インタビューレポート
先端技術のベンチャー育成を支援する新しい法人を作る法案拠点を作るより先に大学などのハイリスク研究へ国費が回る設計が大事だと思う。運営は民間主導で、目利きできるプロ人材と分野選定、ラボ設備を海外事例で吟味してほしい。
期待&懸念
業務に関係・新規事業Mgr
2026年5月1日 23:18
インタビューの分量1231文字👫インタビューを受けた人
化学メーカーで新規事業創出を担当するマネージャーとして、ディープテックの事業化・投資判断や人材面の実務感覚から制度設計を見ている。
💬主な意見
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本日は「先端技術研究成果活用推進機構を新設する法案」について、お考えや受け止めを伺えればと思います。まず、この法案にどういう立場で関わっていますか?
その他(自由記述)
ありがとうございます。「その他」とのことですが、この法案とはどういった立場で関わっていらっしゃいますか?
化学メーカーの新規事業創出のマネージャー
ありがとうございます。化学メーカーで新規事業創出を見ていらっしゃる立場なのですね。 今回の法案改正(グローバル・スタートアップ・キャンパス運営法人の設立)について、現時点でどの程度ご存知ですか?
概要は知っている
ありがとうございます。 今回の法案について、全体としてどのように評価していますか?
どちらともいえない
ありがとうございます。「どちらともいえない」という受け止めなのですね。 その評価になった点として、どのあたりが特に引っかかっていますか?
ディープテックでのユニコーンが日本で生まれていないのは拠点の有無なのか、他に原因はないのかという点が、私自身にも答えがないので。そのあたりの議論がどの程度されたのであろうか?
問題の置き方自体に確信が持てない感じなのですね。 「拠点の有無以外の原因」として、いま想定している要因の中で、特に大きいと思っているものは何でしょうか?
ディープテックなどのハイリスクな研究に対して大学法人化で、研究費用が行きにくくなったことも原因ではないか?研究の種が少なくなっている中で、芽を出すところを強化する、しかも拠点として、というのか本当に意義があるのか?
研究の「種」の部分が弱っているのに、事業化や拠点整備側を厚くしても効果が限定的では、という問題意識なのですね。 いまお話に出た「大学への研究費が行きにくくなった」ことについて、現場感としては具体的にどんな場面でそう感じますか?
すぐにこういうところに使えるというところが見えるものには研究費が行くが、先が見通せないところにはお金がつきにくくなっているのでは?過去の芽が出そうな研究成果を活用しているだけになって、永続的な発展は難しそう。
なるほど、「見通しが立つテーマに資金が寄りがちで、先が読めない芽の部分が痩せている」という実感なのですね。 その「先が見通せないところにお金がつきにくい」状況は、資金の出し手としては主にどのプレイヤーで強いと感じますか?
国がとくにそのようになったと考える。民間はもともとその領域には資金を出しにくい。
ありがとうございます。国の側が特に短期の見通しを求める傾向が強まり、民間は元々ハイリスク領域に出しづらい、という見立てなのですね。 その前提に立つと、今回の法案で新設される機構(実用化研究開発支援・事業化支援・人材育成・交流促進を担い、渋谷/目黒の国有地を拠点にする構想)については、「国の資金の使い方」がどの方向に変わると良いと感じますか?
この機構に資金を出すのではなく、その前のステージの研究への国の資金の使い方について見直すべきでは。実用化研究開発支援は、民間に任せたらよいと思う。税金控除などのサポートはありか。
問題意識として「実用化に寄せた支援より、前段の研究(種づくり)への国の資金配分を見直すべき」ということなのですね。税制などの間接支援はあり得る、と。 その前提で伺いたいのですが、今回の機構が担う業務のうち「民間に任せたらよい」と感じるのは、具体的にどの領域ですか?
基本的には全て民間主導でよいと思う。今は、どこを民間に任せることになっている?
