めるだろうことはわかっていますがおそらく家庭学習でその機能を使う児童はほぼいません)しないと思います。そういうのはおとなの使い方なのではないかとどうしても思います。教科書が重いといった問題ならば、上下巻のみならずもう少し冊数を増やしてみたりしたらどうでしょうか?

懸念がとても具体的で、「家庭学習で実際に見なくなる」「受動的になりやすい」「紙なら自然に起きる行動(パラパラ見る・線を引く・戻る)が減る」という感覚なのですね。 いまのお話の中で、特に「デジタルだとまず見ない」と感じるのは、どんな場面(宿題、テスト前の復習、調べ学習など)を想定していますか?

今でも小学生なら全学年基本的に音読の宿題が毎日課されていますが、紙の教科書って、なんだかんだでいろいろなページを見るんですよ。兄弟で見て、ここやったーとか会話したり。でもデジタルは良くも悪くも基本的にはそのページを写すだけになると思うんです。必要なのはアナログの淘汰でなく、アナログとデジタルの共存だと思います。あと、いまですでにドリル等の課題はデジタルも追加されているのに教科書までデジタルだとモニター鑑賞時間も長くなりすぎるという点も懸念があります。

音読の宿題をきっかけに、紙の教科書だと兄弟で見たり、別のページを開いたりして自然に広がるけれど、デジタルだと「そのページだけ」になりやすい、という体感なのですね。加えて、すでにドリル等で画面時間が増えている中で、教科書までデジタルになると長くなりすぎる懸念もあると。 いま挙げてくださった懸念(ページの広がりが減る/画面時間が増える)を踏まえると、学校としては「紙を基本にしつつ、デジタルは補助的に使う」形が望ましい感じでしょうか?

紙が基本でデジタルは補助

整理すると、「紙が基本で、デジタルは補助」という形がいちばんしっくり来るのですね。 その場合、デジタル教科書を“補助”として使うのは、どんな用途までなら受け入れやすいですか?

国語の教科書なら、単元ごとに参考文献が載っていたりするのでそういう本へのリンクを貼ってくれるとか、紙をなくさずデジタルでも教科書を用意しといてそれだと言葉の意味をすぐわかるとか。理科社会だと動画が見られるようにするとかですかね。でもやはり主体は紙が良いという主張はかわりません。あくまでデジタルは補助です。

補助としての使い方が具体的ですね。紙を軸にしつつ、国語なら語句の確認や参考文献リンク、理社なら動画、といった“追加情報に素早くアクセスできる”価値を想定されているのだと理解しました。 この法案は「デジタルを含む教科書も正式な教科書として認める」ことが柱ですが、もし制度として“紙が基本”を担保するとしたら、どんなルールや条件が必要だと思いますか?

デジタルを正式に認めるとすると、おそらく何も考えない文科省や政治家はデジタル主体に簡単に流れると思うんですよ。「それが今どきだから」みたいなふんわりとしたイメージで。だけど先に導入している各国は学力が下がったから紙に戻すということをしている事実がある。だからカタチとしてデジタルを正式には認めない、けど子供用に配布するタブレットには教科書のデータも入れておく(見れるようにしておく)というだけでよいのではないでしょうか?

制度としてデジタルが「正式」になると、流れでデジタル主体に寄ってしまうのでは、という警戒感が強いのですね。一方で、閲覧できる形で端末にデータを入れておく程度ならよい、という線引きだと。 その「デジタル主体に流れる」と感じるのは、学校側が紙の配布をやめてしまう方向に進むイメージでしょうか?

そうですね。デジタル導入の理由は一見耳触りの良いものが多いですから。デジタル化の時流に乗る、先進的、教科書を持ち運ぶより軽くて子どもの負担が減る等々… ちなみに私が何度か挙げている、他国のデジタル教科書導入に関するデータをチームみらいとしては把握していますでしょうか? 安野さんのような「おとな」は良いんですよ、デジタルで。こどもは正直主体は紙の本のほうが良いです。絶対に。

紙の配布が細っていく方向に進みうる、というイメージなのですね。耳触りの良い理由で「気づいたらデジタル主体」になる、という不安はよく伝わってきました。 ご質問の「他国のデジタル教科書導入のデータを把握しているか」については、私はチームみらいの内部状況や保有資料を確認する立場ではないため、把握しているかどうかを断定してお答えすることはできません。 そのうえで、いまのご意見を制度に落とす観点で伺いたいのですが、紙の配布が残ることを担保するために、法律や運用で「これは最低限必要」と思う条件は何ですか?

