💬インタビューレポート
がん患者
頭頸部がんの陽子線治療を受けた希少がん患者。治癒が見込めない状況で小学生の子どもを扶養しながら就業中。経過観察や後遺症対応で複数医療機関に通院し、月々の医療費負担が家計に深刻な影響を与えている。
💬主な意見
複数医療機関での自己負担合算の撤廃
“がん患者は複数病院にかかるのが特徴。各機関での自己負担が21000円以下だと合算できず、実際の負担が制度上反映されない。現役世代こそこの特例適用が必要だと考える。
生涯にわたる医療費負担の見落とし
“がんとともに生きる場合、入院手術だけでなく経過観察や後遺症対応で生涯にわたり一定の医療費がかかる。この固定費用の実態が制度設計に考慮されておらず、医療の継続が難しくなる。
🎤すべての会話ログ
こんにちは。本日は、OTC類似薬の保険外負担、正常分娩の保険適用、高額療養費の見直しなど、幅広い改正を盛り込んだ医療保険制度改革法案についてお聞きするインタビューです。 まず、今回の法改正のうち、あなたが特に関係がある、または意見を伝えたいテーマを選んでいただけますか?
高額療養費の自己負担の見直し
ありがとうございます。高額療養費の自己負担の見直しについてのご意見をお聞かせいただくのですね。 次に、あなたの立場に最も近いものを教えていただけますか?
当事者・関係者(仕事や生活で影響を受ける)
ありがとうございます。具体的にどのような立場からのご経験やご関心なのか、教えていただけますか?例えば、ご自身やご家族の医療費に関わる経験、あるいはお仕事の領域など、差し支えない範囲でお聞かせください。
癌患者
そうなのですね。がん患者のご立場から、この高額療養費の見直しについてお考えなのですね。ありがとうございます。 では、高額療養費の自己負担の見直しについて、なぜ、あるいはどのような点が気になりますか?具体的に教えていただけますか?
まず、多数回該当を据え置くというが、据え置く場合の上限額が明確に無い。据え置きとは、これまでの上限額での据え置きなのか? 次に、癌にまつわる医療費は、直接的な治療だけでなく、経過観察や後遺症に対する医療等様々に費用がかかる。入院手術以外の費用がずっと続くのが癌を患うというのが実態。なので、多数回該当にはならずとも、一定の医療費が生きている間ずっと費用がかかり、家計に与えるダメージはトータルで大きい。そういった面で、今回の上限額の引き上げはかなり厳しい。医療の進歩で癌とともに生きれるようになったが、同時に生きているだけでずっと医療費が一定額かかっており、固定費用になる。その点が全く考慮されておらず、治療を断念することが普通に起きると考える。
ご指摘ありがとうございます。がんとの付き合い方が変わる中で、直接的な治療だけでなく経過観察や後遺症対応など、生涯にわたって一定の医療費が必要になるというご実感ですね。その上で、今回の改正では具体的な上限額が明記されておらず、また多数回該当の基準自体も見直されることになると予想される中で、長期継続的な医療費負担がどう変わるのか不透明で不安が大きいということなのだと理解します。 おっしゃる通り、この法案では「長期療養者の家計への影響を考慮する」ことが法律に明記されましたが、具体的な限度額の数値や多数回該当の扱いは、今後の政令で定められることになっています。つまり、現時点では詳細がまだ決まっていないということですね。 そこでお聞きしたいのですが、ご自身の経験の中で、現在の高額療養費制度(多数回該当を含む)がどの程度サポートになっているか、具体的な金額感や、それでも足りないと感じる部分があるかお聞かせいただけますか?
