💬インタビューレポート
暗号資産経験
暗号資産の取引経験があり、法案の概要は把握している。投機目的ではないユーティリティトークンの制度上の位置づけや、規制強度のバランスに関心を持つ。
💬主な意見
プロトコル安定化ユーティリティが抜け落ちる懸念
“プロトコル安定化に必要で法定通貨ベースの調整機能を持つユーティリティトークンが、決済でも金融商品でもない曖昧な立場になり制度からこぼれそう。
参入障壁と投資家保護は“強すぎない”設計に
“金商法寄りだと最低資本金や体制整備が重く、ベンチャーの参入障壁が上がる懸念。潜在的特定投資家は線引きを厳しめにし、過保護にしないでほしい。
🎤すべての会話ログ
本日はお時間ありがとうございます。「暗号資産を株式などと同じように規制して、投資する人を守るための法案」について、率直なお考えを伺えればと思います。 今回の法改正のうち、あなたが特に関係がある、または意見を伝えたいテーマを選んでください。
暗号資産の金融商品規制
ありがとうございます。では、この法案について、あなたはどんな立場・関わり方に近いですか?
暗号資産の取引経験者
ありがとうございます。今回の法案について、現時点でどの程度ご存知ですか。
概要は知っている
ありがとうございます。では伺います。 今回の法案について、全体としてどのように評価していますか。
どちらかといえば良い
「どちらかといえば良い」と感じられているのですね。そう評価されるうえで、特にプラスだと思った点はどのあたりですか?
金融商品として定義されること
なるほど、「金融商品として定義されること」自体にメリットを感じていらっしゃるのですね。 暗号資産が金融商品として扱われることで、具体的にどんな点が良くなると期待していますか?
金商法に基づく税制
ご意見ありがとうございます。 補足させていただくと、この法案自体には暗号資産の税制変更は含まれていません(税率の見直し方針は別途示されている、という位置づけです)。 この点を踏まえて、今回の法案で「金融商品として規制される」ことによって、取引の安心感や公正さの面で良くなると期待するところはありますか?
次の質問に進む
承知しました。では次に伺います。 この法案を実際に運用するうえでハードルがあると思いますか?また、影響を受ける側(個人・事業者・組織など)のさまざまなケースが十分に考慮されていると思いますか?
次の質問に進む
承知しました。では次に伺います。 暗号資産の規制が、これまでの「資金決済法」(決済手段としての位置付け)から「金融商品取引法」(投資対象としての位置付け)に移管されることになります。これにより、取引業者にはインサイダー取引規制への対応など、より厳しい規制が課されます。利用者保護の強化と、取引業者の運営コスト増加・イノベーションへの影響について、どのようにお考えですか。
投機を目的としない暗号資産が計画されたときの扱いがどうなるのか?
問題意識がはっきりされていますね。 「投機を目的としない暗号資産」というのは、具体的にはどんなタイプ(例:決済・送金に使う、特定サービスの利用に必要、価格を安定させる設計 など)をイメージされていますか?
ブロックチェーンのプロトコルを安定化するために必要なユーティリティトークンである場合。その設計として、為替変動を法定通貨をベースとして調整する機能を有する設計を行う場合。
なるほど、プロトコル維持のためのユーティリティで、かつ法定通貨ベースで価格を調整する機能がある——いわゆる安定化メカニズムを持つトークンを想定されているのですね。 そのタイプがこの法案の枠組みで扱われるとしたとき、あなたがいちばん懸念しているのは「どの部分に金融商品規制が乗ってしまうこと」ですか?
資金決済用とでもなく、金融商品でもなく、という立ち位置になるのではないか?と考えています。
確かに、いわゆる「決済のため」でも「投資のため」でもない設計のトークンだと、制度上の置き場所が曖昧になり得る、というご懸念ですね。 その場合に、制度としていちばん困るのはどんな場面になりそうですか?
