💬インタビューレポート
教育委員会
自治体の教育委員会に配属され、デジタル教科書を正式化する法案の審議動向に関心がある立場。学校現場のICT環境や運用課題(授業設計・端末管理)を業務目線で見ている。
💬主な意見
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こんにちは。本日は「学校においてデジタルを含む教科書を使えるようにする法律案」について、感じていることや影響を伺うインタビューにご協力ください。 この「デジタルを含む教科書を正式な教科書として認める」法案は、あなたの生活や立場とどのように関わっていますか?
自治体・地域の立場で関心がある
自治体・地域の立場で関心をお持ちなのですね。 差し支えなければ、自治体・地域の立場として、この法案に関してどんな業務や役割に関わっている(または関わる可能性がある)状況でしょうか?
教育委員会につ配属されており、審議の行方にとても興味があります。
教育委員会に配属されていて、審議の行方に強い関心をお持ちなのですね。 この法案の中身について、現時点でのご自身の把握はどの程度でしょうか?
名前は聞いたことがある程度
ありがとうございます。現時点では「名前は聞いたことがある程度」なのですね。 前提を少しだけ共有すると、この法案は「紙の教科書を廃止してデジタルに統一する」ものではなく、紙に加えて“デジタルを含む教科書”も正式な教科書として位置づけ、小中では採択された場合に無償給与の対象にする、という内容です。 この法案について、教育委員会の立場でまず気になっている点はどのあたりでしょうか?
デジタルの教科書が強みを増すのは、デバイスの数や質も同様に問われるべきかと思います。例えば、Appleのエコシステムは、iPhone、iPad、MacBookといったマルチデバイスにより有効的な利用が可能だと思います。 一方、小中学校で配布されるのはせいぜいiPad一枚だと思います。その状態だとまだまだ紙の教科書と参考書といった方法の方が有効に思えてしまいます。
なるほど、デジタル教科書の効果は「端末の数や質(環境)」とセットで考えるべき、というご懸念ですね。特に、学校で配布される端末が1人1台程度だと、紙+参考書の方が実用的に感じられる、という感覚もよく分かります。 まず確認したいのですが、いま想定されている「端末が1台だと厳しい」という点は、どんな学習場面で強く出ると見ていますか?
従来の学びのスタイルだと、例えば教科書や電子黒板を見ながらロイロノートのようなアプリケーションで意見を入れてみたりといったことをしていると思います。ここに教科書が同じ端末で使うとなると、アプリスイッチングが必要になるのではないかと思います。
お話のとおり、同じ端末上で「教科書」と「ロイロノート等の作業アプリ」を行き来することになって、切り替え(アプリスイッチング)が学習の流れを止める、という懸念ですね。 そのアプリスイッチングによる負担は、主にどの立場(児童生徒/教員)に大きく出ると見ていますか?
児童生徒
児童生徒に負担が大きく出る、という見立てなのですね。 その負担は、児童生徒の中でもどの学年層で特に強く出そうだと感じますか?
どの学年でも出るのではないかと思います。 自分自身、じっくり考え事や調べ物をするときは、例えばiPadを3枚でそれぞれ違う資料を見ながら思考しているし、メモアプリに手書きする専用のアプリを別のiPadで使ってみて初めてデジタルの恩恵を受けられているような感じがします。
どの学年でも起こり得て、複数画面(複数端末)があることで初めてデジタルの良さが出る、という実感に基づく見立てなのですね。 その前提で伺いたいのですが、児童生徒にとって「端末が1台だと厳しい」と感じるのは、具体的にどんな学習行動(例:読みながら書く/比較しながら考える等)の場面でしょうか?
調べ物をする時、書きながら考える時、思考を整理する時です。
ありがとうございます。「調べながら/書きながら/整理しながら」という“同時並行”の学習行動で、1台だと行き来が多くなって厳しい、ということですね。 では、その状況を前提に、紙とデジタルを比べたとき学びやすさはどう変わると思いますか?
場面によって使い分けが良い
使い分けが良い、という感覚なのですね。 その「使い分け」をするとしたら、紙に残したいのはどんな場面ですか?
紙は残すことに価値があるのではなく、あくまでも「書く」という行為に価値があるのだと思います。残すということは圧倒的にデジタルに価値があるのだと思います。
おっしゃるとおり、「残す」価値はデジタルが強くて、紙の良さは媒体というより「書く行為」そのものにある、という整理なのですね。 その前提で伺いますが、デジタル教科書を使うことについて、いちばん気になる懸念や課題は何ですか?