ご質問ありがとうございます。補足すると、この法案で新設される機構は「認可法人」で、運営主体は民間(発起人が定款を作って国の認可を受けて設立)という建て付けです。一方で、理事長・監事の任命や、予算・事業計画の認可などで国(主務大臣)が一定関与します。 そのうえで伺いたいのですが、「民間主導でよい」と感じるときに、国が関与するとしても必要だと思えるのはどの部分ですか?
運営に関しては、あまり関与しない方がいいのでは?VC的な能力を国がもっているとは思えないので。土地の貸与と建物の建設費補助して、あとは、民間が責任もってやるような感じだとだめかな?
国が投資判断や運営に入り込むと、VC的な目利きやスピードが出にくいのでは、という懸念なのですね。土地提供+建設補助までに絞って、その先は民間が責任を持つ形をイメージされていると。 その場合に「民間が責任を持つ」を成立させるために、最低限ここだけは必要だと思うルール(例えば情報公開、利益相反、成果の評価など)があるとしたら、どれが思い浮かびますか?
ある程度の情報公開でよいのでは?海外ではどうしている?
情報公開は必要だが「ある程度」でよい、という感覚なのですね。 まず伺いたいのですが、ここで言う「ある程度の情報公開」として、最低限公開されてほしいのは何ですか?
どのスタートアップにどのくらい資金投入したか、かな。海外の事例も参考にしたいので教えてもらえませんか?
最低限として「どのスタートアップに、いくら入れたか」は公開してほしい、ということですね。 海外事例でいうと、ざっくり近い類型は次のあたりです(国の関与の仕方や公開の粒度が参考になります)。 - **米国:SBIR/STTR**:政府が研究開発資金を段階的に出す仕組みで、採択企業名や金額が検索できる形で公開されています。 - **英国:British Business Bank(BBB)**:政府系の開発銀行で、VCファンド等を通じた投資が中心です。投資プログラムの実績やポートフォリオ情報を一定程度公表します。 - **EU:EIC(European Innovation Council)**:助成+出資(EIC Fund)を行い、採択企業や支援内容が公開されています。 このあたりは“全部を政府が直接やる”というより、**透明性を確保しつつ、投資判断は専門性のある運用体制に寄せる**設計が多い印象です。 伺いたいのですが、もし機構が出資・貸付を行うなら、いま挙げていただいた「投資先と金額」以外では、どこまで公開されると納得感が上がりますか?
スタートアップのファウンダー、CEOなどの情報と、事業概要、事業計画概要。かな。 今回の機構では、米・英・EUのどの例に近いのですか?
公開してほしい情報として、ファウンダー/CEO、事業概要、事業計画の概要あたりまで、ということですね。 ご質問の「米・英・EUのどれに近いか」について、法案の建て付けだけで見ると、**SBIRのような“研究費助成中心の制度”というよりは**、助成に加えて**貸付・出資**もでき、さらに拠点運営(施設提供・交流促進等)も担うので、性格としては **EUのEIC(助成+出資)**や、**英国のBBB(政府関与のもとで民間に運用能力を寄せる)**に近い要素があると思います。 一方で、この機構は「渋谷/目黒の国有地を拠点にするキャンパス運営」が前面にある点は、これら海外制度より“物理拠点色”が強めで、そこは独自色になりそうです。 ここまでを踏まえて伺いたいのですが、機構が公開する「事業計画概要」について、どの粒度(例えばKPI、資金使途、想定市場など)が見えると評価しやすいですか?
機構が詳細把握していればよいと思うので、公開はそこまで細かくなくてよい。そのかわり、機構には新規事業のプロを揃えてくれれば。
公開は細かすぎなくてよくて、その代わり機構側に「新規事業のプロ(目利き・伴走できる人材)」を揃えてほしい、という優先順位なのですね。 その「新規事業のプロ」に期待する役割として、どんな局面で力を発揮してほしいですか?