どちらかというと、当該設計は、資金決済法の配下に残っていた方がベンチャー企業の参入障壁が低いと思うんです。
なるほど、金商法側に寄るより、資金決済法側に残した方が参入障壁(コスト・体制整備)が低くなりやすい、という感覚なのですね。 その「参入障壁が上がる」と感じるのは、具体的にどんな負担(例:登録や体制整備、開示、コンプラ対応、継続コストなど)の部分でしょうか?
最低資本金規制や、体制整備が大きいと考えています。一方で税制コンプラなどは、金商法にあってしかるべきと考えます。
おっしゃること、よく分かりました。最低資本金や内部管理体制の整備が重くなると、ユーティリティトークン系の新規参入が難しくなる一方で、税務・コンプラ面は金商法レベルが望ましい、というバランス感ですね。 では話題を切り替えて伺います。 スタートアップへの資金供給を増やすため、これまで1億円以上の私募で必要だった「有価証券届出書」の提出が、5億円未満まで不要になります(5倍の引上げ)。また「潜在的特定投資家」という新しい区分も作られ、プロ向けの私募の対象範囲が拡大します。スタートアップ振興という目的と、投資家保護(情報開示の縮小)のトレードオフについて、どう感じられますか。
それは、いいことだと思います。資金調達にかかる規制緩和は喜ばしいことです。そのための準備は特に業務継続には影響はないので良いと思います。
資金調達の規制緩和は前向きに評価されているのですね。準備負担も業務継続に大きく響かない、という実感もあると。 最後に、この制度を設計する人に、何か一つ伝えるとしたらそれは何ですか?
潜在的特定投資家というのは何ですか?
「潜在的特定投資家」は、この法案で新しく設ける区分で、ざっくり言うと「プロ投資家(特定投資家)ではないが、一定の要件のもとでプロ向け私募に参加できる投資家層」を想定した枠組みです。 狙いは、スタートアップ等が“プロ向け”に資金調達しやすくする一方で、誰でも参加できる形には広げすぎないように線引きを作ることです。 この点を踏まえて伺いたいのですが、潜在的特定投資家の枠を広げることについて、投資家保護の観点で不安に感じる点はありますか?
そこは厳しくてよいと思っています。投資家保護は強すぎない方がいいです。投資家保護が強すぎると、ガバナンスが甘くなるからです。
潜在的特定投資家の線引きは厳しめでよい、というお考えなのですね。投資家保護が強すぎると、かえって当事者の緊張感が薄れてガバナンスが甘くなる、という感覚もよく分かります。 最後に、この制度を設計する人に「一つ伝える」としたら、どんなメッセージになりますか?
潜在的特定投資家の線引きは厳しめでよいと伝えたいです。特に、投資家保護は、従来のプロ投資家と同様で構わないと思います。適格要件だけの緩和にとどめる方がいいです。
ありがとうございます。潜在的特定投資家については「適格要件の緩和にとどめ、投資家保護(行為規制や説明義務など)の水準は従来のプロ投資家と同様でよい」「線引きは厳しめがよい」というご提案ですね。 この点が実現した場合、今回の法案全体に対する評価は今より上がりそうですか?それとも今の「どちらかといえば良い」とあまり変わらないでしょうか。
この改正にはおおむね好評化です。 投資家過保護にならないようにしてほしいです。
全体としてはおおむね好評で、特に「投資家を過保護にしすぎない制度設計にしてほしい」という点が強いメッセージなのですね。伺った内容はここまでで大丈夫そうでしょうか。よろしければ、これまでのお話をまとめてレポートにします。
本日はお時間ありがとうございました。伺った内容をもとに、要約レポート案を作成しました。ご確認いただき、ニュアンス違い・補足したい点があれば教えてください。
プロトコル安定化のユーティリティという考え方が現行案から抜け落ちているのではないか?と懸念している。この観点は従来の暗号資産交換業者や、資金決済事業者のいずれも持っていないのではないか?
追記のご指摘ありがとうございます。いただいた内容も反映して、要約レポート案を更新しました。ご確認いただき、ニュアンス違いがあればお知らせください。
