💬インタビューレポート
市民
一般市民として、日本音楽著作権協会の職員との会話で著作隣接権制度の実務的課題を認識し、音楽ビジネスの構造について深い理解を示している。
💬主な意見
買取契約済みの奏者にはお金が届かない可能性
“50年前の録音に参加した弦楽奏者の多くは、レコード会社から一時金をもらう代わりに著作隣接権を手放している。過去の契約履歴を確認する作業は膨大で、実際には対価が届かない可能性が高い。
事務費と分配額のバランスの悪さ
“わずか20銭程度の分配額のために膨大な事務費がかかると、有線放送会社は権利関係がシンプルな音源ばかりを選ぶようになり、かえって複雑な権利を持つ過去の演奏家の曲が流れにくくなる可能性がある。
分配プロセスの透明性の必要性
“徴収と分配の透明性が担保されず、指定団体がどのような基準で分配するのかが明確に見える仕組みがなければ、権利関係がはっきりわかる音源の選別が起きても誰も気づかない可能性がある。
🎤すべての会話ログ
こんにちは。本日はお時間をいただきありがとうございます。お店のBGMで使われた歌手や演奏家にもお金が届くようにする法案についてお話をお伺いしたいのですが、まず初めに、この法案にはどういう立場で関わっていますか?
一般市民
ありがとうございます。一般市民のご立場なのですね。では次に、この法案について現時点でどの程度ご存じですか?
概要は知っている
承知いたしました。では改めてになりますが、今回の法案について、全体としてどのように評価していますか?
どちらかといえば良い
ありがとうございます。「どちらかといえば良い」というご評価なのですね。そのように感じられる理由としては、どのあたりが大きいのでしょうか?
著作権料を徴収する日本音楽著作権協会の人が「地方の小さなカラオケ店にもいかなければならず仕事がとても大変」と言っていた。演奏者の著作隣接権まで金銭化しようとすると、ますます徴収と分配の事務が大変になりそうで事務をする人が可哀そう。
なるほど。徴収・分配の事務に携わる人の負担が増えることへのご懸念なのですね。そういった背景があるんですね。ただ補足させていただくと、この法案では実際には、各お店を一軒一軒回って徴収するのではなく、業務用BGM配信サービスの会社などがまとめて契約・支払いを行う「元栓徴収」という仕組みの導入が検討されています。つまり、JASCAP側の負担よりも、むしろお店側やBGM配信サービス側の仕組み作りが重要になる設計になっています。
「元栓徴収」を導入するなら賛成です。それでも、著作隣接権は難しい問題をかかえています。たとえば「渚のアデリーヌ」という曲の場合、著作権者はポール・ドゥ・センヌヴィルですが、演奏者は有名なリチャード・クレイダーマンです。クレイダーマンにも著作隣接権が支払われるのは当然として、50年前にクレイダーマンと一緒に録音に参加した弦楽器奏者たちを特定して著作隣接権を支払うことは不可能ではないかと思われます。また、音楽演奏には「買取り」という仕組みがあって、弦楽奏者はレコード会社から録音した際にもらった一時金で著作隣接権を手放していることも多いです。これが、「買取だったのかどうか」を、日本ビクターがフランスのデルファン社に確認しないとなりません。
非常に具体的で深い指摘をありがとうございます。つまり、著作隣接権の分配実務は、単に「徴収」の仕組みを整えるだけでは済まず、過去の契約履歴の確認や、買取で権利を手放した奏者との整理など、極めて複雑な作業が必要になるということなんですね。 そうすると、お名前を挙げられた弦楽奏者のような方たちの場合、たとえ「渚のアデリーヌ」がお店で何千回も流れても、買取済みであれば著作隣接権の対象にならない可能性が高いということですか?
