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実際のインタビュー

デジタル教科書を正式に認めるための法案
期待&懸念

期待&懸念

業務に関係・中学教員

2026年3月29日 07:32

インタビューの分量2863文字

🎤すべての会話ログ

本日は「デジタル教科書を正式な教科書として認めるための法案」について、感じていることや実感を伺えればと思います。率直なお話で大丈夫です。 この法案は、あなたの生活や立場とどのように関わっていますか?

教育関係の仕事/経験がある

教育関係のご経験があるのですね。現場の見え方があると思うので、ぜひ伺いたいです。 デジタル教科書について、どの程度ご存知ですか?

よく知っている/使ったことがある

実際に使ったこともあるのですね。現場感のあるお話が聞けそうで心強いです。 紙とデジタルを比べたとき、学びやすさはどう変わると思いますか?

場面によって使い分けが良い

使い分けが良い、という感覚なのですね。 その「使い分け」が特に効くのは、どんな学習場面だと思いますか?

私は中学校数学の教員です。教科書は啓林館です。だいぶ解説動画や、触れる教材(関数のグラフ作成や図形を動かしたりできるやつ)が増えてきたので、そこを触る分にはとても良いと思います。 ただ、今ひとつ痒いところに届かない、欲しい教材がなくほとんど使えてません。 また、教科書にラインを引いたり、書き込みをするのは、紙が良いと思っています。 iPadでGoodnoteのように使えるならまだしも、重たく分厚いタブレットで(タブレットの機能面は使いやすいのですが)気軽に開こうという気持ちになれませんし、ラインやメモをピックアップしてくれたりはなかったんじゃないかな。 また、紙の教科書は、棚から手に取って、すぐ開けるのに対して、タブレットは、充電を十分に行い、タブレットを開きログインして、(ここはクロムブックなので)ブラウザを起動させ、ブックマークから、またはハブページから教科の教科書を選択し……とだいぶ道のりが長く、そこに手間取る生徒も多い。アクセス面では紙の方が1歩進むと思う。 一方で、書字障害の子など、拡大してみたい時に、拡大教科書を持ってこずとも、大きく出来るのは便利だと思うし、音声で聞くこともできる。自分のペースで自分にあった勉強法を活用出来るのはとてもいいと思う。 また、教科書の紙が無くなればいよいよ紙の本を触る機会が減るお子さんがいる気がする。手や指の動きの訓練としても、紙の本を触る時間を持つことは非常に有意義だと思う。

中学校数学の現場感がとても伝わってきました。インタラクティブ教材や解説動画は強い一方で、アクセスの手間や「書き込み・見返し」の体験は紙に分がある、ということですね。拡大や音声など配慮面の利点も具体的でよく分かりました。 では伺います。デジタル教科書を使うことについて、いちばん気になる懸念や課題は何ですか?

学校運用(準備負担・トラブル・ルール)

運用面がいちばん気になるのですね。先生側の負担やトラブル対応が積み重なると、せっかくの良さが活かしにくくなりますよね。 その「学校運用」の中で、特にハードルになりそうだと感じるのは何ですか?

やっぱり、授業と関係ないものを見ているが1番指導しづらいですね。使い方をどんなに丁寧に説明しても、どんなに見れるサイトを限定し禁止しても裏技があったりするので。 またそれをだいたい真面目な子が見つけて言いつけてくる&保護者が「隠れて見れる環境にしているのが悪い」などと言われてしまうと面倒くさいなぁと感じています。 また、生徒はタブレットの画面を隠したがるので、何ページ開いて、などの教員の指示についていけてないなというのも、確認しづらい。 ロイロとかだと生徒の作業画面が見れるので、デジタル教科書見てる時も、そもそもパソコン画面が見れたらなぁと思っています。 結局はタブレットや、アプリ、サイトの性能に大きく左右されます。学校や地域の財政状況にも大きく左右されて、本当に便利な機能をつけるには追加料金を払わなければならないので、お金出してくれないとか。

授業と関係ない画面を見てしまう問題や、画面確認のしづらさ、さらにアプリ性能や追加料金の有無で実現できる運用が左右される…というのは、現場としてかなり切実ですね。保護者対応まで含めると、先生側の負担感が大きくなりそうだと感じました。 その「授業と関係ないものを見ている」状況は、授業のどのタイミングで特に起きやすいですか?

タブレットを開いて𓏸𓏸をしてください。と言ったタイミングでかなりの人数は関係ないものを見ますね。 タブを上手く使い分けたりして、先生には見つからないようにしています。

指示を出して「タブレットを開いて…」となった瞬間に、別タブで関係ないものを見に行ってしまう生徒が一定数いる、ということですね。先生に見つからないように工夫してくるとなると、授業の設計というより“監督”の負担が増えてしまいそうです。 その状況に対して、今の学校(端末設定や校内ルール)で先生が取り得る手立ては、どの程度まで用意されている感覚ですか?

今年度の学校は、どんどんサイトをブロックしていく手立てを取っています。(イタチごっこですが)教員によっては、気づいたら取り上げています。前任校は、ブロックするのではなく、メディアリテラシー(保護の有無やどんなサイトなら信用度が高いかなど)を何度も伝えたり、タブレットは勉強をするための道具だと何度も訴え、教員と一緒に使い方を考えていこうねというスタイルでした。学校、地域、先生によって方針は全く違いますし、学校の余裕度(人手が足りないとか忙しいとか)によると思います!

学校ごとに「ブロックを強める」方針と「メディアリテラシーで育てる」方針が分かれていて、さらに人手や忙しさで運用の余裕も違う、ということですね。現場の条件で最適解が変わりそうなのが難しいところだと感じました。 この法案でデジタル教科書が“正式な教科書”として位置づくようになった場合、学校現場の運用としてハードルになりそうなのは何だと思いますか?

全部ですね

「全部」という感覚になるの、現場の負担の総量を考えるとすごく自然だと思います。 その中でも、デジタル教科書が正式化されたことで「いまより確実に重くなる」と感じる運用上の負担は、どのあたりですか?

本当にデジタルのみになってしまうなら、ルール作り、めちゃくちゃ毎年故障してるのですが故障への対応、タブレットがない人への対応、授業の在り方を全員が考え直さなければならないことだと思います。

デジタル“のみ”になった場合を想像すると、ルール整備から故障対応、未所持・未使用の子への対応、さらに授業そのものの再設計まで、学校全体で背負うものが一気に増えるということですね。特に毎年故障が多い状況だと、現場の疲弊にも直結しそうです。 最後に一点だけ伺います。 デジタル教科書に関して、制度設計をする人に何か一つ伝えることがあるとしたらそれは何ですか?

まず全てのデジタル教科書を本当に触って見てください。また、デジタル教科書を活用した授業と、紙の授業を活用した授業と、ハイブリッド型の授業を違う学校、違う先生で受けてください。出来れば生徒側として。 小さい机の中にどう子どもが配置しているのか、子どもからみたらどのような負担があるのか体験して欲しいです。 また、教育困難校などや、支援学校(学級)にも足を運んで、現場を見て欲しいです。 メリットデメリット両方あると思います。有識者の話を聞いただけで決めないでください。絶対に。 よろしくお願いいたします。

現場と生徒側の体験を踏まえて制度を作ってほしい、机上で決めないでほしい、という強いメッセージとして受け取りました。特に「実際に触る」「授業を受けてみる」「机の中や教室の動線まで含めて体験する」「教育困難校や支援学校・支援学級も見る」という具体性が印象的でした。 ここまでで事前に伺いたいテーマは一通りお聞きできました。これまでの内容をまとめ、レポートを作成します。

お時間を割いて具体的にお話しいただき、ありがとうございました。以下、伺った内容の要約レポート案です。内容に誤りや、補足したい点がないかご確認ください。

もう少し私が具体的に話したことを反映できますか?

