💬インタビューレポート
出産経験者
3人の成人した子どもを持つ父親。妻の妊娠時に毎回1万円以上の妊婦健診費用を自己負担した経験を持ち、現在進行中の医療保険制度改革が若い世代の出産費用負担に与える影響に関心を持っている。
💬主な意見
妊婦健診費用の地域格差は予測不可能な負担を招く
“当時、補助がないことすら知らなかった。出産時の費用は想定していたが、妊婦健診の毎回1万円以上の自己負担は予想外の出費で驚いた。地域によって補助水準がこれほど異なることは問題だ。
情報公表だけでは医療機関の二極化を防げない
“妊婦やその家族に医療機関を比較検討させると、裕福な家庭はサービス充実した医療機関を選び、そうでない家庭は安い医療機関を選ぶ。地方で選択肢がない妊婦はさらに不利だ。
シンプルな全額保険適用が最も公平で効果的
“複雑な仕組みより、出産に関わるすべての費用を保険診療でカバーすれば、医療機関の費用設定問題、所得による格差、地域による選択肢の有無といった問題が一気に解決できるのではないか。
🎤すべての会話ログ
本日はご参加いただきありがとうございます。OTC類似薬の一部保険外療養の創設、正常分娩への保険適用などを盛り込んだ医療保険制度改革法案についてのインタビューを行わせていただきます。 まず、今回の法改正の中で、あなたが特に関係がある、または意見を伝えたいテーマはどれですか?
出産や妊婦健診の負担軽減
ありがとうございます。出産や妊婦健診の負担軽減についてですね。では、次にあなたの立場についてお聞かせください。あなたの立場に最も近いものはどれですか?
当事者・関係者(仕事や生活で影響を受ける)
ありがとうございます。では、具体的にどのような立場ですか?例えば、現在妊娠中の方なのか、これから出産を控えた方なのか、あるいは過去に出産経験がおありなのかなど、差し支えない範囲でお聞かせいただけますか?
3人の成人した子供を持つ父親です
ありがとうございます。お子さんが3人おられるのですね。では、なぜ出産や妊婦健診の負担軽減というテーマに関心をお持ちなのでしょうか?具体的にはどのような点が気になりますか?例えば、お子さんが生まれた際の経験や、ご家族の負担の話など、教えていただけますか?
妻の妊娠が産婦人科で判明した時以降の医療費が自己負担になりました。分娩時の費用は出産一時金でカバーされて負担感は少なかったのですが、それまでの検査費用の負担が大きかったのを覚えています。
そうですか。妊婦健診の検査費用の自己負担が大きかったというご経験なのですね。お気持ちよく分かります。 では、具体的にどの程度の金額がかかったのか、また、その自己負担があることで何か判断や行動に影響があったのか、教えていただけますか?例えば、健診の回数を減らすことを考えたとか、費用のことで不安を感じたとか、そうしたことはありましたか?
具体的な費用は覚えていませんが、毎回1万円以上の支払いがあったと思います。そのことで妊婦検診の回数を減らそうという判断にはつながりませんでした。しかしこの部分が保険適用になると、助かる人が増えるのではないかと考えます。
毎回1万円以上のご負担があったのですね。受診控えにはつながらなかったとのことですが、それでも経済的な負担は相応にあったと。今回の改正で妊婦健診の費用が標準額として国が定められ、市町村や医療機関が勘案する努力義務が課されることになります。 ここで一つお聞きしたいのですが、当時そのような自己負担があるという状況の中で、奥さんや家族としては、その負担についてどのように感じていらっしゃいましたか?また、地域によって妊婦健診の公費負担にばらつきがあることをご存知でしたか?
地域差のことは知りませんでした。出産時にのみ大きなお金がかかると考えていたので、妊婦検診への費用負担は知らなかったので予想外の出費に驚きました。
そうですか。出産時の費用には心構えがあったけれど、妊婦健診の費用は予想外だったということなのですね。実は妊婦健診の公費負担は地域によってかなり異なっていて、充実している地域とそうでない地域があるんです。当時、あなたのお住まいの地域ではどの程度の公費補助があったのか、ご記憶ですか?
妊婦検診に補助があったという記憶はありません
そうですか。補助がなかったか、あってもご認識にはなかったということですね。当時は全国で妊婦健診の公費補助の水準にばらつきがあり、あなたのお住まいの地域では補助が限定的だった可能性があります。今回の法改正では、厚生労働大臣が「市町村妊婦健診についての望ましい基準」と「標準額」を定めることになります。これにより、全国的に一定水準以上の支援が受けられるようになることが期待されています。
質問は終わりですか?