その可能性は非常に高いです。クレイダーマンはたぶん隣接権を手放してないので、いくらかの金額をもらえるのでしょう。
なるほど。つまり、有名なクレイダーマンは著作隣接権を保持しているからこそ対価が入ってくるけれど、一緒に参加した奏者たちの多くは既に買取で権利を手放しているため、この法案が成立しても実際には対価が届かない可能性が高いということですね。それは、「演奏家にお金が届く」という法案の理想と、実務的な現実のあいだに大きなギャップがあるということを示唆しているように思います。ご指摘の通り、指定団体が過去の契約を全部調べ上げて、誰が権利を保持しているかを確認する作業は、膨大で複雑になりそうです。
たった「20銭」みたいな「はした金」を奏者に届けるために膨大な事務費がかかります。有線放送をする会社は、そういう事務費を避けるために「権利関係がはっきりわかる音源」ばかりを放送で流すように選曲を変える可能性が高いです。
なるほど。つまり、分配額が極めて小さい一方で、確認作業に膨大な事務費がかかるという逆転現象が起きるということですね。そうなると、利用者側(BGM配信サービスや有線放送会社)の立場からすると、権利関係が複雑で分配コストが高い楽曲よりも、権利関係がシンプルで分配しやすい楽曲ばかりを選ぶようになるという懸念が生まれるわけです。 それは言い換えると、「著作隣接権を保有していない多くの過去の奏者たちの曲がかえってお店で流れにくくなる」という、法案の本来の目的と逆の結果をもたらしかねないということですね。
そういう効果をもたらしかねないです。
ご指摘ありがとうございます。つまり、この法案が成立しても、実務的には権利関係がシンプルな音源ばかりが選ばれるようになる可能性があり、結果として多くの過去の演奏家には対価が届かなくなるという、逆説的な効果が生じかねないということですね。 そこで少しお聞きしたいのですが、こうした分配の実務面での課題を踏まえると、この法案で「特に気になっている点」としては、どれが一番大きいでしょうか?
徴収と分配の透明性
なるほど。徴収と分配の透明性が一番の懸念なのですね。先ほどお話しいただいた「権利関係がはっきりわかる音源ばかりが選ばれるようになるのではないか」という懸念も、実はこの透明性の問題と深くつながっているように思います。 具体的には、指定団体がどのような基準で誰にいくら分配するのかが、利用者や国民に明確に見える仕組みになっていないと、そうした選別が起きても誰も気づかないのではないか、ということですね。 もし分配プロセスが完全に透明になったとしたら、この法案に対するご評価は変わるでしょうか?
「事務費用がかかる割に分配額が少ない」という「無駄な骨折り」にならず、しかも分配プロセスが透明に近づけば法案を支持できます。
ありがとうございます。つまり、透明性と共に、事務費用と分配額のバランスが適切に取られることが、この法案を支持するための大切な条件だということなのですね。
そういうことです。有線放送事業者など法案の当時者や、音楽評論家で音楽ビジネスに詳しい方のAIインタビュー回答内容が重要です。
ご指摘ありがとうございます。確かに、この法案の実効性を判断するには、有線放送事業者や音楽ビジネスの専門家といった当事者や専門家の視点が不可欠ですね。あなたが指摘された「権利関係の複雑さ」「事務費と分配額のバランス」「選曲への影響」といった実務的な課題は、一般市民の視点からはなかなか見えにくいものです。 最後に一つお伺いしたいのですが、もしこの制度を設計する人に、何か一つ伝えるとしたら、それは何ですか?
「名のある演奏者」にはちゃんと著作隣接権料が届くように、「名もない演奏者」であっても権利関係がはっきりわかる人達にはちゃんと著作隣接権料が届くように配慮をお願いしたいです。
ありがとうございます。「名のある演奏者」だけでなく「名もない演奏者」にも公平に著作隣接権料が届く仕組みを作ってほしいというご要望なのですね。これまでのお話を整理すると、あなたが懸念されているのは、分配の透明性と公平性です。具体的には、権利関係が複雑であっても、買取で権利を手放していない限りは誰もが対価を受け取れる仕組み、そして事務費がかかり過ぎて結果的に特定の音源ばかりが選ばれるという歪みが生じない仕組みが必要だと考えていらっしゃるということだと思います。 本日は貴重なご指摘をいただきました。特に「渚のアデリーヌ」の事例を通じた著作隣接権の実務的な課題、そして「元栓徴収」が導入されても分配プロセスの透明性がなければ実効性が限定される可能性についての指摘は、この法案の制度設計において重要な示唆をもたらします。 これまでの内容をまとめて、レポートを作成させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか?
これまでの内容をまとめて、レポートを作成させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか?