💬インタビューレポート
学生
学校で学ぶ学習者として、授業ではロイロノートやGoogle Classroom等を使いつつ、教科書本文は主に紙で学んでいる。デジタル利用時の学習の質や健康面(目・姿勢)への影響を実感している。
💬主な意見
紙中心+デジタルは補助、健康配慮も必要
“教科書は紙中心でデジタルは1〜2割程度がよい。紙は書き込み等が速く卒業後もアクセスしやすい。端末の長時間利用は目・姿勢(首の違和感)が気になる。
🎤すべての会話ログ
本日は「デジタル教科書を正式な教科書として認めるための法案」について、感じていることや経験を伺えればと思います。答えにくいものは飛ばして大丈夫です。 この法案は、あなたの生活や立場とどのように関わっていますか?
自分が学習者(児童生徒・学生)
学習者の立場からのお話、ありがとうございます。 いま、学校や授業の中で「デジタル教科書(タブレットやPCで見る教科書)」はどの程度使っていますか?
厳密な電磁的記録としての「学習者用デジタル教科書」という意味では、ほとんど使っていない。ロイロノートやGoogle Classroomは使用している。
なるほど、いわゆる「学習者用デジタル教科書」はほぼ使っていない一方で、授業の基盤としてロイロノートやGoogle Classroomは使っているのですね。 その環境で、授業中に「教科書の内容」を画面で見る場面はどのくらいありますか?
教科書や、それに類するものを生徒が持参しなかった(忘れた)とき、調べ学習をするとき、教科書の内容をもとにしたプリントをデジタルで解くときなど。
ありがとうございます。忘れたときの代替、調べ学習、教科書内容ベースのプリントをデジタルで解く場面があるのですね。 そうした「教科書の内容を画面で見る」場面で、やりやすいと感じる点はありますか?
紛失しにくいこと、軽く持ち運びやすいこと、その情報にアクセスしやすいこと(わざわざ職員室などに行く必要性の低下)、など。
便利さが具体的でよく伝わりました。紛失しにくい・持ち運びが軽い・必要な情報にすぐアクセスできる、という点は学習者側の実感として大きいのですね。 では逆に、同じ場面で「やりにくい」「ここは不安」と感じる点はありますか?
視力の低下、紙に字をかかないことによる何らかの能力の低下、参考書などでの「本のどのあたりにあるか」が体感で掴みにくくなること、授業中に別のことができるようになる(関係ないサイトを見る、など)こと、細部まで目が行き届かなくなること。
懸念点がかなり具体的ですね。不安として、視力への影響や「書かないこと」による力の変化、位置感覚の掴みにくさ、授業中の脱線、先生の目が届きにくい点があるのですね。 この中で、あなた自身の体感として「実際に起きている(起きやすい)」と感じるのはどれですか?
前の回答に補足: 「細部まで目が行き届かなくなること」は、教科書の細部に書かれているコラムなどに目が行き届かなくなることで、先生の目が届かないことではないです。
補足ありがとうございます。先生の監督というより、教科書のコラムや注釈など「細部の情報」に目が向きにくくなる、という意味なのですね。 その「細部に目が行き届かなくなる」ことは、実際の学習の中でどの程度起きていると感じますか?
4~6割くらいでは。
けっこう高い割合で起きている実感なのですね。 その「細部に目が行き届かなくなる」のは、どんな見方をしているときに起きやすいですか?
実際に起きている(起きやすい)」と感じることの方は大丈夫ですか?
もちろん大丈夫です。今は、補足いただいた「細部(コラム等)に目が向きにくい」の点を少し深掘りしていました。 では改めて、その「細部に目が行き届かなくなる」のは、どんな見方をしているときに起きやすいですか?
必要な情報がすぐ出てくるので、その前後情報などを掴みにくい、といったところでしょうか。
なるほど、検索やリンクで「必要なところだけ」すぐ出せる分、前後の文脈や周辺のコラムに触れずに進んでしまう感じがあるのですね。 その状態が続いたとき、学習面ではどんな影響が出やすいと感じますか?