多数回該当に該当したことはないです。 私は頭頸部癌で、保険適用で陽子線治療をしました。 協会けんぽ加入者で、窓口での支払いは9万円でした。 この時、日本に生まれて本当によかったと心底思いました。本当にこの金額であってる?これだけでいいの?とびっくりしましたし、この制度を作ってくれた先人の方々感謝と涙でした。 画像での経過観察で1年間でMRI検査が12000円✕3回。全身CT検査20000円✕1回。 耳鼻科にも鼻腔内の痂皮を取るために2週間に一度は通っており、4000円/月。 中耳炎を頻発するので薬代1000円前後✕4回/月 病院に行くための交通費。 欠勤遅刻による給与とボーナス減少。 最近は後遺症で白内障にもなり、眼鏡のレンズを2回も替えて60000円の出費。 こように、医療費にはならないけど、病気のためにかかるお金も嵩みます。 現行でも苦しい月があります。
本当に詳しいお話をありがとうございます。頭頸部がんの陽子線治療で窓口負担9万円、そしてその後の経過観察や後遺症対応で、月々4000円から数万円の継続的な支出があるということですね。治療直後の負担については高額療養費制度で守られても、その後の検査費、通院費、薬代、そして交通費や就業への影響を合わせると、確実に家計へのダメージが積み重なっているのが伝わります。 そして重要なのは、現行制度でも「苦しい月がある」というお話。つまり、今の状態でさえ綱渡り状態なのに、上限額が引き上げられると、その窓口負担がさらに増えるということになりかねないわけですね。 お聞きしたいのですが、今回の法案で自己負担限度額が引き上げられるという見通しの中で、ご自身としてはどのような影響を懸念されていますか?例えば、月々の負担がどの程度増えると家計的に厳しくなるのか、あるいは検査や通院の頻度を減らすことを考えざるを得ないのか、具体的な懸念があれば教えていただけますか?
月々の負担が10000円を超えたら厳しいです。食費を減らすしかありません。それ以外の節約はやり尽くしました。 私の癌は希少がんで治癒は見込めませんが、小学生のこどもがおります。 これこら益々教育費が必要となるので少しでも貯蓄に回したく、費用を捻出する為に3カ月毎だった画像検査を4カ月に減らしました。現行の高額療養費制度でもこのような対応をしています。 あとは具合が悪くてもやり過ごして耳鼻科への通院を減らすしかないです。 食費も減らし通院も減らして、益々健康は遠ざかり、就業に影響すれば収入も減って、生き地獄です。
そうなのですね。ご自身の病状の管理と、お子さんの将来のための教育費の確保という、相反する責任の中で、既に検査間隔を3ヶ月から4ヶ月に延ばし、具合が悪くても通院を控えるという判断をされているのですね。食費も既に限界まで切り詰めてしまっている。そして、月々の負担が10000円を超えたら食費をさらに削るしかない状況というのは、本当に深刻です。 ご指摘の通り、検査間隔を延ばしたり受診を控えたりすることで、短期的には家計が楽になるかもしれません。しかし、がんの早期発見や後遺症の早期対応ができず、結果的に治療が必要になってからでは手遅れになるリスク、そして就業能力そのものが失われるという悪循環が起きる可能性があります。それは結果的に、社会全体にとっても大きな損失になるのではないかと思います。 現在のご状況で、自己負担限度額が引き上げられるとしたら、具体的にはどのような選択を迫られると予想されますか?例えば、検査をさらに延ばす、特定の検査や通院を諦める、あるいはお子さんの教育費を圧縮するなど、具体的な選択肢を考えていることはありますか?
こどもの将来のほうが大切なので、通院を暫く中止すると思います。
そうなのですね。お子さんの将来を優先するという選択。その判断にいたる切実さが伝わります。 一つお聞きしたいのですが、通院を中止するということになると、希少がんの経過観察や後遺症の管理がどうなるか、ご自身としてはどのようなリスクを想定されていますか?例えば、病状の悪化に気づくのが遅れる、後遺症が進行するといったことでしょうか。また、そのリスクを承知の上で、それでもお子さんの教育費に充てる方が生きていく上で優先順位が高いという、そういうことなのでしょうか?
再発の発見が遅れる可能性があると思います。 後遺症の悪化により、就労にも影響を及ぼし、所得が減るでしょう。 所得が減るのはできるだけ避けたいので、バランスンを取るのが非常に難しいところですが。 こどもの将来を考えつつ、自分の身体フォローもしながらギリギリのところで働けているのが現状です。
ありがとうございます。本当に難しいバランスの中で毎日を過ごされているのですね。再発の発見が遅れるリスク、後遺症の悪化による就労能力の低下と所得減少のリスク、そしてお子さんの教育費への責任。その全てを抱えながら、ギリギリのところで働き続けているという現実。その中での医療費負担の引き上げは、もはやこのバランスそのものを崩しかねないということですね。 この見直しを実際に運用するうえで、ハードルや課題があると思いますか?また、あなたのような状況——希少がん患者で、长期的な医療費がかかり続け、かつ扶養家族がいるというケース——が十分に考慮されていると感じますか? これは、制度設計の際に、どのような事情の人が見落とされている可能性があるのかについて、お聞きしたいのです。
いいえ(考慮が不十分/ハードルが大きい)
そうですね。考慮が不十分、ハードルが大きいというご判断なのですね。では、具体的にはどのような事情や課題が見落とされていると感じますか?例えば、希少がんのように治癒が見込めず長期的な医療費がかかり続けるケース、あるいは扶養家族がいる場合、複数の疾患を抱えている場合など、制度設計の中で考慮されるべきだと思われることはありますか?
