💬インタビューレポート
教師
教員としての経験があり、教員養成課程を経て高校で2週間の教育実習を実施。理科を教えた経験がある。
💬主な意見
目の健康と理科(特に化学実験)への影響が心配
“ゲームなどデジタル時間が多い子は視力が悪くなりやすく、濃淡など微妙な違いが見えにくいとサイエンス学習で不利。化学実験で変化に気づきにくい。
AI搭載は更新ガバナンスと現場支援が鍵
“AIは教科書の一部としてプロンプトまで議論して規定し、短いサイクルで更新したい。悪用(カンニング・いじめ)もあり得るので、教員の話し合いとICT支援要員が必要。
🎤すべての会話ログ
本日はお時間をいただきありがとうございます。『デジタル教科書を正式に認めるための法案(学校教育法等の一部を改正する法律案)』について、感じていることや実感を伺いたいです。 この法案は、あなたの生活や立場とどのように関わっていますか?
教育関係の仕事/経験がある
教育関係でのご経験があるのですね。現場の視点が伺えそうで心強いです。 差し支えなければ、その「教育関係の仕事/経験」は、学校(教員・支援員など)に近い立場ですか、それとも学校外(塾・教材会社・教育行政など)に近い立場ですか?
教員に
教員として関わっておられるのですね。ありがとうございます。 デジタル教科書について、どの程度ご存知ですか?
教員になるための
教員になるためのご経験の中で触れてこられたのですね。 デジタル教科書については、現時点では「使ったことがある」「見たことがある」「名前を聞いたことがある」など、どれに近い感覚でしょうか?
教員になるための教育を受けて、高校にて教育実習を2週間行いました。
教育実習で高校の現場を2週間経験されたのですね。限られた期間でも、教室の実態が見える場面が多かったのではと思います。 その教育実習中に、デジタル教科書(紙の教科書と同じ内容を端末で見られるもの)を授業や教材として実際に目にする機会はありましたか?
いいえ
承知しました。教育実習の現場では、デジタル教科書は目にしなかったのですね。 その前提で伺います。紙とデジタルを比べたとき、学びやすさはどう変わると思いますか?
場面によって使い分けが良い
使い分けが良い、という感覚なのですね。 その「使い分け」が特に効きそうだと思うのは、授業の中のどんな場面でしょうか?
デジタルだと全てのテキストを、過去も含めて持ち運べる点が便利。紙は手を動かして書き込めるところが記憶に直結できる。場所の感覚が記憶に繋がるタイプの生徒も多い
なるほど、持ち運びやすさはデジタルの強みで、書き込みや「場所の感覚」は紙が強い、という整理ですね。実習で生徒さんを見ていて、そうした“場所の感覚が記憶に繋がる”タイプの生徒は、授業中にどんな行動や発言に表れていましたか?
特に、関連性はなかったと思う
承知しました。実習の範囲では、そうしたタイプかどうかを見分けられるような行動・発言は特に印象に残っていなかったのですね。 では次に進めます。デジタル教科書を使うことについて、いちばん気になる懸念や課題は何ですか?
健康面(目・姿勢・睡眠など)
健康面がいちばん気になるのですね。特に慎重になりたくなる論点だと思います。 その健康面の中でも、いちばん懸念が大きいのは「目」「姿勢」「睡眠」のうちどれに近いですか?
目
目への影響がいちばん気になるのですね。 その「目の懸念」は、具体的にはどんな状態(例:疲れやすい、乾く、視力が落ちそう、頭痛につながる等)を想像されていますか?
デジタル
デジタルを見ることで目に負担がかかる、という感覚なのですね。 その負担が特に出やすいと思うのは、授業中の利用と家庭での宿題・復習の利用のどちらでしょうか?
デジタル(ゲーム)時間の多い子供や若者は、視力が悪くなりやすい。 特に色の濃さの違いや微妙な違いが見極められない人が多い気がする。 サイエンスでは、結構マイナスになるポイント。(理科を教えていました)
理科を教えていらした立場から、視力の低下だけでなく「微妙な濃淡差が見えにくくなる」点がサイエンス学習に効いてくる、という懸念なのですね。 その「濃淡や微妙な違いが見極めづらい」と感じたのは、授業では具体的にどんな教材や場面でしたか?
化学の実験で色や形態の変化や違いに気づきにくい
化学実験で、色や形態の変化に気づきにくい場面があるのですね。理科だと学習の核心に関わるところなので、懸念としてとても重要だと思います。 デジタル教科書が正式化して、授業内で端末を見る時間が増えた場合、そうした「変化に気づきにくさ」は今より強まると思いますか?
