みらい議会みらい議会

💬インタビューレポート

塾等教育者

懸念事業者

学校外の教育に携わり、学習者用デジタル教科書も実際に使用した経験がある立場。

回答日2026.3.29 00:33
インタビュー分量52 分 / 1120 文字

💬主な意見

紙の方が全体把握・記憶に入りやすい

手触りや手書きメモ、充電不要など紙の利点が大きく、同内容でも紙の方が全体像をつかみやすく頭に入りやすい。

インタビューの前後を読む

長文・地理史はページ往復が多くデジタル不利

国語/英語長文や地理・世界史で、前後ページを押さえながら見比べる紙の操作が有利。デジタルは画面切替で比較しづらい。

インタビューの前後を読む

目の負担と運用責任が重く、目的化を避けたい

家庭での画面利用に加え学校でも使うと近視や眼精疲労が増えそうで、1日30分でも多い感覚。物損・盗撮/いじめ時の責任や保護者対応も懸念。

インタビューの前後を読む

🎤すべての会話ログ

本日は「デジタル教科書を正式な教科書として認めるための法案」について、率直なお考えやご経験を伺えればと思います。差し支えない範囲で大丈夫です。 この法案は、あなたの生活や立場とどのように関わっていますか?

教育関係の仕事/経験がある

教育関係のご経験があるのですね。現場目線のお話が伺えそうで心強いです。 そのご経験は、学校の先生・学校外の教育(塾や支援員など)・行政/教育委員会・教材会社など、どのあたりに近いですか?

学校外の教育

学校外の教育に携わっておられるのですね。 デジタル教科書について、どの程度ご存知ですか?

よく知っている/使ったことがある

実際に使ったこともあるのですね。では次に、学びやすさの観点を伺いたいです。 紙とデジタルを比べたとき、学びやすさはどう変わると思いますか?

紙の方が多くの子供、成人にとって学習しやすい。手触り、教科書やテキストにさっと手書きメモができる、充電切れを起こさない等紙の利点が大きい。 また同じ内容であっても紙教科書の方が全体内容を掴みやすく頭に入りやすい。 (紙の新聞なら全体をサッと読めても、電子新聞の場合読むスピードが落ちる、読める記事量が減る減少をイメージ頂きたい)

紙のほうが「手触り」「手書きメモのしやすさ」「充電切れがない」といった面で学習しやすく、同じ内容でも全体像をつかみやすいという感覚なのですね。電子新聞の例えも、とても分かりやすいです。 その「全体内容を掴みやすい/頭に入りやすい」という差は、学習のどんな場面でいちばん強く出ますか?

国語や英語の長文読解や地理、世界史で特に強く感じる。

国語・英語の長文読解や、地理・世界史あたりで特に強く出るのですね。 その科目でデジタルだと「全体を掴みにくい」と感じるのは、学習中のどんな行動のところで起きますか?

前後の流れを確認したり、少し前ページや後ページを見比べたりする際、紙なら中心となるページを見たり押さえたまま他のページも簡単に繰れるが、デジタルはページが切り替わってしまう。 またデジタル教科書の画面から出る光自体が長時間学ぶ際に目の負担になり疲労感や集中阻害要因になる。

前後を行き来して見比べるときに、紙だと「押さえたままパラパラできる」のに、デジタルだと画面が切り替わってしまって比較がしづらい、ということですね。加えて、発光による目の負担が長時間学習の集中を削ぐ感覚もあるのですね。 その「ページの見比べがしづらい」点について、デジタル教科書側にどんな機能や仕様があると、紙に近い感覚で学びやすくなると思いますか?

現実的には画面の二分割だろうが、そのために勉強中設定切り替えをしなければならない事自体が集中を削ぐ事に繋がる。 また、デバイスの大きさと言う制約があるため分割すると一画面あたりに表示する内容が少なくなったり、文字を小さくせざるをえない。これらの点について、デジタル教科書が簡単に問題解消できるようになるとは思えない。

二分割表示は案としてはあるけれど、設定切り替え自体が集中を削いでしまううえに、画面サイズの制約で結局見づらくなる、ということですね。機能追加だけでは埋まりにくいギャップだという見立ても理解できます。 では、デジタル教科書を使うことについて、いちばん気になる懸念や課題は何ですか?

