みらい議会みらい議会

💬インタビューレポート

高校教員

事業者

高校で情報科を担当する教員。PDFで教科書相当の資料を端末表示して使った経験はあるが、多機能なデジタル教科書は未使用。授業運営上の逸脱利用や端末故障時の対応を懸念している。

回答日2026.3.28 16:10
インタビュー分量61 分 / 1235 文字

💬主な意見

授業中の逸脱利用が一番の課題

電池残量や目の疲れもあるが、授業中に他アプリで遊ぶなどの逸脱利用を常に気にするのが一番授業が回りにくい。

インタビューの前後を読む

BYOD前提なら制限機能と時程連動が必要

専用端末なら安心だが費用面で非現実的。BYODなら他アプリ起動不可の制限が最低限必要で、授業時程を学校が設定し例外日も反映できると理想。

インタビューの前後を読む

端末不具合に備え、代替と共有設計がほしい

端末故障、とくにOS/電源で起動しないのが致命的。代替端末かペア利用で進められる仕組み、複数利用でも回答・履歴が個別に残る設計が望ましい。

インタビューの前後を読む

🎤すべての会話ログ

本日は「デジタル教科書を正式な教科書として認めるための法案」について、感じていることや経験を丁寧に伺いたいと思います。差し支えない範囲で、率直にお話しください。 この法案は、あなたの生活や立場とどのように関わっていますか?

教育関係の仕事/経験がある

教育関係のご経験がおありなんですね。現場の実感が伺えそうで心強いです。 差し支えなければ、その「教育関係の仕事/経験」は、どんな立場(例:学校の先生、支援員、塾・教材、教育行政など)に近いですか?

高校の教員です

高校の先生なんですね。現場目線のお話、とても参考になります。 デジタル教科書について、どの程度ご存知ですか?

ある程度知っている

ありがとうございます。「ある程度知っている」とのことですが、先生ご自身は授業や校務の中でデジタル教科書(紙の教科書と同内容を端末で見るもの)を実際に使った経験はありますか?

PDFで表示する程度のものであれば使ったことはありますが、追加で多機能なデジタル教科書は使ったことがないです。

PDF表示でのご利用経験があるんですね。多機能なデジタル教科書はまだ、という距離感もよく分かりました。 そのPDF表示で使っていたとき、授業の中で「これは便利だった」と感じた場面はありましたか?

視力が良くない人には自由に拡大できて便利なのだろうなあとは思料しますが、そして紙の教科書を持ち運ばなくてもスマホやタブレットを持っていればどこでも見ることができるのは便利なのだろうとは思いますが、授業中においては特に便利と感じることはなさそうです。

なるほど、拡大や持ち運びの利点は想像できる一方で、授業中の手応えとしては「特に便利さは感じにくい」ということなんですね。 授業中に「便利と感じにくい」と思われるのは、どんな点が理由として大きいですか?

電池の残量を気にしなければならないことや、タブレットを操作している生徒が他のアプリなどで遊んだりしていないか気にしなければならないこと、目が疲れることが挙げられます。

挙げてくださった点、どれも授業運営のリアルな負担として想像がつきます(充電管理・逸脱利用の見張り・目の疲れ)。 いま挙げてくださった中で、授業中にいちばん「授業が回りにくくなる」と感じるのはどれですか?

他アプリで遊ぶ/逸脱利用

逸脱利用がいちばん授業を回しにくくする、ということですね。授業の集中や学級経営に直結するので、気を遣う場面が多そうです。 その「他アプリで遊ぶ/逸脱利用」が起きやすいのは、授業のどんな場面だと感じますか?

場面によるというよりは、生徒の授業に対する向き合い方によって起きやすくなるものと感じます。

なるほど、場面というより生徒側の学習態度・向き合い方に左右される、という感覚なんですね。 その前提で、デジタル教科書を正式に教科書として扱う制度になった場合、学校として「逸脱利用を抑えるためのルールや仕組み」を整える必要が出てくると思いますが、先生の現場感としては実現しやすいと思いますか?

デジタル教科書を表示するための専用端末が開発されれば逸脱利用の心配をせずに済むだろうと感じますが、そのためには開発費用やそれを生徒に配付または生徒が購入するための費用がかかることになるのであまり現実的でないと思います。従来のように生徒がすでに持っているスマホやタブレットでデジタル教科書を表示する場合、ルールの実現は難しい気がします。

専用端末なら逸脱利用の心配は減る一方で、費用面が現実的ではなく、BYOD(生徒のスマホ・タブレット利用)だとルール運用が難しいという見立てなんですね。すごく現場的な論点だと思います。 BYODでいく前提だとした場合、先生のご経験上、「これは最低限ないとルールが形骸化する」と感じる条件は何でしょうか?

Chromebookにあるような、他のアプリを起動できないようにする機能があると良いと思います。

Chromebookのように、他アプリを起動できない制限機能が最低限必要、ということですね。まさに運用の肝になりそうです。 その「他アプリを起動できない」制限は、先生としては授業中ずっと強制される形が望ましいですか?

そうですね、授業時間中は適用されて、休み時間は外れるようにできると理想的だと思います。

授業時間中だけ強制で、休み時間は外れるのが理想、ということですね。現実的な落としどころとしてとてもイメージしやすいです。 その仕組みを学校で運用するとしたら、「授業時間中かどうか」の切り替えは、どういうやり方だと現場的に回しやすいと思いますか?