目利き、日本企業へのリターンの有無の見極め、リスクヘッジ、チームビルディング、適切なアドバイス
期待としては、目利きから日本企業へのリターン見極め、リスクヘッジ、チームビルディング、助言まで“実務で伴走できる力”なのですね。 今回の法案で、あなたが特に気になっている点はどれですか?
支援する対象技術分野の選び方
「対象技術分野の選び方」が気になっているのですね。 その“選び方”について、どういう決め方だと納得しやすいですか?
正解はないと感じている。どういう風に決めようとしている?
ご質問ありがとうございます。補足すると、法案上は機構が扱うのは「特定先端技術」ですが、どの分野をそれに当てるかの“具体的な決め方”までは法律本文で細かく固定していません。実際の運用としては、機構の業務運営の重要事項を審議する評議員会の議論や、主務大臣(内閣総理大臣・文科大臣・経産大臣)の関与のもとで、重点分野を定めていく形になる想定です。 その前提で伺いたいのですが、技術分野の選定に関わる人(評議員会など)の構成は、どんな属性が入っているとバランスが良いと感じますか?
政治家ではないと思う。化学系であれば、UMIのメンバーには関与して欲しい。海外のVC経験者にも入ってもらいたいし、化学メーカーのイノベーション創出に関わる人にも参画してもらいたい。ディープテックは候補なんですよね?
政治家ではなく、実務家・経験者中心の構成にしてほしい、ということですね。化学領域ならUMIのようなネットワーク、海外VC経験者、事業会社のイノベーション人材も入ってほしいと。 ご質問の点は補足すると、この法案自体は「特定先端技術」という枠を置いていて、想定例としてはバイオ、クライメットテック、AI、ロボティクスなどが挙げられています。いわゆるディープテックは、まさにこの枠に含まれる想定です。 では伺いますが、評議員会などに海外VC経験者を入れるとして、その人たちに最も強く担ってほしい役割は何ですか?
グローバルでの技術トレンドを踏まえた領域の選定について知見をもらいたい。
グローバルの技術トレンドを踏まえた「領域選定」の目利きを期待されているのですね。 最後に伺います。この法案について、制度を設計する人に伝えるとしたら、どんな点を重視して設計してほしいですか?
日本のイノベーションに対する風土醸成、人財育成の観点は取り入れて欲しい。
ありがとうございます。「資金や拠点」だけでなく、日本のイノベーションの風土醸成や人材育成まで含めて設計してほしい、ということですね。 ここで言う「風土醸成」について、制度として取り入れてほしい具体的な要素はどんなものをイメージされていますか?
起業に失敗してもまた再チャレンジできるような仕組みは欲しいところ。例えば、起業失敗した人が機構で再度のチャンスをうかがえるとか。
再チャレンジの導線を制度として作ってほしい、ということですね。失敗がキャリアの傷になりにくい仕組みがあると、風土も変わりそうです。 その「機構で再度のチャンス」を具体化するとしたら、どんな形(例えば採択枠、雇用・フェロー制度、メンタリングなど)を想像していますか?
記載いただいたものはどれもありうると考えます。
ありがとうございます。採択枠・雇用/フェロー・メンタリングなど、いずれの形もあり得るということですね。 ここまで伺った内容を私の方で整理してレポートにまとめますので、要約フェーズに移ってもよろしいでしょうか。
お時間をいただき、ありがとうございました。伺った内容をもとにレポート案をまとめました。内容にズレがないかご確認ください。
一点追加としては、どのような分野選定にするかにもよるが、拠点内のラボ設備についてはよく吟味して欲しい。海外事例もよく参考にして欲しい。
お時間をいただき、ありがとうございました。追加でいただいた「拠点内のラボ設備は分野選定に応じて吟味し、海外事例も参考にしてほしい」という点も反映して、レポート案を更新しました。内容にズレがないかご確認ください。