健康面(目・姿勢・睡眠など)

健康面がいちばん気になるのですね。 その健康面の懸念は、目・姿勢・睡眠などの中では、どのあたりが特に大きいですか?

目への負担が特に大きいのですね。 目の懸念について、どんな場面(授業中/宿題/家庭学習/テスト前など)で強く感じますか?

連続してスマホやタブレットを使った際に感じる眼精疲労を小中学生の頃から与える事になる。 昨今の子はただでさえ家庭ではスマホやタブレットで目を酷使しており、学校でも電子端末を使うとさらに近視や眼精疲労の子供を増やす事になる。

家庭ですでにスマホ・タブレットで目を酷使している子が多い中で、学校でも連続して画面を見る時間が増えると、近視や眼精疲労がさらに増えるのでは…というご懸念なのですね。 その「学校でさらに増える」と感じるのは、デジタル教科書の利用が授業の中でどれくらいの時間や頻度になった場合だと思いますか?

1日30分でも多いと感じる。

1日30分でも多い、という感覚なのですね。かなり慎重に見ておられるのが伝わってきます。 学校現場でデジタル教科書を正式に扱うようになったとき、運用面でハードルになりそうなのは何だと思いますか?

セキュリティや物損、悪用(デバイスのカメラで盗撮)などの責任や保障問題が生じる。 また単純にデジタル教科書で学び辛い子供達にとって学習の足枷になる。

セキュリティや物損、盗撮などの悪用が起きたときの責任や補償の線引きが重くのしかかる、という懸念なのですね。加えて、デジタルが合わない子にとって学習の足かせになりうる点も気がかりだと。 運用面の話に絞って伺うと、セキュリティや悪用への対応で、学校側に特に負担が集中しそうだと感じるのはどの部分ですか?

生徒が壊した場合のスペアの用意や、親に代替品購入を案内した後のやり取り。紙教科書より高額になるため再購入の負担額や責任について了承しない親が出た場合、学校側は適切な負担の要請と子供の学ぶ権利確保の板挟みになる。クレーム対応での精神消耗も大きい。 またタブレットで盗撮やメッセージ機能等でイジメが生じた際、学校指定の機器で生じた問題として保護者から批判を受ける可能性が高い。

物損時のスペア確保や、保護者に代替購入を案内した後の調整が大きな負担になりそうなのですね。高額ゆえに「責任や負担額に納得しない保護者が出る」局面で、学校は学ぶ権利の確保とも両立させなければならず、クレーム対応で消耗する、という現実感が伝わってきます。盗撮やいじめの問題も「学校指定機器で起きた」と見られて批判が集まりやすい、ということですね。 では最後に、制度設計をする人(国や自治体)に伝えるとしたら、どんな点を最優先で設計に入れてほしいですか?

デジタルはあくまで手段であり、目的化していないか常に自省をして欲しい。少なくとも教科書に関しては大半の子供にとってメリットより健康や学習効果を損なうデメリットの方が大きい。 すでに日本に先んじてデジタル教科書を採用した欧州が、子供の学習効果低減を理由にデジタル教科書から紙教科書に戻す動きをしている。 やみくもにデジタル=最新、良い、とせず「目的にあった手段は何か」を忘れず考えて欲しい。

デジタルが目的化してしまうことへの強い警戒と、健康面・学習効果面ではデメリットが上回りうる、というご意見ですね。先行した欧州で“紙に戻す”動きがある点も踏まえて、制度側は「目的に合った手段か」を常に点検してほしい、というメッセージだと受け取りました。 ここまで一通り重要な論点を伺えましたので、これまでの内容をまとめ、レポートを作成します。

お時間を割いて率直にお話しくださり、ありがとうございました。伺った内容をもとにレポート案をまとめました。事実関係やニュアンスのズレがないかご確認ください。