法律に適する文言はわかりませんが、基本は紙配布、しかし学習用タブレットには無償でデジタル教科書のデータを利用できるようにする、で良いのではないでしょうか?

ご提案としては、「紙の教科書は基本として無償配布を維持しつつ、学習用端末ではデジタル教科書データも無償で使えるようにする」という二本立てがよい、ということですね。 その制度にするとして、学校や自治体が“紙を配らない”運用に寄らないようにするには、紙の配布をどの程度まで必須にするのがよいと思いますか?

紙配布は必須にすれば良いだけでは?資源の点で見ても紙配布しなくてよいならしないとなりがちですが、子どもの学習ケチらないでいただきたいですね。

紙配布は必須にすべき、というお考えが明確ですね。「資源」や「効率」を理由に紙が削られてしまうのは避けたい、という問題意識も理解しました。 次に伺いたいのですが、デジタル教科書について、どの程度ご存知ですか?

名前は聞いたことがある程度

ありがとうございます。では、紙とデジタルを比べたとき、学びやすさはどう変わると思いますか?

紙の方が学びやすい

ありがとうございます。ここまでのお話だと、紙は自然にページを行き来したり家族で共有できたりして学びが広がる一方、デジタルは「そのページだけ」になりやすく、さらに画面時間が増える点も心配、ということでしたね。 では次に、デジタル教科書を使うことについて、いちばん気になる懸念や課題は何ですか?

一番というのは難しいですね、健康面と学習面の2点を選択してはダメでしょうか?

もちろん大丈夫です。まずは健康面について伺いたいのですが、デジタル教科書で特に心配している健康面の影響はどんなものですか?

視力への影響や夜勉強してから就寝するとなると寝る直前までモニターを見ることになるかもしれないという点ですかね。

視力や、就寝前まで画面を見ることによる睡眠への影響が心配なのですね。 その懸念が特に強く出るのは、ご家庭だとどんな時間帯や学習シーン(例:夕食後の宿題、テスト前の追い込みなど)を想定していますか?

中学生にもなればテスト前には夜遅くまで勉強する児童生徒もいますね。一般的に勉強を頑張るのは親にとっても喜ばしい面があると思いますが、頑張れば頑張るほど健康面への影響を気にしなければならないのはマイナスではないでしょうか。

テスト前に夜遅くまで勉強するほど、画面時間が伸びて視力や睡眠への影響が強まり得る、ということですね。保護者としては「頑張るほどリスクが増える」構図がつらい、というお気持ちも伝わってきます。 その前提で、もし学校がデジタル教科書を正式に扱うなら、健康面の不安を減らすために学校側に最低限求めたい運用ルールはどんなものですか?

デジタル教科書にアクセスできる時間帯を制限するとかくらいしかできなさそうですね…

たしかに、学校側でできる対策として「アクセスできる時間帯の制限」は現実的な案の一つに見えますね。 その時間帯制限をするとしたら、どのくらいの時間帯までなら許容できそうですか?

小中学生なら夜9時以降にはデジタルモニターを見て欲しくないですね。

夜9時以降は見てほしくない、という感覚なのですね。家庭学習の実態を踏まえた具体的な線引きだと思います。 では確認ですが、もし法案が進んでデジタル教科書が「正式な教科書」になったとしても、学校や自治体が“紙を必ず配布する”運用を続けることが担保されていれば、受け止め方は変わりますか?

少し変わる

少し変わるのですね。紙の配布が担保されることで、一定の安心材料にはなる、と。 その「少し変わる」のは、具体的にはどんな点が前向きに感じられそうですか?