一問一答みたいなものはできるかもしれませんが、流れでの把握が重要になっていく面では弱いと思います。そうすると抽象的な思考ができなくなるのではないでしょうか。
おっしゃること、よく分かります。必要箇所にすぐ到達できる一方で、流れや全体像をつかむ学びが弱くなりそう、という懸念なのですね。 この法案でデジタル教科書が「正式な教科書」として広がった場合、いま挙げてくださった“流れでの把握”の弱まりは、学校の学習の中でどの程度大きな問題になると思いますか?
どの程度とは、どう言えばよろしいでしょうか
たとえば「大きな問題になる/ある程度問題になる/あまり問題にならない/分からない」のどれに近いか、という答え方で大丈夫です。どれに近いですか?
大きな問題になる
大きな問題になりそう、という感覚なのですね。 その「大きな問題」は、どんな教科で起きやすいと思いますか?
体系的な把握が必要な科目でしょう。
体系的な把握が必要な科目で起きやすい、という見立てなのですね。 その「体系的な把握が必要な科目」というのは、具体的にはどの科目を想定していますか?
例えば社会(歴史)とか。
歴史のように、流れや因果関係をつかむことが大事な科目だと影響が出やすい、ということですね。 歴史でデジタル中心になった場合、あなたの学び方はどう変わりそうですか?
デジタルを「中心」に据えた場合、長期的な視点では困難が生ずるであろう
長期的には困難が出そう、という見通しなのですね。 その「困難」は、学習のどんな場面で表れやすいと思いますか?
学習にとどまらず、世代としての考え方が変容する
影響が学習の範囲を超えて、世代としての考え方そのものが変わっていきそう、というご見立てなのですね。 その「考え方の変容」は、具体的にはどんな変化として現れると思いますか?
長期的な視野のけいし
長期的な視野が軽視されていく、という懸念なのですね。 その「長期的な視野の軽視」は、学校でいうとどんな学習活動に表れやすいと思いますか?
学校での物事は短期的な視野のみでことが解決するものが多いので、表現しにくい
なるほど、学校内の活動は短期で完結するものが多くて、学校の学習活動に結びつけて語りにくいのですね。 では少し視点を変えて、デジタル教科書が正式化して普及していったとき、学校の外(進学後や社会に出てから)で「長期的な視野が軽視される」と感じるのは、どんな場面だと思いますか?
その場しのぎの解決策が頻繁に用いられる場面
ありがとうございます。「その場しのぎの解決策」が増える場面、ということですね。 その「その場しのぎの解決策」が用いられてしまうのは、具体的にはどんな課題や意思決定の場面を想定していますか?
企業、政治、文化。
企業・政治・文化のレベルで、短期志向の意思決定が増えるイメージなのですね。 その中で、まず「政治」の場面では、どんなタイプの意思決定が「その場しのぎ」になりやすいと思いますか?
バラマキ
給付や補助金のような「ばらまき」に流れやすい、という見立てなのですね。 その「ばらまき」になりやすい意思決定は、具体的にはどんな分野(例:教育、子育て、物価対策など)で起きやすいと思いますか?
それ、デジタル教科書と関係ありますか?
ご指摘ありがとうございます。いまの質問は法案(デジタル教科書の正式化)から少し離れかけていました。 話を法案に戻して伺いたいのですが、デジタル教科書が正式化して学校での利用が増えるとき、「長期的な視野が軽視される」という懸念を和らげるために、制度として入れておいた方がよいルールや設計はあると思いますか?
デジタル教科書を中心に据えることは望ましくない
了解です。「中心に据えるのは望ましくない」というお考えなのですね。 その場合、学校での教科書の扱いとしては、紙とデジタルの比重はどんな形がよいと思いますか?
紙を中心として、副次的に1~2割程度をデジタルで行うべきだ
紙中心で、デジタルは1〜2割程度の補助がよい、というイメージなのですね。 その「1〜2割」をデジタルにするなら、授業のどんな活動に充てるのが合っていると思いますか?
そうですね
急がなくて大丈夫です。 いまの時点で思いつく範囲で、デジタルに充てると良さそうな活動はどんなものがありますか?
