💬インタビューレポート
演奏家
CD販売実績を持ち、お店でのBGM利用を通じた音楽の流通について実感的な知見を有する演奏家。
💬主な意見
使用料化による小規模店の利用減少懸念
“飲食店や美容院などの個人経営店では、新たな使用料負担により音楽を流さなくなる可能性が高い。その結果、演奏家の音楽が聴かれる機会が減り、CD購入も減ってしまう負のスパイラルが起こるのではないか。
一律料金設定による負担の不公平性
“使用料を一律に決めると、規模や業態によって負担感が大きく異なる。小規模店にとっては過大な負担となり、たとえ減免措置があっても根本的な解決にはならないと考える。
音楽業界固有施策より全社会的課題への対応を優先
“演奏家にとって本当に必要な支援は、値上げ対応や年金制度、老後保障といった全社会的な課題の解決であり、この法案よりそうした根本的な部分に取り組むべきだと考える。
🎤すべての会話ログ
こんにちは。本日はお時間をいただきありがとうございます。これからお店のBGMで使われた歌手や演奏家にもお金が届くようにする法案についてお話しいただきたいのですが、まずお伺いしたいのですが、この法案にどういう立場で関わっていますか?
音楽の利用者(店舗の経営者等)
ありがとうございます。店舗経営者のご立場なのですね。そうすると、この法案の影響を直接受けられる側のご意見が伺えるということで、とても参考になります。 ではまず、この法案について、現時点でどの程度ご存じですか?
間違えました。演奏家です。
ご指摘ありがとうございます。演奏家のご立場なのですね。そうすると、この法案によって直接恩恵を受ける側のご経験や視点をお聞きできるということで、大変貴重です。 では改めてお伺いします。この法案について、現時点でどの程度ご存じですか?
あまり知りませんでした。
かしこまりました。では簡単にご説明させていただきます。この法案は、お店のBGMで流れる録音音源について、これまで作詞作曲家にしか届いていなかった使用料が、歌手や演奏家、さらにレコード会社にも届く仕組みを作るものです。 そうした背景を踏まえて、今回の法案について、全体としてどのように評価していますか?
どちらともいえない
なるほど、判断が難しいということですね。演奏家のご立場からすると、一方では期待できる面もあり、他方で懸念される面もあるということでしょうか。その判断を左右している理由として、どういった点が大きいですか?
購入したCDをお店で流して頂いているとしたら、特に使用料が欲しいと思わないからです。使用料がかかることで、音楽を流す機会が減ってしまうのではないかと思うからです。
そういうご考え方なのですね。つまり、自分たちのCDを買ってくださったお店で流していただくこと自体が、すでに大事な露出や宣伝になっているという実感をお持ちなんですね。
それは興味深いご指摘ですね。演奏家ご自身が購入されたCDがお店で流れるという、ある意味で最も直接的な利用なのに、使用料を求めないというお考えなのですね。
そうです。既に買って頂いているので。
ありがとうございます。つまり、CDを購入していただいた時点で、演奏家としての対価は既に得られているというお考えなんですね。その上で、さらに使用料を上乗せすることで、お店側の負担が増えて、結果として音楽を流す機会そのものが減ってしまう方が、演奏家にとって不利益になるのではないかというご懸念ですね。 そうすると、この法案によって音楽利用が減少することを懸念されているということですが、その懸念の強さはどの程度ですか?例えば、どのようなお店やどのような場面で特に減ってしまうと予想されますか?
個人で経営しているお店、飲食店や美容院などが思い浮かびました。
なるほど。個人で経営されている飲食店や美容院といった小規模店で、特に音楽利用が減ってしまうリスクを感じられているということですね。 そうした小規模店で利用が減るとすると、演奏家ご自身にとってはどのような影響があると予想されますか?
聴いて頂く機会が減ることです。買って頂いたのに聴いて頂けなければ、意味がないので。お店でCDを流さなくなったら、買うことも少なくなると思います。
ご指摘ありがとうございます。つまり、使用料が必要になることで小規模店がBGMを流さなくなり、それによって演奏家の音楽が聴かれる機会が減る。その結果、新たにCDを購入しようというお客さんも減ってしまう、という負のスパイラルになるのではないかというご懸念なんですね。 それでは、今回の法案で、あなたが特に気になっている点はどれですか?複数ある場合は、その中で一番強く気になっている点を選んでいただけますか?
使用料の決め方
使用料の決め方が一番気になられるのですね。それはなぜでしょうか?どのような背景でその点が気になられますか?
使用料がどのくらいなのかが分からないのですが、最終的には金額次第かと思うので。
なるほど。金額がまだ決まっていないからこそ、その決まり方が重要だということですね。法案では、使用料の金額は施行までの3年間に、文化庁が指定する団体とお店の代表が話し合いで決めることになっているのですが、その決め方のプロセスについてはどのようなご懸念がありますか?
一律に決めたとして、負担に感じるお店も、感じないお店もあると思うので、そこが懸念です。
そうですね、一律の料金だと、規模や業態によって負担感が大きく異なるということですね。演奏家のご立場からしても、小規模店が負担に感じて音楽を流さなくなっては本末転倒だというお考えなのですね。 法案の報告書では、小規模店に対しては減免や減額を検討するよう求められているのですが、そうした配慮が実際に行われることで、あなたのご懸念は軽くなると思いますか?
あまり変わらないと思います。
そうなんですね。つまり、減免や減額の仕組みがあったとしても、根本的な解決にはならないとお考えなのですね。それはなぜでしょうか?減免や減額があっても、なお懸念が残るのはどのような理由からですか?
先ほど申し上げましたが…音楽を聴いて頂く機会が減るのではないかと考えるからです。
承知いたしました。つまり、減免や減額があったとしても、結局のところ小規模店には新たな負担が生じることに変わりなく、その結果として音楽を流す機会そのものが減ってしまうリスクは残るということですね。ご指摘ありがとうございます。 そうしたご懸念を踏まえて、最後にお伺いしたいのですが、この制度を設計する人に、何か一つ伝えるとしたらそれは何ですか?
その他(自由記述)
かしこまりました。では、制度を設計する人に伝えたいことを、自由にお聞かせいただけますか?
今回の制度は特に必要ないように思うので、他の分野で動いてほしいです。
ありがとうございます。つまり、演奏家のご立場からしても、この制度の導入よりも、他の形での演奏家の支援や音楽業界への施策の方が優先されるべきだというお考えなのですね。 「他の分野」というのは、具体的にはどのような施策や分野を想定されていますか?
音楽業界に関わらず、値上げが続いたり、年金が期待できなかったり、老後の心配など、どの業界の人にも関わることから取り組んでほしいです。
ご指摘ありがとうございます。つまり、演奏家の方にとって本当に必要な支援は、音楽業界固有の施策ではなく、全社会的な課題である物価上昇への対応や年金制度、老後保障といった根本的な部分に取り組むことだというお考えなんですね。その方が、結果として演奏家を含む多くの人々の生活を支えることになるということですね。
本日はご多忙の中、貴重なお時間をいただきありがとうございました。演奏家としてのお立場から、この法案に対する率直なご意見をお伺いできました。本インタビューの内容を整理してレポートをまとめさせていただきたいと思います。