学校運用(準備負担・トラブル・ルール)
学校運用面がいちばん気になるのですね。 運用の中でも、特にハードルになりそうだと感じているのはどのあたりでしょうか?
授業設計の難しさ
授業設計の難しさが一番のハードル、ということですね。 その「授業設計が難しくなる」と感じるのは、授業のどの部分(例:導入・説明・演習・振り返り等)で起きそうでしょうか?
教員の資質や価値観依存が強くなると思います。
教員の資質や価値観への依存が強くなる、という見立てなのですね。 その依存が強くなることで、学校や学年・学級によって具体的にどんな差が出てくると感じますか?
使いこなせる教員がいる「学校」「学年」「学級」とそうでない」ところの差は広がる懸念があります。こういう場合、よく、「研修をすれば良い」と言われますが、研修では埋まらない差のように思います。
現場の力量差がそのまま「学校・学年・学級の体験差」になって広がってしまう、しかも研修だけでは埋まりにくい、という懸念なのですね。 その差が埋まりにくい要因として、研修ではカバーしきれないのは具体的にどんな部分だと感じますか?
教員自体がどのような教育を受けてきたかという環境によると思います。
教員ご自身がこれまで受けてきた教育環境の違いが、デジタル活用の差として出てしまう、という見立てなのですね。 その「教育環境の違い」が授業づくりに影響するとしたら、具体的にはどんなタイプの経験差(例:ICTに触れてきた量、探究型の学びへの慣れ、教材研究のやり方等)が大きいと感じますか?
探究型の学びへの慣れですね。なので教員養成のカリキュラムにも影響を及ぼすと思います。
探究型の学びへの慣れの差が大きくて、教員養成カリキュラムにも波及する、ということですね。 その前提で、デジタル教科書を正式に扱うようになったとき、自治体(教育委員会)として運用面でいちばんハードルになりそうなのは何だと思いますか?
教育委員会でもどの立場で回答するかによって異なると思いますが、今のICT環境を維持するというならば、授業設計ですが、私の提案のマルチデバイスを導入する場合は端末管理がボトルネックになりそうです。
立場によって見え方が変わりつつ、現状維持なら「授業設計」、マルチデバイスまで踏み込むなら「端末管理」がボトルネック、という整理なのですね。 ここで「マルチデバイスを導入する場合の端末管理」について伺いたいのですが、端末管理の中でも特に詰まりそうだと感じているのはどの部分でしょうか?
数量の多さ、故障対応でしょうか。
ありがとうございます。台数が増えることでの管理負担と、故障時対応が特に詰まりそう、ということですね。 その「故障対応」が詰まりそうだと感じるのは、具体的にどんな局面でしょうか?
壊れた時に代替機の在庫がすぐに手配できるか。デジタルは故障したら学びが止まるものです。また、世の中のニーズが高まると、コストダウンの代わりに不良品の増加も懸念されます。
代替機の在庫がすぐ手配できないと学びが止まる、という切実さがありますね。需要が高まる局面で品質面(不良率)も心配、という点も重要だと思います。 最後にお聞きします。デジタル教科書に関して、制度設計をする人に伝えたいことがあるとしたら、どんな内容になりますか?
子どもの学びが深まるよう、まずは制度設計者の皆様が、子どもが使っている端末で制度設計してみてください。仕事の資料作成をを一台のiPadで本当にできるのか、ここが制度設計のキモです。
ご提案、非常に具体的ですね。「子どもが実際に使う1台の端末で、制度設計者自身がやってみるべき」というのは、机上の制度設計にならないための重要な観点だと感じました。 ここまでのお話を、私の理解で整理すると、 - デジタル教科書の効果は端末の“数・質”と不可分で、1人1台だと「読みながら書く/調べながら整理する」場面でアプリ切替が負担になりやすい - 媒体としての紙というより、「書く行為」をどう担保するかが鍵 - デジタル教科書が正式化すると、教員の探究型学習への慣れの差が授業の質の差につながり、研修だけでは埋まりにくい - マルチデバイスを目指す場合は、台数増と故障時の代替機確保がボトルネックになり、故障=学び停止のリスクがある …という問題意識でした。 この内容でレポート(要約)を作成してよろしいでしょうか?
お時間をいただき、ありがとうございました。いただいた内容で、要点をレポート案としてまとめました。ご確認ください。