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実際のインタビュー

デジタル教科書を正式に認めるための法案
期待&懸念

期待&懸念

業務に関係・教師

2026年3月29日 08:11

インタビューの分量1758文字

🎤すべての会話ログ

本日は、「デジタル教科書を正式な教科書として認めるための法案」について、感じていることやご経験を伺えればと思います。差し支えない範囲で大丈夫です。 この法案は、あなたの生活や立場とどのように関わっていますか?

教育関係の仕事/経験がある

教育関係のご経験があるのですね。現場の視点で伺えるのはとても貴重です。 デジタル教科書について、どの程度ご存知ですか?

よく知っている/使ったことがある

実際に使ったご経験があるのですね。 紙とデジタルを比べたとき、学びやすさはどう変わると思いますか?

場面によって使い分けが良い

使い分けが良いという感覚、現場感がありますね。 その「使い分け」が必要だと感じるのは、どういった学習場面のときですか?

今までの教科書に載っている情報を参照するのであれば紙媒体の方が圧倒的に早く、余計な手間を削ぎ落とし思考に集中できる 一方で、そこから引用してまとめる活動や、動画、音声といったコンテンツはデジタルが合っている

なるほど、「参照して考える」は紙が速くて思考に集中できる一方、「引用してまとめる」や動画・音声の活用はデジタルが合う、という整理なのですね。 紙の方が圧倒的に早いと感じるのは、具体的にどんな“参照”の動きのときですか?

国語科であれば、文章中から特定の文を探したり、過去の学習から類似した形式や表現を探す 算数であれば、公式や、似た考えを使う問題・単元、例題の解説 社会であれば、教科書や資料集の図や表、書中の文章 理科であれば実験の手順(教科書の内容をプリントアウトしたもの) 外国語でも既習の表現の振り返り 家庭科では理科におなじ etc... 慣れた子ではデジタルの読み込みの時間の間に探してしまえます

教科ごとに「探す・行き来する・見比べる」参照が多い場面で、紙のスピード感が効くということですね。慣れた子は読み込み待ちの間に紙で見つけてしまう、というのも現場ならではだと思いました。 その紙の“圧倒的に早い”感覚の差が特に大きく出るのは、デジタル側のどんな点(例:ページ移動、検索のしづらさ、画面サイズ、読み込み、書き込みのしにくさ等)にあると感じますか?

準備に時間がかかる 読み込みに時間がかかる(デバイスの性能にもよるが) といった所が大きい 書き込みに関しては一長一短で 紙は今までの感覚でさっと思った通りにかける、しかし、ページの折れ目や紙質により書きにくさ、消しにくさがある デジタルはより綺麗に、色使いも豊富にかけるが、ツールの選択に時間がかかることがあったり、手書きに比べて字が汚くなりがち また、綺麗にかけるが故に、凝ってしまう子がよく見られる

準備と読み込みの時間がボトルネックになりやすい、ということですね。書き込みも、紙は即時性が高い一方で物理的な書きにくさがあり、デジタルは表現は豊かでもツール選択に時間がかかったり、凝りすぎる子が出やすい…というのも納得感があります。 では、デジタル教科書を使うことについて、いちばん気になる懸念や課題は何ですか?

学習面(理解・集中・記憶など)

学習面をいちばん気にされているのですね。 その懸念が強く出るのは、授業のどんな場面ですか?

算数の計算領域

算数の計算領域で強く出るのですね。 計算領域では、デジタル教科書のどういった使い方・挙動が「理解・集中・記憶」の面で気になっていますか?

「計算の手順」の習熟が目的の学習を、低学年のうちからやっていく その中で、ツールを切り替えるという作業が入るデジタルは学習内容への集中するにはノイズが多い

おっしゃること、とてもイメージできます。低学年の「手順の習熟」が目的の段階だと、ツール切り替えそのものが認知的なノイズになって、学習内容への集中を削いでしまう感覚なのですね。 その“ノイズ”が特に大きいと感じるのは、デジタル教科書上で具体的にどんな切り替えが発生するときですか?

ツールやページの切り替え

ありがとうございます。ツールやページの切り替えが、計算手順の習熟には負担になりやすい、ということですね。 その負担が「学習としてつまずき」になって表れやすいのは、子どもたちの様子としてはどんな形ですか?