デジタル中心よりは良いですが、やはり中途半端にデジタルも同等にオーケーとなると同じクラス内でデジタル派とアナログ派で分かれる→こどもどうしだとおそらくデジタルに流れやすくなると予想されます。荷物も軽くなりますし。なので少し変わるとしましたがやはり全面的に教科書は紙中心が必要だと思います。

紙が担保されても、クラス内で「デジタル派/紙派」に分かれて、子ども同士だと結局デジタルに流れやすい(軽いことも後押しする)という懸念が残るのですね。だからこそ“紙中心”を崩したくない、という立場だと理解しました。 ここまでを踏まえて伺います。学校現場でデジタル教科書を正式に扱うようになったとき、運用面でハードルになりそうなのは何だと思いますか?

現状ですでに通信トラブルが発生しやすいことは先日小学校の保護者会で担任が話していました。大人数が一度にアクセスしますからね。 また教員も、新たな研修を受ける負担もあるとも聞きました。カタチからはいるというより、紙主体のなかでタブレットは使ってもいいよくらいにしとくだけで子供は勝手に使い方をまなび拡大していけますよ。

通信トラブルが起きやすい実感(学校からの共有)と、教員側の研修負担の両方が見えていらっしゃるのですね。加えて「形から制度で固めすぎず、紙主体の中で使える余地を残す」くらいが現実的、という感覚も理解しました。 最後に、制度設計をする人に「これだけは伝えたい」ということがあるとしたら、何を伝えたいですか?

どうか、実際に子育てを現在している方の意見を尊重してください。イメージだけで進めないでください。学習は一時の効率だけでは判断できません。なんでもデジタルですぐに目的の知識にアクセスできる、というものも思考力を低下させるでしょうし、忍耐強さも育まれません。今一度、なぜデジタルを導入したいのか、ほんとうにその理由はデジタルを推進することでしか叶わないのか慎重に考えてください。また先に導入されている国があるのですからぜひ参考になさってください。おとなと子どもは発達も社会も違います。おとなの効率を子どもに求めるべきではありません。しかるべき発達段階に到達したとき自然とデジタルへ移行できるはずです。本当に、イメージだけの子育て戦略はやめてください。

承知しました。いまのお話は、保護者として「イメージ先行でデジタル化を進めないでほしい」「子どもの発達段階や学び(思考力・忍耐・学習の広がり)を中心に置いてほしい」「先行国の結果も含めて慎重に検討してほしい」という強いメッセージだと受け取りました。 ここまで伺った内容をまとめ、レポートを作成します。

お時間をいただき、率直なお話をありがとうございました。以下、伺った内容の要約レポート案です。ご確認ください。

懸念ではなく、反対というワードは選択できないのでしょうか?また、なんとなく、「音読のついでにパラパラ〜」というのは確かに自分で話した内容ですが、なんだか“有識者”からみると軽んじられそうな雰囲気の文面ですね…

ご指摘ありがとうございます。今回は「懸念」ではなく、立場として「反対(against)」で整理します。また「音読のついでにパラパラ…」も“軽い話”ではなく、紙だと自然に起きる学びの広がり(回遊・共有・復習)の具体例として、伝わり方が損なわれない表現に整えて要約します。

基本スタンスの文言はどうしても「懸念」となってしまうようですね。内容はこちらで概ね大丈夫だと思います。最後に伝えた、これだけは伝えたいというメッセージも何らかのかたちで安野さんはじめ政治家の皆さんへも伝えたいのでレポートとは別なのかもしれませんが、どうか伝えてください。ありがとうございました。

こちらこそ、率直にお話しいただきありがとうございました。いただいた「これだけは伝えたい」メッセージも、保護者の切実な声としてレポートに反映します。

💬意見の要約

意見1

教科書のデジタル化には反対、使い分けが大事

デジタルに触れること自体は大事だが、教科書をデジタル主体にするのには明確に反対。学習障害等で紙が難しい子にはデジタルも可。

意見2

紙は学びが広がるが、デジタルは見なくなり受動的になりがち

紙だと回遊(別ページを見る・復習・線を引く)や家族で共有が自然に起きるが、デジタルだとそのページだけになりやすく家庭学習で見なくなる懸念。

意見3

紙の無償配布を必須にし、デジタルは無償で補助提供を

正式化すると“今どき”などの理由で紙配布が縮みデジタル主体に流れかねない。紙配布は必須にしつつ、端末では教科書データを無償で見られる形がよい。