授業時間の時程を学校側で設定できて、例えば短縮授業の日などはその日ごとに時程を設定できて、各生徒の端末の制限に反映させることができる仕組みになっていると理想的だと思います。

学校側で時程を一元設定して、短縮授業などの例外も日ごとに反映できる仕組みが理想、ということですね。かなり運用まで見据えた要件だと感じました。 その仕組みを前提にすると、学校現場でデジタル教科書を正式に扱うようになったとき、運用面でいちばんハードルになりそうなのは何だと思いますか?

端末・通信トラブル対応

端末・通信トラブル対応がいちばんのハードル、ということですね。授業が止まりやすいところなので、先生としてはかなり神経を使われそうです。 先生の現場感として、トラブル対応で特に起きやすいのは「通信(Wi-Fi等)」と「端末(故障・不具合)」のどちらに近いですか?

端末(故障・不具合)

端末の故障・不具合が特に起きやすい、ということですね。授業中に起きると代替手段の用意も含めて負担が大きそうです。 端末の故障・不具合が起きたとき、先生の授業としては「どこが止まる」のがいちばん困りますか?

OSの問題もしくは電源の問題などで、OSが正常に起動しないのがいちばん困る気がします。

OSや電源の問題で起動しないのがいちばん困る、ということですね。授業の入口で詰まってしまう感覚がありそうです。 そういう「起動しない」端末が授業中に出たとき、先生としてはその生徒にどんな代替手段が用意されていると助かりますか?

代替の端末が用意されているか、もしくは起動しない端末が出た場合には他の生徒の端末を一緒に使って授業に出席しても授業の進行に差し支えがないような授業の展開とデジタル教科書の仕組みになっていても良いと思います。

代替端末の用意、あるいはペアで共有しても授業が進む設計が必要、ということですね。現場の負担を減らす現実的な発想だと思います。 「ペアで一緒に使っても差し支えない」形にする場合、デジタル教科書側で最低限できていてほしいことは何ですか?

複数の生徒が利用・回答することができる前提の設計になっていると良いと思います。

複数の生徒が利用・回答できる前提の設計が必要、ということですね。端末不調が出ても授業を止めないための要件としてよく分かりました。 その「複数の生徒が利用・回答できる」設計にするとき、先生としては生徒の回答や学習履歴は「個別に分かれて残る」形が望ましいですか?

そうですね、一人が回答した場合と複数の生徒が回答した場合を個別に扱えると良いと思います。

個別に分かれて残るのが望ましい、ということですね。共有運用をしつつも評価や支援につなげるには重要なポイントだと感じました。 では次に伺います。紙とデジタルを比べたとき、学びやすさはどう変わると思いますか?

場面によって使い分けが良い

場面によって使い分けが良い、という感覚なんですね。現場としても一律に決めにくいところだと思います。 先生のご担当教科・科目の授業を想像したとき、デジタル教科書の方が学びやすくなりそうな場面はどんなときですか?

情報科を担当していますので、実技系全般や、デジタルの仕組みについての内容やマルチメディア関係の内容についてはデジタルだと教えやすいです。

情報科をご担当なんですね。実技やデジタルの仕組み、マルチメディア領域はデジタルの方が教えやすいというのは納得感があります。 その中でも、デジタル教科書があることで「授業が特にやりやすくなる」と感じるのは、どんなタイプの教材(例:動画、音声、インタラクティブな操作、シミュレーション等)ですか?

シミュレーションなどの場面でインタラクティブな操作ができると教えやすいです。また、副次的な資料として動画や音声を視聴させられると生徒の興味を惹きつけられると思います。

シミュレーションでのインタラクティブ操作は教えやすいですし、動画・音声で関心を引けるという期待もあるのですね。 その一方で、デジタル教科書を使うことについて、いちばん気になる懸念や課題は何ですか?

学校運用(準備負担・トラブル・ルール)

学校運用(準備負担・トラブル・ルール)がいちばんの懸念なんですね。先生方の手間や授業の安定性に直結するので、重い論点だと感じます。 その「学校運用」の中でも、特に負担が増えそうだと感じるのはどのあたりですか?

トラブル対応や、使い方が分からない生徒の対応です。

トラブル対応と、使い方が分からない生徒への対応が特に増えそう、ということですね。授業を進めながら個別対応も入ると、先生側の負荷が一気に上がりやすいところだと思います。 最後に、この法案(デジタル教科書を正式な教科書として認める)について、制度設計をする人に何か一つ伝えることがあるとしたら、それは何ですか?

デジタル教科書のメリットもありますが、紙の教科書のメリットもあるので紙をデジタルに完全に置き換えることを目指すわけではないことをしっかりと表明していただきたいと思います。

紙にもデジタルにもそれぞれ良さがあるので、「全面的にデジタルへ置き換えることを目指すわけではない」と制度として明確に表明してほしい、というご意見ですね。現場として安心感にもつながりそうです。 ここまで一通り伺えましたので、これまでの内容をまとめ、レポートを作成します。

お時間をいただき、ありがとうございました。伺った内容をもとにレポート案をまとめました。ご確認ください。