明るさ
端末の明るさが影響しそう、という見立てなのですね。 その場合、学校で対策するとしたら「画面の明るさ(輝度)をどの程度にそろえるか」のような運用ルールが必要になりそうですか?
そうではなく、明るさが健康に影響するという教育を生徒と親、先生にすべき
なるほど、端末の設定ルール以前に、「明るさが目の健康に影響する」こと自体を、生徒・保護者・先生が共通理解するのが大事、ということですね。 その“教育”としては、学校ではどんな形で伝えるのが現実的だと思いますか?
環境の明るさやタブレットの明るさをどう設定すべきかを教育
具体的に「環境の明るさ」と「タブレットの明るさ」の設定を教える、ということですね。運用に落とし込みやすい提案だと思います。 その教育は、学校の中では誰が担う形が現実的だと思いますか?
ほけんの先生
保健の先生が担うのが現実的、ということですね。役割分担としても筋が良さそうです。 その場合、学校現場でデジタル教科書を正式に扱うようになったとき、運用面でハードルになりそうなのは何だと思いますか?
端末・通信トラブル対応
端末・通信トラブル対応がいちばんのハードルになりそうなのですね。授業が止まってしまうリスクもありますし、現場感のあるご指摘だと思います。 その「トラブル対応」が特に大変になりそうなのは、どんなトラブルでしょうか?
個人情報も
端末・通信だけでなく、個人情報の扱いも不安なのですね。学校として責任が重い部分だと思います。 その「個人情報」について、現場で特に起きやすいと感じるのは、どんな場面でしょうか?
ネットに個人情報を流出
ネットへの個人情報流出がいちばん怖い、ということですね。学校だと一度起きると影響が大きいですし、現場の心理としても重い懸念だと思います。 最後に、制度設計をする人に向けて伺います。デジタル教科書に関して、制度設計をする人に何か一つ伝えることがあるとしたらそれは何ですか?
教育用AI 搭載して、生徒のペースに合わせて教育する時間も作るといい。 サルマンカーンの本AIは私たちの学び方をどう変えるのか、がAI設計に役立つと思う。答えを教えないで、考えるように誘導するようなAI があれば、個人個人の興味やペースに合わせて進められると思います
ご提案の方向性、とても具体的ですね。「答えを教えずに思考を促すAIで、個々の興味やペースに合わせる時間を作る」という狙いだと理解しました。 そのAIを授業に入れるとしたら、どんな場面で使うのがいちばん効果が出そうだと思いますか?
数学とか、学力差の出やすい分野でまず、使うと良いと思う。 一般には、説明、演習の時間。実験や議論はグループで一緒にやるのが準備や経験としても良いと思う。
整理すると、学力差が出やすい数学などでは「説明・演習」をAIで個別最適に寄せつつ、実験や議論はグループでやる、という役割分担が良さそうということですね。 ここまで伺った内容を踏まえて確認です。もしこの法案で「デジタル教科書が正式な教科書」になった場合、AIのような機能まで教科書側に入ってくることについては、制度として“どこまでを教科書に含めるべき”という感覚をお持ちですか?
A Iを教科書の一部として扱い、「答えを教えずに思考を促す」というプロンプトまで議論の上、規定するのはいいと思う。ただし、毎年アップデートするなどプロンプトの更新頻度は短くすべき。
教科書の一部としてAI(思考を促すプロンプト設計まで)を位置づけつつ、更新頻度は短くして改善を回すべき、というお考えですね。制度設計としてかなり踏み込んだ提案だと思います。 その「短い頻度でアップデート」を前提にすると、教科書の検定(内容チェック)や責任の所在は、どんな形にするのが現実的だと思いますか?
教科書の検定は、遅すぎるから、 プロンプトだけは、デジタル庁にも関わらせて、短いサイクルでアップデートするようにするのはどうでしょう?
検定のスピード感と、AIプロンプトの更新サイクルの速さが噛み合っていない、という問題意識なのですね。その上で、デジタル庁も関与させてプロンプトは短いサイクルで改善していく、という提案だと理解しました。 その場合、プロンプトのアップデート内容を「誰がOKと判断するか(承認者)」は、どんな体制が良いと思いますか?
文科省とデジタル庁の合同専門の有識者部会を作って、そこで提案を議論する。承認者は文科省大臣では?
