インタビューレポート
先端技術のベンチャー育成を支援する新しい法人を作る法案防衛省の隣の国有地でやるなら、防衛装備の開発が進む場にしてほしい。国策との整合を計画認可で担保し、有事は防衛省が使える仕組みや財源もセットで大事だと思う。
期待&懸念
業務に関係・起業関係者
2026年5月1日 23:42
インタビューの分量1406文字👫インタビューを受けた人
起業・スタートアップ関係者として、先端技術の事業化支援や研究開発の拠点設計に関心があり、とくに防衛産業の育成と現地現物を前提にした連携のしやすさ(物理的近接性)を重視している。
💬主な意見
🎤すべての会話ログ
本日は、「先端技術のベンチャー育成を支援する新しい法人を作る法案」について、率直なお考えを伺えればと思います。差し支えなければ、まずお立場から教えてください。 この法案にどういう立場で関わっていますか?
起業・スタートアップ関係者
ありがとうございます。次に、この法案そのものについてのご認識を伺いたいです。 今回の法案改正(グローバル・スタートアップ・キャンパス運営法人の設立)について、現時点でどの程度ご存知ですか?
概要は知っている
ありがとうございます。では評価のところから伺います。 今回の法案について、全体としてどのように評価していますか?
どちらかといえば良い
ありがとうございます。「どちらかといえば良い」と感じられたのは、どういった点が効きそうだと思われたからですか?
今回の用地は防衛省の隣接地です。 特に防衛産業の育成が間に合っていない状況において、防衛産業系の研究開発が防衛施設庁の隣接地で行われることは望ましいと考えています。しかし、法案の中には「防衛関連を実施する」という旨の記載がないのが不安な事項です。
お話ありがとうございます。不安に感じられているのは、「場所としては防衛寄りの活用が期待できるのに、法案上は防衛分野に振り切る担保が見えない」という点なのですね。 補足すると、この法案は新法人(先端技術研究成果活用推進機構)を作って、バイオ・気候変動対策・AI/ロボティクスなどを含む“特定先端技術”の研究から事業化までを支援する枠組みで、防衛用途に限定する明文は現状ありません。 この前提を踏まえて伺いたいのですが、もし防衛分野が明確に位置づけられないまま運用が始まった場合、どんな不都合が起きそうだと見ていますか?
防衛品の開発が喫緊の課題にもかかわらず、防衛省の面接地で防衛と関係のないことが行われている現状があります。 防衛産業の育成における課題は、防衛省、研究開発機関、そしてスタートアップが物理的に離れていることです。特に装備品については、ハードウェアを現地現物で見る必要があるため、産業のクラスターが目黒と市ヶ谷の間で形成できないことが大きな問題となっています。
切迫感のある状況感を教えていただきありがとうございます。装備品のように現地現物が必要な領域ほど、物理的な距離がそのまま開発速度や連携の密度に響く、ということなのですね。 今おっしゃった「目黒と市ヶ谷の間でクラスターが形成できない」という点について、距離が原因で具体的にどんな場面で支障が出ていますか?
現地現物のものを見ないといけないということにおいては、距離が遠いがゆえに、同じ防衛装備を作る発注側と受注者側の意思決定が遠くなってしまうということがあります。 これはリモートワークができたとしても、やはり現地現物のものを見るということが必要だと思っています。
なるほど、現地現物を前提にすると「会いに行く/見に行く」コストが上がって、結果として発注側・受注側の意思決定の往復が遅くなる、ということですね。 その前提で伺いたいのですが、この新しいキャンパスや運営法人ができた場合、距離の問題を解くために「最低限ここまでは備えていてほしい」と思う要件は何でしょうか?
国策として実施するものであると思っておりますので、国策との連携性を定期的に担保する仕組みが必要だと思っております。 例えば、独立行政法人であれば中長期計画を主務大臣が認可することになっております。今回は民間主体の法人でありますが、これの学校運営方針に関しても、主務大臣の認可をこの法人が挙げてきたら中長期計画に対して行わなければならないという仕組みにすべきだと思っております。 今の法案の中にそのような条文があるのかどうかを確認した上で、もしなければ、同じような規律が必要だと考えております。 特に戦争などの有事が発生した際には、このキャンパスを軍事クラスターとして使うべきだと思っているので、中長期計画があっても、有事には主務大臣が指揮命令を出せる権限があるようにすべきだと考えています。
ご提案の方向性、よく分かりました。民間主体の認可法人であっても、国策との整合を「計画の認可」や「有事の指揮命令」といった形で担保したい、ということですね。 ここから伺いたいのですが、主務大臣が指揮命令を出せる権限を持たせる場合、その発動条件はどのあたりまで明確に決めておくのが適切だと思いますか?
主務大臣の指揮命令権限は、羈束裁量にする必要はなく、かなり裁量性があってよいと思います。 具体的には、国土交通大臣が海上運送法において運送業者に対して指揮命令が出せるように、任意のタイミングでできるという、国家としてのフリーハンドとしての裁量が必要だと思っております。 学問の自由を盾とした自治はこの法人については認められず、特に防衛省の隣接地であることに鑑みて、学問の自由より国家の意思の方を優先するような法人であるべきだと考えています。
お考えを率直に共有いただきありがとうございます。国家安全保障の観点から、平時から運用の自由度(フリーハンド)を確保しておくべき、という問題意識なのですね。 この点をもう少し具体化したいのですが、主務大臣の裁量で指揮命令できる設計にした場合でも、どんな形の「歯止め」だけは最低限必要だと思いますか?
そうですね。指揮命令をしたとしても、財源の措置は講じなければいけないこととしないといけないと思っております。命令はしたが財源がないという状況では、この法人が運営することができなくなってしまいます。 また、そもそも有事においては、この学業を止めて防衛省の要請に応じられるようなオプション規定も必要だと思っております。これは船のチャーターにおいて、平時は民間船として使うが、有事には防衛省が借り上げるような契約があると思いますが、それに相当するものだと思っております。
ありがとうございます。命令の実効性を担保するには、①命令に見合う財源措置をセットにすること、②有事には教育・研究の通常運用を止めて防衛省要請に応じられる“借り上げ”に近いオプションを制度として持つこと、という整理なのですね。 ここまでのお話を踏まえてお伺いします。 今回の法案で、あなたが特に気になっている点はどれですか?
税金や国有地の使い方が適切か
ありがとうございます。税金や国有地の使い方について気になっておられるのですね。 「適切かどうか」を判断するうえで、どんな状態になっていたら納得できる(適切だと思える)でしょうか?
東京の都心部の土地の使い方につき、有事には防衛省がこの土地を活用できるようなオプションがあるべきだと思っております。
ありがとうございます。国有地を無償で貸し出す以上、「平時はスタートアップ支援に使うとしても、有事には防衛省が使えるオプションが必要」という納得感の条件なのですね。 最後に伺いたいです。 この法案について、制度を設計する人に伝えるとしたら何ですか?
これはもともとオーストラリア軍の駐屯地であった土地であることに鑑みて、有事のために必要な土地であることを忘れないということであります。
ご意見ありがとうございます。土地の来歴も踏まえて、「平時のスタートアップ支援」だけでなく「有事の備え」としての位置づけを制度側が忘れないでほしい、という強いメッセージだと受け取りました。 ここまでで主要な論点は一通り伺えましたので、これまでの内容をまとめ、レポートを作成します。
本日はお時間をいただき、率直なお考えを共有してくださりありがとうございました。ここまでの内容をレポート案としてまとめました。ご確認ください。