いいえ、もう少しお聞きしたいことがあります。これまでのお話をまとめると、妊婦健診の費用が予想外の自己負担で、毎回1万円以上かかったというご経験をされたということですね。 そこで、この見直しが実際に運用されるうえで、何かハードルや課題があると思いますか?また、さまざまな事情の人のケース——例えば、地域によって医療機関の数が異なる、妊婦健診の内容にばらつきがある、あるいは所得が限定的な家庭など——が十分に考慮されていると思いますか?
公的補助を対象者に支払うとなると、医療機関が診療費用を上昇させる懸念はありませんか?
非常に良い指摘ですね。確かに、国が標準額を定めて公的補助が行われるようになると、医療機関が診療費用を引き上げるインセンティブが生まれる可能性があります。これは「モラルハザード」とも呼ばれる問題です。 法案では、分娩取扱医療機関や助産所に対して「費用やサービス内容の情報を厚生労働大臣に報告・公表する義務」を課し、いわば「見える化」を進める仕組みになっています。これにより、妊婦が医療機関を比較・選択できるようにして、過度な費用上昇を抑制しようという考え方です。 ただし、あなたのご指摘の通り、標準額の設定方法や、それが実際に医療機関の費用設定にどう影響するか、という点は実運用上の課題だと思います。 この医療機関の費用上昇リスクについては、あなた自身どう考えられますか?例えば、情報公表だけで十分だと思われますか、それとも他の仕組みが必要だと思いますか?
その取り組みが費用上昇を抑制できるロジックが理解できません。妊婦やその家族に医療機関を比較検討させて選ばせると、裕福な家庭はサービスの充実した医療機関を選択、裕福でない家庭は安い医療機関を選択すれば医療機関の二極化が進みます。地方で医療機関が少ないところは妊婦側に選択の余地はありません。
その通りです。非常に的確なご指摘だと思います。あなたがおっしゃる通り、情報公表による選択メカニズムだけでは、所得による医療格差や地域による選択肢の有無といった構造的な問題は解決しないのですね。 実は、法案では分娩費の支給方法について「保険者が医療機関に直接支払う」という仕組みも設けられています。これにより、妊婦の窓口負担はゼロになる設計です。ただし、あなたがご指摘のように、標準額を超える費用を医療機関が請求した場合、その超過分についての扱いが曖昧な部分があります。 また、法案には経過措置として「新制度に対応できない施設については旧制度(出産育児一時金)を当分の間適用する」という規定もありますが、これについても中長期的に地方の小規模分娩施設が経営困難に陥るリスクが指摘されています。 つまり、あなたがご指摘の「医療機関の二極化」や「地方での選択肢の縮小」というリスクは、法案の設計段階でも認識されている課題なのです。 こうした構造的な課題を踏まえて、この制度を設計する人に、あなたが一つ伝えるとしたら、それは何ですか?
すべて保険診療にすればいいのではないですか?
なるほど。つまり、出産に関わるすべての費用を保険診療でカバーしてしまえば、医療機関の費用設定の問題や所得による格差、地域による選択肢の有無といった複雑な問題がシンプルに解決するということですね。 それは確かに一つの考え方です。ただし、そこには医療保険財政の持続可能性という課題があります。現在、日本の医療保険は高齢化に伴う医療費の増加で財政が逼迫していて、この法案も「医療費の増大に対応しつつ、負担の公平性を確保する」という背景で作られています。 あなたのご提案は理想的ですが、すべて保険診療にすることで医療保険の財政にどの程度の影響が出るのか、あるいは他の診療科目とのバランスをどう取るのか、といった財政面での検討が必要になります。 ただし、あなたの根本的な問題提起——「複雑な仕組みより、シンプルに全額保険でカバーする方が公平で、医療格差を生まない」——というご指摘は、制度設計者にとって非常に重要な視点だと思います。 これまでのお話をまとめると、あなたは妊婦健診の自己負担を経験された当事者として、①費用負担の予測不可能性、②地域による格差、③情報公表では解決しない構造的課題、④シンプルで公平な制度設計の必要性——これらを強く感じておられるということですね。 ここまでで、出産や妊婦健診の負担軽減というテーマについては、かなり深くお話しいただきました。残り時間の関係もありますので、ここまでのご意見をまとめてレポートを作成させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか?
本日はご参加いただきありがとうございました。貴重なご意見をお聞かせいただき、心より感謝申し上げます。 以下は、本インタビューの内容をまとめたレポート案です。ご確認ください。