お時間を割いて詳しくお話しいただき、ありがとうございます。いただいた具体例をより多く反映した形で、要約レポート案を更新しました。内容に誤りや、ニュアンス違いがないかご確認ください。

その3つだけのポイントでは無かったと思います。発達障害を持っている人間にとってはデジタルがいい側面もあると話しているのはかなり重要です。紙をめくる動作も大事だと言うことをどこかに明示して欲しいです。あと、現場を見てっていうのは、生徒として色んな形態で色んな学校で授業を受けてくれと書いて欲しい。特別支援学校(学級)、教育困難校にも視察に言ってくれと明示してほしい また、追加してほしいのですが、教員負担が増える原因は国が(ここは市で、または学校で判断してください)と言われる場合です。それは平等に出来なくなるのでやめてください。

お時間を割いて追加のご指摘までいただき、ありがとうございます。いただいた点(発達障害・書字障害等への利点、紙をめくる動作の重要性、視察の具体化、国が丸投げすると不公平と負担増につながる点)を明示して、要約レポート案を更新しました。ご確認ください。

未所持者っていうのは、故障して修理に出してるから持ってないってことは伝わるよね?

ご確認ありがとうございます。はい、ここでの「タブレットがない人」は、毎年故障が多く、修理に出していて手元に端末がなくなる(=一時的に未所持になる)ケースを指している、という理解で要約しています。

💡意見の要約 数学は動的教材に強みがあるが、書き込みや開きやすさは紙が圧倒的。ログインの手間や「別タブ」脱線、故障対応の重さを、有識者会議だけでなく実際の「狭い机」に座って体験した上で決めてほしい。 🙋基本スタンス 期待&懸念(現状のままの全移行には強い反対と警鐘) 立場 業務に関係・中学数学教員 立場の詳細 中学校数学教員。啓林館の教科書とデジタル教科書を使用。書字障害への配慮等の利点を認めつつも、日々の授業運営における端末の「重さ(物理・運用的)」を実感している。 💬主な意見 1. 数学教材としての機能不全と身体性の欠如 動画やグラフ操作は良いが、欲しい教材が足りず活用しきれない。iPadのような直感操作ができず、重い端末は「気軽に開く」意欲を削ぐ。棚からすぐ開ける紙に対し、ログインやブラウザ起動の手間が学習の壁になっている。 2. 指導を困難にする「別タブ」と監視コスト 指示直後に学習と無関係なサイトを見る生徒が絶えず、画面を隠す仕草もあり指導しづらい。制限はイタチごっこで、真面目な子からの報告や保護者への対応など、教育の本質ではない事務的・精神的負担が膨大である。 3. 現場・生徒目線での検証なき導入への危惧 故障対応や未所持者へのフォロー、自治体間の財政格差など課題が山積。有識者の議論だけでなく、実際に「狭い机」で端末・ノート・筆箱を並べ、生徒として授業を受けてほしい。困難校や支援学級の実態も見た上での判断を強く求める。

お時間を割いて詳細に共有いただき、ありがとうございました。いただいた内容をもとに、具体表現を残した形でレポート案として整理しました。ご確認ください。

3. 運用・精神的負担と「教育的意義」の欠落 別タブ脱線は、真面目な子の告発や保護者からの責任追及を招き、教員の精神的摩耗が激しい。また、全デジタル化は「紙をめくる・書く」という手指の訓練や文化的習慣を奪う。故障対応の重さや自治体格差も含め、国は現場に丸投げせず、狭い机で生徒がどう振る舞うかを体験して判断すべき。 このニュアンス入れられますか?

もちろんです。お時間を割いて追加のニュアンスまで丁寧に共有いただき、ありがとうございます。ご提示の「運用・精神的負担」「教育的意義(紙をめくる・書く)」「丸投げが不公平と負担増につながる」「狭い机での生徒体験を求める」を、意見③に明示して反映したレポート案に更新しました。ご確認ください。

💬意見の要約

意見1

数学は動的教材が強いが、紙の即時性に負ける

動画やグラフ・図形操作は有用。ただ欲しい教材が不足。紙は棚からすぐ開けるが、端末は充電→ログイン→ブラウザ等が長く学習の壁。

意見2

書き込み・手指の学びは紙が大事、配慮はデジタルが強い

ライン引きや書き込み・見返しは紙が良い。一方、書字障害等には拡大や音声で自分のペース学習ができ、利点が大きい。

意見3

別タブ脱線が精神的負担に、丸投げは不公平を広げる

指示直後に別タブで脱線し、発見→告発→保護者対応で摩耗。故障で修理中の未所持対応や財政格差も重い。国は現場任せにせず、狭い机で生徒として授業体験し、困難校・支援学級も見てほしい。