💬インタビューレポート
医療技術研究者
医療技術分野における研究者・有識者で、医療機関の業務効率化と勤務環境改善について、現場の実務経験に基づいた専門的な知見を有する。
💬主な意見
診療報酬体系の抜本改革が必須
“現在の診療報酬は医療行為の量に応じた報酬になっているため、患者の治癒がインセンティブにならない。医療とコンサルティング機能を分離し、治療成果に基づいた報酬体系に変える必要がある。
短期的には情報共有とAI活用の推進を
“患者情報の共有、診断・治療でのAI活用、保険業務のAI化を診療報酬加算と組み合わせることで、短期的な効率化が可能。効率化した医療機関に報酬を上乗せするインセンティブ構造が重要。
制度維持のための構造的再編は避けられない
“医療保険制度の維持不可能という危機的状況が改革の原点であり、すべての施設に配慮する発想では根本解決にならない。淘汰や再編の過程で影響を受ける者への手当は望ましいが、その覚悟が必要。
🎤すべての会話ログ
こんにちは。本日は、出産費用をゼロにし、薬や医療費の負担の仕組みを見直す法案についてお話しいただきたいと思います。よろしくお願いします。 まず最初に、この法改正のうち、あなたが特に関係がある、または意見を伝えたいテーマはどれですか?
医療機関の業務効率化・勤務環境改善
ありがとうございます。医療機関の業務効率化・勤務環境改善ですね。この点についてお話しいただくのですが、まず あなたの立場に最も近いものを教えていただけますか?
有識者・研究者
ありがとうございます。有識者・研究者のご立場なのですね。では、具体的にはどのような分野での研究や専門活動をされていますか?例えば、医療経営、医療政策、労働環境、医療技術など、どのあたりが専門でしょうか?
医療技術
医療技術がご専門なのですね。ありがとうございます。では、医療技術の視点から、この法案に含まれている「医療機関の業務効率化・勤務環境改善」について、なぜ/どのような点が気になりますか?具体的に教えていただけますか?
分業、タスクの管理、情報共有、経理処理に効率化の余地あり。そもそも医療とコンサルティングがわかれておらず、不要な医療の振り落しもできていない
貴重なご指摘ですね。医療技術の現場から見ると、業務効率化に向けた課題が複数層あるということですね。 特に興味深いのは「医療とコンサルティングが分かれていない」というポイントです。つまり、本来は医療に専念すべき人たちが、経営判断やコンサル的な役割も担当しているということですか?また、「不要な医療の振り落しができていない」というのは、どのような意味でしょうか?例えば、重複検査や過剰診療といった具体的な課題があるということでしょうか?
重複検査、過剰診療はまさにそのままです。また医療行為と経営行為は異なるため、優れた医者が優れた経営者とは限らない
そうですね。医療行為と経営行為が別のスキルセットということ、非常に説得力があります。現在、多くの医療機関では医師が経営判断まで担当せざるを得ない構造になっているということですね。 重複検査や過剰診療の問題と、経営・コンサルティング機能の分離という2つの課題が挙げられました。この法案では「医療機関における業務の効率化及びその従事者の勤務環境の改善のための措置を講ずるよう努める」と書かれていますが、医療技術の現場から見ると、この法案の枠組みではこうした課題に十分に対応できると思いますか?それとも、もっと踏み込んだ仕組みが必要だと感じられますか?
さらにいえば、病気の治療ではなく、医療提供で収入が出るのはインセンティブ構造的におかしい。効率化が進むわけがない
非常に核心を突いたご指摘です。つまり、現在の診療報酬体系では「提供した医療行為の量や件数に応じて報酬が決まる」という構造になっており、これが本来の目的である「患者の病気を治す」というインセンティブと相反する可能性があるということですね。
そのとおりで、直さないほうが儲かる。
その通りですね。「患者が治癒して来院しなくなる=収入減」という逆説的な構造が生じているわけです。これは業務効率化・勤務環境改善の根本的な障害になっていると考えられるわけですね。 そうすると、この法案で掲げられている「業務効率化・勤務環境改善」という施策だけでは、根本的な解決にならないということでしょうか?つまり、診療報酬体系そのものの改革なしには、真の効率化は難しいと?
中長期的にはそのとおり。
ありがとうございます。中長期的には診療報酬体系の抜本的な改革が必要だというご認識ですね。では、この法案が今後施行されていく中で、短期的には何か改善の手がかりになる可能性があると思いますか?例えば、情報共有やタスク管理の仕組みが整備されることで、少なくとも現場の負担は軽くなる可能性もあるのでしょうか?
あると思います。患者情報の共有と、診断・治療でのAI活用、保険でのAI活用を、点数の増加と組み合わせてやるべきでしょう
なるほど、短期的な改善の道筋が見えてきたということですね。患者情報の共有、AI活用による診断・治療支援、保険業務のAI化を、診療報酬上の加算によってインセンティブ化する、ということですね。つまり、効率化した医療機関や個人医師に対して報酬を上乗せすることで、モチベーションを作るという考え方だと理解しました。 そこまでのお話を整理すると、この法案では現在の枠組みで業務効率化を求めていますが、根本的には診療報酬体系の改革が必要であり、その過渡期として情報共有やAI活用を報酬と組み合わせることが実現的だというご意見ですね。 この見直しを実際に運用するうえで、ほかにハードルがあると思いますか?また、医療技術の現場で働く人たちのさまざまな事情—例えば規模の小さい診療所、ICT化が進まない地域、AI導入の費用捻出が難しい施設など—のケースが十分に考慮されていると思いますか?
連携を義務化もしくは点数付けし、逆に極一般的な点数は下げるなど、インセンティブ構造によって誘導すべき。小さい診療所、ICT化が進まない地域がどうのではなく、残念ながら今までので維持できないからこういう法案が議論されているのであって、順番が逆。
それは重要なご指摘ですね。つまり、医療保険制度そのものが「今のままでは維持できない」という危機的状況があるからこそ、この法案が必要になっているのであり、「すべての施設に配慮しながら進める」という発想では、その根本的な課題は解決しないということですね。言い換えると、制度を持続させるためには、ある程度の構造的な淘汰や再編も避けられないということでしょうか?
そうです。淘汰や再編そのものにはなにかしら手当することが望ましいと思います。この医療の件に限らず、すべて同じ問題で、維持できないから議論しているのに、順番が逆。
ご指摘ありがとうございます。つまり、政策立案の論理の順序が重要だということですね。「制度が持続不可能だから改革する」という前提があるのに、政策を説明する際には「配慮」や「柔軟性」を先に強調してしまい、本当の課題から目をそらしている、ということですね。 ただし、その際に「淘汰や再編の過程で影響を受ける人たち(医療機関やそこで働く人たち)には何らかの手当が必要」というお考えだと理解しました。 さて、最後に一つお伺いしたいのですが、このインタビューで挙げていただいた論点—診療報酬体系の抜本改革、インセンティブ構造による誘導、情報共有やAI活用の推進、そして制度維持のための構造的な再編—を踏まえて、この法案を設計する人に対して、何か一つ伝えるとしたら、それは何ですか?
医療制度はいままでのままでは維持し続けられないというのが原点なので、それを忘れないでほしい。
ありがとうございます。「医療制度はいままでのままでは維持し続けられない」という原点を忘れず、そこから逆算して政策設計をしてほしい、というメッセージなのですね。 貴重なご意見をいただきました。これまでのお話を整理させていただき、レポートを作成したいと思います。
ありがとうございます。これまでのご意見をまとめてレポートを作成しました。以下の内容でよろしいでしょうか?