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💬インタビューレポート

AI開発者

懸念事業者

AI開発・データ分析の仕事や研究に関わっており、個人情報保護法改正についても「よく知っている」と述べている。多重下請けや海外委託の現場運用でルール逸脱が起きた事例を見聞きしている。

回答日2026.7.11 23:18
インタビュー分量18 分 / 1219 文字

💬主な意見

同意なし提供でも機微情報は匿名化してほしい

統計解析なら本名や住所などの識別子は不要で、ランダム記号で十分だと思う。下請け等に渡すなら住所・氏名・電話・病歴などは個人特定できない形へ変換を義務にしてほしい。

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多重下請け前提で外部流出を止める仕組みが要る

日本の開発は下請け・孫請けが普通で、提供先からさらに外へ出ること自体がリスク。提供先の会社の責任範囲(サーバー)から出さない義務が大事だと感じている。

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認証・抜き打ち監査・教育で運用を担保してほしい

ルールがあっても現場が知らずに海外サーバへ置く例を何度も見たため、目的外共有は起こりうると思う。公的な認証と更新、抜き打ち監査・教育、海外再委託の禁止を要件にしてほしい。

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🎤すべての会話ログ

本日はお時間ありがとうございます。「個人情報の使い方にルールを追加し、悪質な違反には課徴金を科せるようにする法案(個人情報保護法改正)」について、お話を伺います。 まず、この法案にどういう立場で関わっていますか。

AI開発・データ分析の仕事や研究に関わっている

AI開発・データ分析の立場から関わっていらっしゃるのですね。 今回の個人情報保護法の改正について、現時点でどの程度ご存知ですか。

よく知っている

よくご存知なんですね、心強いです。 今回の法改正について、全体としてどのように評価していますか。

統計目的であれば本人の同意なしにいかなるデータも提供できる点が問題だと感じている。

懸念を持たれているのですね。 その「統計目的で同意なしに提供できる点」について、どんな種類のデータまで対象に含まれてしまうのが特に問題だと感じますか。

住所や本名、病歴などの情報がセットで提供されることが問題だと思います。統計解析目的のみであれば、個人の識別子は本名や住所である必要はありません。ランダムに置き換えた記号で十分解析可能です

具体的なイメージありがとうございます。識別子をそのまま渡す必要はない、というご懸念ですね。 補足させていただくと、この法案は「統計情報の作成やAI開発“のためだけ”に使う」場合に、本人同意なしで他の事業者へ提供できるようにする一方、目的外利用は禁止という建て付けです(ただ、どの程度の加工・匿名化が必須かは運用の設計が効いてきます)。 この点を踏まえてお聞きしたいのですが、同意なし提供を認めるとしても“最低限ここまでは義務にしてほしい”と思う安全措置は、どのあたりですか。

ほかの事業者に提供する場合、日本の開発においては下請けをほぼ使用します。下請け、孫請けは普通です。まず最低限、提供した先で提供した会社の外に出さないというのを義務付けたほうがいいと思います。また仮に提供した会社が下請けにデータを許可する場合には、機微な情報(住所や名前、電話番号、病歴など)は匿名化し、個人が特定できない形に変換することを義務付けてほしいです。多重下請けの先には、法律を遵守しない個人事業主がおり、法律の罰則のみでは目的外の運用を阻止することはできないと思います

多重下請けの実態を踏まえると、提供先のさらに外へ広がること自体が大きなリスク、という感覚なんですね。匿名化の義務付けも含めて、かなり現場感のあるご指摘だと思いました。 今のお話の前提で伺いたいのですが、「提供した先で提供元の会社の外に出さない」という義務は、具体的にはどの範囲までを“外”と考えていますか。

その会社のグループ会社であっても外です。その会社の責任となる範囲内のサーバーの外に出ていく時点で「外」になると思います

範囲感が明確で助かります。グループ会社でも別主体で、サーバーがその会社の責任範囲を出たら「外」という整理なんですね。 その前提でお聞きしますが、その「外に出さない」ルールに例外を作るとしたら、どんな条件のときなら許容できそうですか。

