💬インタビューレポート
小学生保護者
小学生の子どもを育てる保護者。上の子の学校ではデジタル教科書は限定的に使用。下の子は長文読解で疲れやすく、教師からデジタル教科書(読み上げ等)の利用を勧められている。
💬主な意見
個別運用には教員負担と情報管理が課題
“子の特性に合わせ紙/デジタルやノートの使い分けが理想だが、端末管理や準備、引継ぎの情報共有が重い。データは進学後も引継ぎ、保護者へ全情報共有と監査証跡を望む。
🎤すべての会話ログ
本日は、「デジタル教科書を正式な教科書として認めるための法案」について、感じていることやご経験をうかがいたいです。差し支えない範囲で、率直にお話しください。 この「デジタルを含む教科書を正式な教科書として認める」法案は、あなたの生活や立場とどのように関わっていますか?
子どもが学校に通っている(保護者)
保護者の立場で関わりがあるのですね。お子さんの学校では、デジタル教科書(端末で教科書を読む形)は今どのくらい使われていますか?
上の子はほぼ使っていません。参観のときに、保護者が見やすいようにテレビに開いているページを映す、読み上げ問題を子どもたちに聞かせる、という場面で使用されていました。 下の子は今年の4月から小学校に入学しますが、長い文章を自力で読むのは疲れるという特性があるため、デジタル教科書の利用を教師から勧められています。
参観での使い方のイメージもあって、下のお子さんについては先生から利用を勧められているのですね。 下のお子さんが「長い文章を読むのが疲れる」と感じるのは、どんな場面で出やすいですか?
絵本を読んだり、ドリルをするときです。ゆっくり時間をかけないと読めないです。通信教育のスマイルゼミをタブレットで利用していますが、読み上げ機能があるおかげで、集中力が途切れずに学習できる場面が多いです。
絵本やドリルのように文章量がある場面で負担が出やすくて、読み上げがあると集中が続きやすいのですね。 学校でデジタル教科書を使う場合も、読み上げ機能を中心に使えることが大事そうですが、読み上げ以外に「こういう機能があると助かる」と思うものはありますか?
内容を理解するために、反復して同じ箇所を読むという機能や、今どこを読んでいるのかハイライトしてもらえると、やはりわかりやすくていいなと思います。 あとは、カラーテストも読み上げ機能がある、デジタル版があると助かりそうだなと思いました。
反復して読めることや、読んでいる場所が追えるハイライトがあると理解しやすい、ということですね。カラーテストも読み上げ対応のデジタル版があると助かりそう、という視点もとても具体的です。 一方で、学校でデジタル教科書の利用が増えることについて、保護者として気になる懸念や課題はありますか?
学習面(理解・集中・記憶など)
学習面での影響が気になっているのですね。 理解・集中・記憶の中でも、特にどのあたりが心配ですか?
スマイルゼミのタブレットでは、付属のペンを使って手書き練習ができます。 カラーテストやドリルもタブレットでできるようになるなら、付属ペンで書けるようにならないと、書くということの定着は難しいのかなと思いました。 あとは、勝手にページがめくれないようにしないと、先生の話を聞かずに違うページを見てしまう、とかもありうるのかなと思いました。
手書きが定着しにくくなるかもしれない点と、授業中に別ページへ行ってしまう点が心配なのですね。 「書くこと」の定着について、学校でデジタル教科書を使う場合に、どんな形なら安心できそうですか?
鉛筆を使って書ける子はそのまま、間違った字を消すという動作が苦手な子は、ノート自体もタブレットでできるようにして手軽に消せる、そういう学習ができるような運用というように、過去の能力に合わせた活用ができるようになってほしいです。
子どもによって「鉛筆で書く」を続けた方がいい場合と、消す動作の負担を減らすためにタブレットノートが合う場合がある、という使い分けの発想なのですね。 学校側がそういう個別の使い分けを実現しようとしたとき、運用面でハードルになりそうなのは何だと思いますか?
教員の負担/研修
子どもに合わせた使い分けをするには、先生側の準備や判断が増えて、負担や研修が大きくなりそう…という感覚なのですね。 先生の負担の中でも、特に重くなりそうだと感じるのはどんな部分ですか?
タブレットの管理や、両立した授業を行うための準備はやはり大変なのではないだろうかと思います。 あとは、個々の能力を把握しておく必要があり、何かあって担当する先生が変わったときも、同一の授業を提供するには、誰がどういった学習方法を使用しているのか、誰もがわかる必要があるので、そういう情報共有の仕方や、残し方を考える必要があるのも大変そうだなと思いました。
タブレット管理と、紙・デジタルを両立させる授業準備に加えて、引き継ぎまで見据えた情報共有の仕組みづくりが大変そう、ということですね。 その「情報共有」について、学校の中でどんな形で共有できていると安心できそうですか?
システム内で管理するのが1番いいのではないかと思います。 学年が変わっても、もしくは公立であれば、中学・高校と、データが引き継がれていくのが1番効率がよいと思いました。
校内だけでなく、学年が上がったり進学したりしても引き継がれる形が理想、ということですね。 そのように学年や学校をまたいでデータを引き継ぐ場合、保護者としていちばん気になるのはどんな点ですか?
情報管理はやはり気になります。 どういった情報が残されているのか、保護者にも年1回は共有してほしいです。あとは、誰がアクセスしたのか、監査証跡が残るようにしてほしいです。
情報管理の面が気になっていて、保護者への定期共有や、アクセスの監査証跡が残ることを求めたい、ということですね。 「保護者に年1回共有してほしい」という点について、共有されると安心できるのは、どんな情報の内容ですか?
子どもに関して残されている情報全てです。
お子さんに関して残されている情報は、すべて把握できる状態にしてほしい、ということですね。 その「すべて」の共有を実現するにあたって、保護者としては“見られなくてよい”と感じる情報はありますか?
特にありません。
承知しました。保護者としては、残されている情報は例外なく見える状態が安心、ということですね。 では最後に、デジタル教科書を正式な教科書として扱う制度を設計する人に、何か一つ伝えることがあるとしたらそれは何ですか?
どの教科書であっても使い方が変わらないように、わかりやすいものにしてほしいです。
教科や教科書会社が違っても、使い方が揃っていて迷わない形にしてほしい、ということですね。 最後にもう一点だけ伺います。紙とデジタルを比べたとき、学びやすさはどう変わると思いますか?
場面によって使い分けが良い
場面によって使い分けるのが良い、というお考えですね。 その「使い分け」について、学校の授業の中ではデジタルの方が合いそうだと感じるのはどんな場面ですか?
教科というよりは、個々人で使いわけでいいと思います。 タブレットで本を読む人もいれば、書籍を買う人もいるため。
個々人で合う形が違うので、一律に決めずに使い分けられるのが良い、ということですね。 その「個々人で使い分け」を学校で実現するにあたって、制度として最低限担保してほしいことは何ですか?
例えばどういうことを想定した質問ですか?
たとえば、制度で決めておくことで「学校や先生が変わっても、子どもに合った紙/デジタルの使い分けができる」ようにするための条件、というイメージです。最低限これは必要、と思う条件は何でしょうか?
紙の教科書でもデジタルの教科書でも、個人に選択権があること、です。
紙でもデジタルでも、本人(家庭)が選べる「選択権」を制度として担保してほしい、ということですね。とても核心的だと思います。 ここまで伺った内容をまとめ、レポートを作成します。
お時間を割いて詳しくお話しくださり、ありがとうございました。伺った内容をもとに、レポート案をまとめました。内容に相違や補足したい点がないか、ご確認ください。