発表におけるvisual aidsや、ネットを通した資料配布/課題提出など
ありがとうございます。発表のvisual aidsや、ネット経由の資料配布・課題提出のような用途にデジタルを充てるのが合いそう、ということですね。 では、教科書そのもの(本文を読む・参照する)については、紙中心にした方がよいと感じるのはどんな点からですか?
線を引けたり、しおりを貼れたり、書き込めたりする。そういう機能があるデジタル教科書があるかもしれないが、紙の方が速いし、学校を卒業した後でもアクセスしやすい。
紙だと引く・貼る・書くが速くできて、卒業後も手元に残ってアクセスしやすい、という実感なのですね。 次に伺いたいのですが、デジタル教科書を使うことについて、いちばん気になる懸念や課題は何ですか?
健康面(目・姿勢・睡眠など)
健康面がいちばん気になるのですね。 その健康面の中でも、いま特に気になっているのは「目・姿勢・睡眠」のどれに近いですか?
目と姿勢
目と姿勢が特に気になるのですね。 学校で端末を使うとき、目や姿勢の負担が大きいと感じるのはどんな場面ですか?
長時間見ているとき。
長時間見続ける場面で負担が大きいのですね。 その「長時間」というのは、授業でいうとだいたい何分くらいからだと感じますか?
1~2時間。授業ではないが、ウェブでプリントを解く時間。
ありがとうございます。授業そのものより、ウェブでプリントを解いていて1〜2時間続くときに負担が出やすいのですね。 その1〜2時間の作業は、主に学校でやることが多いですか、それとも家でやることが多いですか?
学校。
学校での作業で1〜2時間続くことがあるのですね。 そのとき、姿勢の面では具体的にどんな崩れ方になりやすいですか?
首が通常とは異なる感じになる
首に負担がかかって、普段と違う感じになりやすいのですね。 その状態は、痛みとして出ますか?それとも違和感や疲れに近いですか?
違和感。
違和感として出るのですね。 その違和感は、作業をやめるとどのくらいで落ち着きますか?
次の質問に進む
分かりました。では次に進みますね。 紙とデジタルを比べたとき、学びやすさはどう変わると思いますか?
紙の方が学びやすい
ありがとうございます。紙の方が学びやすい、というご実感なのですね。 その「紙の方が学びやすい」と感じるのは、学習のどんな場面(例:読む、書き込み、復習など)で強く出ますか?
書き込み
書き込みの場面で紙の方が学びやすいのですね。 デジタルだと「書き込み」がやりにくいと感じるのは、どんな点ですか?
書き込んだ後に見返しずらい
なるほど、デジタルだと書き込んでも後から見返しづらい感覚があるのですね。 「見返しづらい」というのは、具体的にはどんなことが起きている状態ですか?(例:どこに書いたか探しにくい/一覧で俯瞰しにくい等)
ぱっと開いて探すという感覚がない
分かります。「ぱっと開いて探す」感覚が持ちにくいのですね。 デジタルだと、その“探しにくさ”はどんなときに特に困りますか?
毎回索引を引いている感覚
なるほど、毎回「索引を引いている」みたいに、目的の場所にたどり着くまでに手数がかかる感覚なんですね。 その“索引を引いている感じ”は、具体的にはどんな操作(スクロール、ページ移動、検索など)のときに強く感じますか?
次の質問に進む
承知しました。では次のテーマに移りますね。 学校現場でデジタル教科書を正式に扱うようになったとき、運用面でハードルになりそうなのは何だと思いますか?
タブレットを忘れた人への対応
タブレットを忘れたときの対応がハードルになりそう、ということですね。 その場合、授業を成立させるために学校側はどんな代替手段を用意しておくのが現実的だと思いますか?
紙媒体
紙媒体での代替が現実的、ということですね。 最後に伺います。デジタル教科書を正式な教科書として認める制度設計をする人に、何か一つ伝えることがあるとしたら、それは何ですか?
紙は素晴らしいです。
ありがとうございます。紙の良さを大事にしてほしい、という強いメッセージとして受け取りました。 ここまでで主要な論点は一通り伺えたので、これまでの内容をまとめ、レポートを作成します。
インタビューにご協力いただき、ありがとうございました。伺った内容をもとにレポート案をまとめました。ご確認ください。