💬インタビューレポート
一般市民
一般市民としてデジタル教科書の制度化に関心。研究知見(E-READの宣言や読解媒体のメタ分析 doi:10.1016/j.edurev.2018.09.003)も踏まえ、紙とデジタルの適材適所を重視している。
💬主な意見
説明文読解は紙が有利という懸念
“約17万人・50超の研究分析などでスクリーン読書は紙に劣る(Screen Inferiority)とされ、全置換だと読解力や記憶に悪影響が心配。
専用端末・オフライン前提で混乱を抑える
“kindle paperのような機能を絞った端末に限定し、予算効率と管理の簡便さを上げたい。通信不要で安価に交換可能だと学校の負担を増やしにくい。
🎤すべての会話ログ
本日は「デジタル教科書を正式な教科書として認めるための法案」について、感じていることやご経験を丁寧に伺いたいです。差し支えない範囲で大丈夫です。 この法案は、あなたの生活や立場とどのように関わっていますか?
一般市民として関心がある
ありがとうございます。一般市民の立場で関心を持たれているのですね。 デジタル教科書について、どの程度ご存知ですか?
名前は聞いたことがある程度
ありがとうございます。名前は聞いたことがある程度なのですね。 紙とデジタルを比べたとき、学びやすさはどう変わると思いますか?
紙の方が学びやすい
紙の方が学びやすいと感じていらっしゃるのですね。 そう感じるのは、主にどんな学習場面をイメージしていますか?
読解力を養うための学習
読解力を養うための学習だと、紙の方が合うイメージなのですね。 その「読解力を養う」学習で、紙だとやりやすいと感じるのは、具体的にどんなところですか?
E-READによる宣言によれば、約17万人を対象とした50以上の研究データを分析した結果、特に説明文や情報文を読んで理解・記憶する点において、スクリーンでの読書は紙に劣るというScreen Inferiorityが明確に確認されている。デジタル教科書に全て置き換わる場合、このような観点から読解力、記憶力の向上に悪影響があるのではないかと考察される。
研究知見(Screen Inferiority)を踏まえて懸念を持たれているのですね。 その観点で伺いたいのですが、デジタル教科書の導入が進むとしても「紙も併用できるなら許容できる」と感じますか?それとも「教科書として正式化する以上、基本は紙中心であるべき」と感じますか?
紙も併用できるなら許容できる
紙も併用できるなら許容できる、というお考えなのですね。 では、その「併用」のイメージとして、教科や単元によって紙に戻したい場面はありますか?
特に国語のに代表される、文章を読んで理解することが重要な場面においては、紙の教科書が重要だと思う。これは、理科・社会における説明文の箇所も同様である。 一方で、図録や地図、辞書など、大きく重く情報量が多く、また動画が理解を助けるような教材であれば、デジタル教科書は有用だと考える。
なるほど、文章読解が中心のところは紙、図録・地図・辞書や動画が効く教材はデジタル、という整理なのですね。 その前提で伺います。デジタル教科書を使うことについて、いちばん気になる懸念や課題は何ですか?
学習面(理解・集中・記憶など)
学習面(理解・集中・記憶)への懸念がいちばん大きいのですね。 その中でも、特に影響が出そうだと感じているのは「理解」「集中」「記憶」のどれに近いですか?
理解
理解面への影響がいちばん気になっているのですね。 その「理解」が落ちるかもしれない、という懸念は、具体的にはどんなタイプの理解(例:文章の内容把握、要点整理、因果関係の理解など)を想定していますか?
繰り返しになるが、E-READによる宣言によれば、約17万人を対象とした50以上の研究データを分析した結果、特に説明文や情報文を読んで理解・記憶する点において、スクリーンでの読書は紙に劣るというScreen Inferiorityが明確に確認されている。デジタル教科書に全て置き換わる場合、このような観点から読解力、記憶力の向上に悪影響があるのではないかと考察される。
ご懸念の中心が「説明文・情報文の読解の理解」にあって、研究知見(Screen Inferiority)とも整合している、ということですね。 その前提で、法案の制度設計として「デジタルを正式な教科書として認める」方向に進む場合でも、理解面のリスクを下げるために“最低限ここは条件に入れてほしい”と思う要件は何ですか?
計算能力の小さいkindle paperのような端末に限り、予算効率と管理の簡便さを向上させること。管理の簡便さには、機器の管理と同時に、児童・生徒ができることを限定することにより、教師による授業遂行のコストを下げることも含まれる。
専用端末(できることを絞った端末)に限定して、予算効率と管理のしやすさ、さらに授業運営コストを下げたい、というご提案なのですね。 学校現場でデジタル教科書を正式に扱うようになったとき、運用面でハードルになりそうなのは何だと思いますか?
端末・通信トラブル対応
端末・通信トラブル対応がいちばんのハードルになりそう、ということですね。 そのトラブル対応で、特に現場が詰まりやすいと思うのは「通信が不安定で教材が開けない」ような問題でしょうか、それとも「端末そのものの故障・不具合」でしょうか?
どちらも同じくらい
どちらも同じくらい大きいのですね。 その状況で、授業が止まらないようにするために「最低限これだけは学校側に用意しておくべき」と思う備えは何ですか?
そもそも学校側が何かを用意する必要がある状態は望ましくない。現状ある学校という大きなシステムに対し、迅速な変更は非常にコストと混乱が大きい。通信が不要な端末で、安価に交換可能なものを用いるべきだ。
学校側に新しい備えを積み増していくより、そもそも「学校が頑張って回す前提」にしない設計にすべき、という問題意識なのですね。通信不要で、安価に交換できる端末という方向性も一貫しています。 最後に伺います。デジタル教科書に関して、制度設計をする人に何か一つ伝えることがあるとしたらそれは何ですか?
どのような課題を解決するために、教科書のデジタル化が重要なのか整理してほしい。教科書のデジタル化はICT教育とほぼ関連がないはずであるが、これらを混同した議論が一部で見受けられると感じる。個人的には文章検索性の向上がデジタル化の最たる例であろうと感じる。 Interactive性を向上した授業の実現も使用する端末と教育機関の種類によっては可能ではあり、個人的には魅力的だと感じるが、教育機関というシステムの剛直性から一足飛びにそこを目指すのは混乱も大きく難しいと感じる。 着実な教育制度改革を期待したい。
ありがとうございます。目的(どんな課題を解くのか)を先に整理し、ICT教育と教科書デジタル化を混同しないでほしい、という点が強いメッセージとして伝わってきました。加えて、文章検索性のような“確実に効く利点”から着実に進めるべきで、学校というシステムの剛直性を踏まえると一足飛びの高度なインタラクティブ化は混乱が大きい、というお考えなのですね。 ここまでで一通り主要な論点は伺えたと思いますので、これまでの内容をまとめ、レポートを作成します。
お時間を割いてお話しくださり、ありがとうございました。以下に伺った内容を要約したレポート案をまとめました。内容に違いがないかご確認ください。
研究知見として、Don't throw away your printed books: A meta-analysis on the effects of reading media on reading comprehension(doi: 10.1016/j.edurev.2018.09.003) を参考にした。引用を明記したい。
お時間を割いてお話しくださり、ありがとうございました。ご指摘の研究(Don't throw away your printed books… doi:10.1016/j.edurev.2018.09.003)を、根拠として参照している旨を要約内でも分かるように反映します。以下、レポート案です。