第三者機関の判断をもって許可が出た場合に外に出すというルールがよいと思います。なぜ機微な情報がないと統計処理ができないのかを説明し、第三者的に認可されない限りはできない運用にしていただきたいです。あるいは、国で認証制度を作り、適切な運用ができる事業者にのみ本改正案の本人の同意なきデータ共有を許可するというのでもよいです

第三者の関与や認証制度で“例外を絞る”発想なんですね。現場としても恣意的に広がらない仕組みが重要、ということだと理解しました。 では最後に、この法案について制度を設計する人に伝えるとしたら、どんな点を優先して設計してほしいですか。

悪意ある事業者、個人事業主、海外の事業者に、機微な情報が絶対に渡らない様にしてほしいです。仮にその事業者が開発をするうえで必要不可欠だったとしても、個人の安全より上回る統計による恩恵は存在しません。

強い問題意識があるのですね。悪意ある事業者や海外事業者に機微情報が渡ることは、便益よりもリスクが上回るというお考えだと受け取りました。 今回の法改正で、あなたが特に気になっている点はどれですか。

一定の条件のもとに、同意なく個人データが使われるようになること

ありがとうございます。 その「一定の条件のもとに、同意なく個人データが使われるようになること」が気になる背景として、これまでに見聞きした具体的なヒヤリとした事例(目的外利用が起きそうだった/下請け先で管理が甘かった等)はありますか。

あります。例えば、海外の事業者に委託しているソフト開発において、本来はセキュリティ管理上海外のサーバに置いてはいけないデータを、現場の日本側の作業者がルールを知らなかったために海外サーバに置きつづけていた例は何度も目にしました。 会社としてルールを定めていたとしても、運用の中で作業者全員がそれを把握して仕事をできるわけではありません。また多重下請けの事業者にそこまでの責任感はありません。 目的外やルールを違反したデータ共有は十分に起こりうると思います。

具体例をありがとうございます。ルールはあっても現場の運用で抜け落ちてしまい、結果として海外サーバに置かれてしまう、という“起こり方”を何度も見てこられたのですね。不安が現実的だと感じます。 その経験を踏まえて伺いたいのですが、同意なしでのデータ提供を制度として認めるなら、提供元の企業にどんな「運用面の義務」(教育・監査・ログ・委託先管理など)が最低限必要だと思いますか。

定期的な抜き打ち監査と教育は第一です。先ほども述べましたが、ISOの認証制度のように、公的機関が運用を任せてもよい企業を認証し、数年ごとにそれを更新しつづけられる企業にのみ、同意無しで提供されたデータの扱いを認めるべきだと思います

ありがとうございます。抜き打ち監査と教育を“最低限”として、その実施を担保するために公的な認証・更新制度で足切りをする、という設計イメージなんですね。 その「公的機関の認証」を設計する場合、認証の合否を分ける基準として、どんな要件を重視すべきだと思いますか。

社内での定期的な抜き打ち監査の実施、包括的で定期的な教育の実施、海外企業への再委託の禁止、再委託する場合は認証ありの企業のみとする、が要件として考えられると思います

ありがとうございます。抜き打ち監査・教育を軸に、再委託(特に海外)を強く制限し、再委託先も認証済みに限定する、という要件像ですね。 ここまでの要件を前提にお聞きしたいのですが、「海外企業への再委託の禁止」を入れる場合、例外を設けるとしたらどんなケースなら許容できそうですか。

基本的に容認しない方針でお願いしたいと思います。安全保障上でもリスクがあります。

ご意見ありがとうございます。海外再委託は安全保障も含めてリスクが大きく、基本的に例外は設けない設計が望ましい、ということですね。 ここまで伺った内容を整理してレポートにまとめていきたいのですが、こちらで要約フェーズに進めてもよろしいですか。

お時間をいただき、ありがとうございました。ここまでの内容をもとにレポート案を作成しました。ご確認ください。