💬インタビューレポート
一般市民
子どもはいないため直接の当事者ではないが、親族に小学生がおり、会うたびに学校の紙の教科書を見せてもらうなど関心を持っている。
💬主な意見
やるなら無償支給とクラウド同期に加え、ソフト側の互換性を確保し、紙の教科書も選べる形にしてもらいたい
“端末は教科書同様に無償支給がよい。卒業後も手元に残る運用を望む一方、故障で学習停止や書き込み消失が怖いのでクラウド同期と互換性が必要。
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本日は「デジタル教科書を正式な教科書として認めるための法案」について、率直なお考えや実感を伺いたいです。差し支えない範囲で大丈夫です。 この法案は、あなたの生活や立場とどのように関わっていますか?
子供はいないので私の生活には直接には関わりません。ただ、親族の子供がまだ小学生で、会うたびに「教科書を見せて」と言って学校の教科書を見せてもらっています。
直接の当事者ではない一方で、親族のお子さんの教科書に触れる機会があるのですね。 そのお子さんの学校では、教科書は紙が中心ですか、それともデジタル(タブレット等)も使っていますか?
紙ですね。すでにデジタルの教科書があるのですか?
はい、すでに「学習者用デジタル教科書」として、紙の教科書と同じ内容をタブレットやPCで見られる形のものが学校に入っているケースがあります(現状では“正式な教科書”とは位置づけが少し違う、というのが今回の法案の背景です)。 デジタル教科書について、どの程度ご存知ですか?
ほとんど知らない
ありがとうございます。では前提から少しずつ伺います。 紙とデジタルを比べたとき、学びやすさはどう変わると思いますか?
紙の方が学びやすい
紙の方が学びやすいと感じていらっしゃるのですね。 紙が学びやすいと思うのは、どんな学習の場面のときですか?
紙なら、書き込むことが簡単にできるので、自分がどこまで勉強したのかがすぐに把握できるのと、その教科書で学ぶことの全体を簡単に把握できると思います。デジタルでは教科書の厚みがわからないし、パラパラめくることもできませんよね。
なるほど、書き込みのしやすさと、学習の進捗や全体像が「手触り」や「厚み」で掴める点が大きいのですね。デジタルだとパラパラめくって俯瞰しづらい、という感覚もよく分かります。 今お話しいただいた中だと、「全体を把握しやすい」という点は、具体的にはどんな瞬間に差が出ると感じますか?
教科書を初めて開いたときに差がでます。紙であれば、自分がどのくらいのペースで勉強をすすめていけばいいかがパッとわかると思います。学校の先生が教えてくれるスピードで学習を勧める受け身の生徒ではなく、自分で教科書を読んで独学の形で予習していく積極的な生徒を想定しています。私がそうだったので。
ご自身の経験から、最初に教科書を開いた瞬間に「分量感」と「見通し」が立つことが、自走して学ぶうえで大事だということですね。主体的に予習していくタイプほど、そこが効いてくるという話、とても納得感があります。 その前提で伺いたいのですが、デジタル教科書を正式な教科書として認める流れの中で、いちばん気になる懸念や課題は何ですか?
まずはそのデジタル教科書のハードは誰が用意するのかということ。家庭で用意する場合、費用負担はどうなるのかという点も気になります。また、紙とデジタルで好きな方を選べるという形にはならないのかという点も気になります。好きに選べるようになってほしいですね。
端末を誰が用意するのか、家庭負担がどうなるのかは確かに大きな論点ですね。あわせて、紙とデジタルを選べる形にしてほしいというご希望もよく伝わりました。 いま挙げてくださった中だと、「端末を家庭で用意する場合の費用負担」について、どんな負担の形だと不公平さが大きいと感じますか?
教科書がデジタルになる場合、端末は貸与ではなく、生徒の所有物にするのが良いと思いますが、その場合、各家庭で購入ということになると、それを負担に感じる人がかなりいるのではないかと思います。よくネットで見るNPOのCMで、日本の子供の9人に1人は、1日1食くらいしか食べることができない貧困家庭にいますと言ってますよね。
おっしゃる通りで、端末が「個人所有」前提になると、家庭の経済状況によって学習環境が割れてしまう不安が強いですね。特に、生活に余裕がない家庭ほど影響が大きくなり得る、という問題意識だと受け取りました。 その前提で伺います。端末を個人所有に寄せるとして、費用負担の不公平を小さくするには、どんな仕組みが現実的だと思いますか?
無償で支給するしかないと思います。確か、小中の教科書は無償で支給されていますよね。それと同じです。
無償支給が前提、というお考えなのですね。いまの小中学校の教科書無償と同じ扱いに揃えるべきだ、という筋の通ったご意見だと感じました。 その場合、無償で支給される端末は「卒業後は返却する貸与」と「卒業後も手元に残る支給」のどちらがよいと思いますか?
卒業後も手元に残らないと意味がないですよ。卒業したら教科書を見なくなるなんてことはありません。特に、歴史の教科書なんて、大人になっても読み返しますよ。
卒業後も手元に残る形でないと学びの資産にならない、ということですね。歴史などは大人になって読み返す、という実感もよく分かります。 その前提で伺いますが、端末やデジタル教科書を「卒業後も手元に残す」運用にした場合、学校現場でハードルになりそうなのは何だと思いますか?
そのハードが授業中に故障した時の扱いですね。隣の席の子に見せてもらうしかないのだろうけど、ハードが壊れてしまうと、直るまで家で勉強できなくなってしまいますよね。しかもすべての教科の学習が止まってしまいます。自分が書き込んだ内容も消えてしまうかもしれない。なので、私は基本的にはデジタル教科書には反対ですね。
故障した瞬間に、家での学習まで一気に止まってしまう不安が大きいのですね。しかも書き込みが消えるかもしれない、というのは切実だと思います。 その「故障した時のリスク」を下げるために、制度として最低限入れてほしい備えは何だと思いますか?
教科書のソフトの部分は、クラウドに置いておき、都度タブレット側とシンクロさせるようにする必要があると思います。また、複数メーカーのタブレットと互換性を持っている仕様にするべきだと思います。
クラウド同期でデータ(教科書・書き込み)を守ることと、特定メーカーに縛られない互換性を確保することが最低限、ということですね。故障時でも別端末で学習を継続できるように、という発想だと理解しました。 最後にお伺いします。デジタル教科書に関して、制度設計をする人に何か一つ伝えることがあるとしたらそれは何ですか?
教科書を使い、生徒が自分で学習を進めていく手段(独学で予習する手段)を残しておいてほしいということです。
承知しました。授業についていくための道具というだけでなく、生徒が自分のペースで予習・独学できる「学びの足場」を制度として残してほしい、というメッセージですね。 ここまでで一通り重要論点は伺えたので、これまでの内容をまとめ、レポートを作成します。
お時間をいただき、ありがとうございました。伺った内容をもとにレポート案をまとめました。内容に誤りや抜けがないか、ご確認ください。
「やるなら無償支給とクラウド同期、互換性、紙も選べる形がいい。」は日本語が変なので「やるなら無償支給とクラウド同期に加え、ソフト側の互換性を確保し、紙の教科書も選べる形にしてもらいたい。」としてください。
ご確認ありがとうございます。ご指摘の表現を、以下のとおり修正してレポート案に反映しました。