70歳以下の場合、一つの医療機関で 自己負担額21,000円以下だと同一世帯で合算出来ないことを撤廃すべき。現役世代こそ、この特例が適用されるべきです。 癌患者は、複数の病院にかかっていることが往々にしてあります。癌患者の特徴と言ってもいいほどです。 転移の場所が原発の科と異なる場合、その科が通っている医療施設になければ別の病院に紹介状を持ってそこで治療します。 画像検査はがんセンターや総合病院で実施し、それ以外のフォローは街のクリニックでしています。以上のことから、合算されるべきだと考えます。
ご指摘の通りです。現行制度では、同一月内に複数の医療機関で自己負担額がそれぞれ21,000円以下の場合、それらを合算することができません。つまり、複数の病院にかかるがん患者さんの場合、実際の経済的負担ははるかに大きいのに、制度上は「高額療養費の対象にならない」ということになってしまうわけですね。 あなたのケースで言えば、がんセンターや総合病院での画像検査、原発の科での治療、転移部位の科での治療、そしてクリニックでのフォロー——これらが複数の医療機関に分散していることで、各医療機関での自己負担がそれぞれ21,000円以下に抑えられているとしても、**合計すると相当な負担**になっているということですね。 そして、あなたがおっしゃる通り、このような状況は現役世代こそが直面する課題です。なぜなら、現役世代は就業している分、医療費の負担と生計費のバランスが極めて重要だからです。 この点について、制度設計者に一つ伝えるとしたら、何ですか?あなたの経験や思いを踏まえて、どのようなメッセージを伝えたいですか?
現状の実態調査をしてください。その上で必要な特例を、特に現役世代、世帯主、扶養家族の居る者に対して適用してください。現役世代は既に高い社会保険料を払っています。高齢者で現役世代並み所得がある方に応能負担を適用して欲しいです。
ありがとうございます。制度設計者への明確で強いメッセージをいただきました。 現状の実態調査をした上で、複数医療機関にかかる現役世代患者や、世帯主で扶養家族がいる者に対して、合算特例を適用すべきというご意見ですね。そして同時に、既に高い社会保険料を払い続けている現役世代への配慮と、一方で高齢者で高所得がある方に対しては応能負担をより厳しく適用すべきというご指摘。つまり、「負担の公平性」の観点から、制度を根本的に見直すべきだということですね。 本日は、頭頸部がんの陽子線治療をご経験された中で、現行の高額療養費制度でさえギリギリの状態にあり、経過観察や後遺症対応で月々の医療費が積み重なる実態、そして自己負担限度額の引き上げによって通院抑制や検査間隔の延長を余儀なくされるリスクについて、極めて具体的にお聞かせいただきました。 また、複数医療機関にかかるがん患者の実態が制度設計に反映されていないこと、そして現役世代こそが厳しい状況にあるにもかかわらず、その実態に基づいた特例措置が講じられていないことについても、明確なご指摘をいただきました。 これまでのお話を整理して、レポートを作成させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか?
本日はお忙しい中、貴重なご意見をお聞かせいただき、ありがとうございました。 頭頸部がん患者として、高額療養費制度の現状と課題について、極めて具体的で説得力のあるご証言をいただきました。陽子線治療後の経過観察や後遺症対応に月々数万円の継続的な負担がある中で、現行制度でさえ食費を削り検査間隔を延ばすという苦しい判断を迫られている実態。そして、複数医療機関にかかるがん患者の負担が制度的に十分に考慮されていないことについて、明確なご指摘をいただきました。 以下、あなたのご意見をまとめたレポート案をご提示いたします。内容に誤りや追加すべき点がございましたら、お知らせください。
本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。いただいたご意見をレポートにまとめさせていただきます。