💬インタビューレポート
AI開発者
AI開発・データ分析の業務/研究に関わる立場から、改正案の課徴金導入が実務上の不正利用抑止として機能するかを懸念している。
💬主な意見
金銭解決だけでなく信用面の不利益も
“やらかした事業者・個人を信用情報DBに載せ、融資を制限する等の継続的ペナルティが有効。名義貸し対策で全国民も対象、トリガーは刑事有罪が現実的。
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本日は、「個人情報の使い方にルールを追加し、悪質な違反には課徴金を科せるようにする法案(個人情報保護法改正案)」について、お考えを伺いたいです。差し支えなければ、まずこの法案にどういう立場で関わっていますか。
AI開発・データ分析の仕事や研究に関わっている
ありがとうございます。AI開発・データ分析の文脈で関わっていらっしゃるのですね。 今回の個人情報保護法の改正について、現時点でどの程度ご存知ですか。
概要は知っている
ありがとうございます。では、今回の法改正について、全体としてどのように評価していますか。
どちらかといえば良くない
ありがとうございます。「どちらかといえば良くない」と感じていらっしゃるのですね。 その評価につながった点として、具体的にどのあたりが一番ひっかかっていますか。
不正利用によって得られた利益に対して課徴金を課す部分。 ・利益のうち、不正利用によって得られた部分を外形的に限定できないおそれ。OSSなど利益を求めない用途であればフリーおなるおそれ。 ・『課徴金さえ支払えば不正利用し放題』となるおそれ。
ご懸念、よく分かりました。特に「不正利用で得た利益」をどう切り出して算定するかが曖昧だと、萎縮や不公平につながり得る、という感覚ですね。 まず確認させてください。あなたが一番気になっているのは、課徴金額の“利益相当”の算定が現実には難しく、適用がブレたり過大になったりしうる点、という理解で合っていますか。
萎縮や不公平が問題ではありません。開き直って課徴金前提で利用し放題になるのが問題です。
承知しました。萎縮や不公平よりも、「課徴金が実質的に“利用料”のように扱われて、開き直って不正利用が増えるのでは」という点が核心なのですね。 その「課徴金前提で利用し放題」になり得るのは、具体的にどんな事業者や場面を想定されていますか。
①A社が課徴金前提のヤバいシステムを提供 ②B社がA社のヤバいシステムを利用 ③B社がA社に別の案件でキックバック みたあなパターンです。
具体例ありがとうございます。まさに「課徴金が“コスト化”されて、裏側で利益が回収される」構図を想定されているのですね。 この①〜③のようなパターンを抑えるうえで、制度設計として特に弱い(穴になりやすい)と思うのは、どの部分ですか。
課徴金でなく懲役刑にするべきではないでしょうか。
ご提案ありがとうございます。「課徴金だとコスト化されて抜け道ができるので、懲役刑のほうが抑止になるのでは」という問題意識ですね。 この論点で伺いたいのですが、懲役刑を入れるとした場合、どんな行為を対象にするのが現実的だと思いますか。
今回の法案で課徴金の対象となるものをそのまま。
ありがとうございます。課徴金の対象行為(不正取得・不正提供などの悪質類型)を、そのまま刑事罰(懲役)でも担保するのが現実的、というお考えですね。 では次に、今回の法改正の中で、あなたが特に気になっている点はどれですか。
違反した企業への罰則や、被害を受けた人の救済のしくみ
ありがとうございます。 先ほどの「課徴金だとコスト化されて不正利用が増えうる」という懸念を踏まえると、被害を受けた人の救済のしくみとしては、どんな形があると実効性が高いと思いますか。
救済については無理なので考えていません。
率直にありがとうございます。「事後の救済は難しいので、そもそも起こさせない抑止が大事」という感覚に近いのですね。 この法案について、制度を設計する人に伝えるとしたら、どんな方向で抑止を強めてほしいですか。
『罰則』が『利用のためのサブスクリプション』に変わらないこと。
ありがとうございます。「罰則が“利用のためのサブスク”に見えてしまう設計にはしないでほしい」というメッセージですね。 ここまでの話を踏まえて確認ですが、先ほど挙げていただいた①〜③のようなスキームを防ぐうえで、制度側で特に優先して強化すべきだと思うのは“刑事罰(懲役刑)の導入”という理解で合っていますか。
目的が果たせるのであれば刑事罰でなくてもよいです。
承知しました。手段として刑事罰に限らず、「罰則がコスト化されず、目的(抑止)が果たせること」が重要なのですね。 その目的を果たす手段として、課徴金制度にどんな条件や仕組みが入っていれば「サブスク化しない」と感じられそうですか。
【金銭解決のみ】でないこと。
ありがとうございます。ポイントは「金銭(課徴金)だけで終わる形にしない」ことなのですね。 ここで伺いたいのですが、金銭解決“以外”に入れるべきだと思う措置は、どんなものですか。
たとえば、信用情報的なデータベースを用意して、やらかした人に対する融資を規制するなどはどうですか。
なるほど、「金銭で払って終わり」ではなく、社会的・経済的な取引条件に効く形で抑止する発想ですね。融資に影響する信用情報のような仕組みだと、裏でキックバックしても継続コストが重くなりそうです。 その信用情報的データベースは、登録対象をどの範囲の事業者・違反に広げるのが適切だと思いますか。
全事業者、全国民でいいのでは。クレジットカードの信用情報とマージしたらいいと思います。
アイデアありがとうございます。経済活動そのものに制約がかかる形で抑止する、という方向性ですね。 一方で補足すると、今回の法案自体は「個人情報保護法上の悪質な違反に、利益相当額の課徴金を科せるようにする」などが中心で、信用情報(クレジットのスコア)と統合して全国民まで対象を広げる仕組みは、この法案の中には直接は書かれていません。 この点を踏まえた上で伺いたいのですが、あなたの案で「全国民も対象」に含めたいのは、どんなケースを想定していますか。
フリーランスが名義貸ししたときなどの対策。
なるほど。法人だけを縛っても、フリーランスの名義貸しで迂回されるのを防ぎたい、ということですね。 名義貸し対策として「全国民も対象の信用情報的DB」を考える場合、登録(制約)のトリガーは、どういう事実が確認できたときにするのが現実的だと思いますか。
刑事で有罪
ありがとうございます。名義貸しのような迂回を防ぐには、刑事で有罪になった事実をトリガーにして登録・制約するのが現実的、ということですね。 ここまでのお話を踏まえて整理すると、 - 課徴金だけだと「コスト化」されて不正利用が回り続ける懸念がある - 金銭解決“のみ”にせず、継続的に効く不利益(信用面・融資面など)を組み合わせたい - ただし濫用を避けるため、制約の発動は刑事で有罪など確定した事実に紐づけたい …というご意見だったと理解しました。 このあとは、これまでの内容をまとめ、レポートを作成します。
お時間をいただき、ありがとうございました。ここまで伺った内容をレポート案にまとめました。事実関係やニュアンスにズレがないか、ご確認ください。