机間巡視している際に、画面の切り替えを待っている子、もしくは待っている間に集中が切れ私語を始める子(習熟している子、学習意欲が上がりにくい子の両極端に多く見られる)が見られる また、タッチペンを使い計算しているが、手書きよりも圧倒的にゆっくり&何度も同じ文字を書き直している子 式をキーボード入力することで、時間がかかる子 といった風に見られました

現場での具体的な様子までありがとうございます。切り替え待ちで集中が途切れて私語が出たり、逆に習熟している子も待ち時間がストレスになったり、入力手段(ペン/キーボード)自体でテンポが落ちる、ということなのですね。 学校現場でデジタル教科書を正式に扱うようになったとき、運用面でハードルになりそうなのは何だと思いますか?

教員の負担/研修

教員の負担や研修がハードルになりそう、という感覚なのですね。 その「教員の負担」が特に増えそうだと感じるのは、日々の業務のどの部分ですか?

・学習内容の増加 既存の学習内容に加えてデジタル教科書の使い方を学習させる必要がある。現行のデジタル教科書は直観的でなく、規格も統一されていないので、種類ごとに教える必要があるのもハードルのひとつ。 ・教員自身の研修 これは若手の教員であればそうでもないかもしれと思うが、ベテランになってくると使うことが難しい。デジタルコンテンツ慣れしていない中堅以降は、その使い方に研修の時間を割くことになる。本来そこは学校学級運営や教科指導、生活指導の研修に充てられたはずの時間である。 ・公教育としての公平性の担保の難しさ(選択肢とズレるがこれも大きな課題) 現在自治体によってハードもソフトもバラバラである。タブレットPCを使う自治体があれば、surface、iPadなどハードは多岐に渡る。そのスペックも様々である。学習者用アカウントもMicrosoftがあればGoogleがあれば両方のところもある。 プラットフォームによって使えるツールが違ったり、スペックによって学習の快適さが異なったりする。他校の公開授業を見に行くと、タブレットの起動が秒で完了したり(自分の学校はそれだけで何分かかかる)、電子黒板があったり(自分の学校にはない)、プロジェクターがあり黒板でハイブリット型の板書をしたり(自分の学校にはない)、タブレットがすぐに取り出せるように机がけのケースがあったり(自分の学校には…)していた。 コンテンツも市が変わると別のものを使っており、しかも互換性が無いものがある。そして、往々にして、真似したいものに限ってその互換性が無いのである。 自治体ごとの担当者の理解度の差から来るウェブの制限もある。他の小学校の子供たちが作った学習ツールを使ってみようと思ったら、こちらは使うどころか見ることすら叶わなかった(フィルタリング) このような差は地域性、特色としては片付かない。公教育でありながら、入学した学校によって生まれる格差である。 デジタルコンテンツは本来子供たちの学習の質を高めるためのものであって、格差を広げる結果を産むのであればそれは意図するところではないはずである。

かなり具体的で、現場の切実さが伝わってきました。 整理すると、①子どもに「使い方」を教える学習が増える(しかも直感的でなく規格も不統一)、②教員側も特に中堅以降は研修負担が重く、本来の研修時間を圧迫しうる、③自治体・学校間で端末/OS/アカウント/回線/周辺機器/フィルタリング/教材互換性までバラつき、公教育として看過しづらい格差が生まれている、というお話でしたね。 最後に伺いたいのですが、デジタル教科書に関して制度設計をする人に何か一つ伝えることがあるとしたら、それは何ですか?

規格の統一して欲しい できれば動作が軽く、直観的に扱える方向で

ありがとうございます。「規格の統一」と「動作が軽く直観的に扱えること」を制度側で強く押さえてほしい、ということですね。 ここまでで事前の質問は一通り伺えましたので、これまでのお話をまとめ、レポートを作成します。

お時間を割いて具体的なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。ここまでの内容でレポート案をまとめました。認識違いがないかご確認ください。

💬意見の要約

意見1

参照して考える学習は紙が速い

文章や公式、図表などを探して行き来する場面では紙が圧倒的に早く、余計な手間が減って思考に集中しやすい。

意見2

デジタルは準備・読み込み・切替がノイズ

準備や読み込みに時間がかかり、ツール/ページ切替も増えがち。低学年の計算手順の習熟では集中を削ぐ要因になりやすい。

意見3

規格不統一と自治体差が負担と格差を生む

教科書の操作が直感的でなく規格も統一されていないと教える内容が増える。端末・アカウント・機器・互換性・フィルタ差も学習格差につながる。