文科省とデジタル庁の合同の有識者部会で議論し、最終承認は文科大臣、という体制案ですね。責任の所在を明確にしつつ、更新の機動性も確保したい意図だと受け取りました。 その体制で進めるとして、プロンプトの更新が「教育的に望ましくない方向」に寄ってしまわないために、有識者部会の構成に入れるべき専門性(例:教科の専門家、現場教員、発達・心理、情報セキュリティ等)はどれが重要だと思いますか?
現場教員(AI を取り入れたモデル校)、既にAIを使って教育実施者(塾?研究者?)、教科の専門家、AI エンジニア、医者?
現場モデル校の教員、すでにAIで教育を回している実践者、教科の専門家、AIエンジニア、医師と、かなり多職種で組むべきということですね。バランスの取り方が重要になりそうです。 そのメンバー構成だとして、有識者部会の中で「最終的に教育的観点を優先して判断する」役割は、どの専門性が担うのがよいと思いますか?
KPIで判断する。 生徒の意見、成績もKPIに入れる
KPIで判断し、生徒の意見や成績もKPIに入れるべき、ということですね。アップデートを回す仕組みとして筋が良い一方で、指標設計が肝になりそうです。 そのKPIの中で、「生徒の意見」はどんな取り方(例:匿名アンケート、授業内の振り返り、保護者経由、学期ごとのヒアリング等)が現実的だと思いますか?
勉強が面白くなった、興味が増したかどうかをヒアリング(定期テストのタイミング、学期ごと?)
定期テストや学期ごとに、「面白くなったか」「興味が増したか」をヒアリングするのが現実的、ということですね。 そのヒアリング結果をKPIとして使うとき、回答が“その場の気分”に寄りすぎないようにするには、どんな聞き方(質問文や尺度)が良いと思いますか?
すみません。知見がありません
承知しました。そこは無理に答えを作らなくて大丈夫です。 ここまでのお話全体を踏まえて、もし制度設計側がまず最初に整えるべきだと思うのは「健康(目)への教育」か「端末・通信/個人情報トラブルへの対応」か「AI搭載と更新・ガバナンス」か、どれに近いでしょうか?
AI搭載と更新・ガバナンス
承知しました。優先度としては「AI搭載と更新・ガバナンス」なのですね。 その優先度の背景として、制度が整っていないままAIが入ってくると、学校現場では具体的にどんな混乱やリスクが起きやすいと思いますか?
悪用、誤用による混乱。AI とITの違いがわからない教師、父兄も多い
悪用・誤用の混乱に加えて、教師や保護者側に「AIとITの違い」が浸透していない、というご懸念なのですね。現場の受け止め方の差が大きいと運用が一気に難しくなりそうです。 その「悪用・誤用」の中で、学校で特に起きやすいと思うのはどんなケースでしょうか?
カンニング、いじめに使われる
カンニングや、いじめへの利用が起きやすいという懸念なのですね。現場としては看過できないところだと思います。 その「いじめに使われる」というのは、具体的にどんな使われ方を想像されていますか?
誰かをもじった質問をして、想定外の答えに笑うとか
具体的に、誰かをもじってAIに質問し、出てきた想定外の答えをネタにして笑う……という形を想像されているのですね。 そのリスクに対して、教科書に搭載される教育用AI側で「これは出さない/こう返す」といった制限をかけるとしたら、どの程度まで厳しくするのが現実的だと思いますか?
いじめを意図しているのか、自由な発想なのかはAIは 区別がつかないと思うので、法律違反や明らかなセクハラ以外の制限はかけられない。 そういう使われ方をしないように、教師が生徒と話し合う必要があると思う。他で起きたいじめの対応と同じ。
AIには意図の判別が難しいので、違法や明確なセクハラ以外は過度に縛れず、結局は教師が生徒と話し合っていく必要がある——という整理ですね。現場感のある見立てだと思います。 その「教師が生徒と話し合う」を制度として後押しするなら、学校側に最低限用意されているべきものは何だと思いますか?
タブレット、ソフトの使い方のサポート要員 使われ方の教育(担当教科、クラス担任)
ありがとうございます。技術面はサポート要員、使われ方(リテラシー面)は担任や担当教科で、という役割分担のイメージなのですね。 その「サポート要員」は、学校内の常勤配置と、自治体などからの巡回支援のどちらが現実的だと思いますか?
分からない
承知しました。分からない、で大丈夫です。 ここまで一通り重要論点(学びやすさの使い分け、目の健康、端末/個人情報、AI搭載とガバナンス)を伺えましたので、インタビューはここで区切りにしてまとめに入ります。 これまでの内容をまとめ、レポートを作成します。
本日はお時間をいただき、ありがとうございました。伺った内容をもとにレポート案をまとめました。ご確認ください。