💬インタビューレポート
稲作農家
稲作の生産者として、作付け拡大の現実性(農地条件、耕作放棄地の採算性、雑草管理の負担など)を日々の営農の観点から捉えている。
💬主な意見
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本日は「米の流通をもっと把握し、不足時にすばやく届けられるようにする法案」について、率直なお考えやご経験を伺えればと思います。差し支えない範囲で大丈夫です。 この法案に、あなたはどういう立場で関わっていますか?
生産者(稲作農家・生産法人)
ありがとうございます。生産者の立場から伺いますね。 この法案について、現時点でどの程度ご存じですか?
ほとんど知らない
ありがとうございます。では前提をそろえるために、要点だけ短く共有します。 この改正案は、2025年の米不足を教訓に、①お米の在庫や流通状況の報告対象を加工業者・外食などにも広げて“見える化”すること、②米を扱う民間業者に一定量の備蓄を求めて不足時に早く届けること、③「需要に応じた生産」を法律に明記すること、が柱です。 この法案について、全体としてどのように評価していますか?
良くない
率直にありがとうございます。「良くない」と感じられるのですね。 現時点で、どの点が特に引っかかっていますか?
生産者として需要に応じた生産は現実的ではないと思います
現場感として「需要に応じた生産」は難しい、ということですね。 その「現実的ではない」と感じるのは、どの段階(作付けの判断、資材手配、収穫後の販売など)で特にギャップが出るイメージでしょうか?
全てですが、まずは土地の獲得が難しいと思います
なるほど、需要が増えても「作りたくても作れない」制約として、まず土地の確保が大きいのですね。 土地の獲得が難しいというのは、具体的にはどんな壁(例:農地が出てこない、賃借の調整が進まない、条件が合わない等)が一番大きいですか?
適切な農地がない
「適切な農地がない」というのが一番の壁なんですね。 ここで言う「適切な農地」というのは、どんな条件を満たす農地のことを指していますか?
作業場からの距離が近い、雑草の管理がされている、用水がしっかり入る圃場であることなどです
条件がかなり具体的で、現場の制約がよく伝わります(距離・草管理・用水)。 その条件の中で、特に「ここが満たせないと現実的に増産は無理」と感じるのはどれでしょうか?
増産に応じるには使われていない農地を使うことになると思うのですが、一度耕作放棄地となった農地には上記に挙げたような耕作放棄地となる理由があり、生産性が非常に落ちることになり利益率が下がります
おっしゃる状況だと、「需要が増えたら作付けを増やす」という話が、現場では“耕作放棄地を引き受ける=コスト増と収量低下で採算が悪化”になりやすい、ということですね。 その耕作放棄地を引き受けた場合、利益率が下がる主な要因はどれが大きいですか?
全てでもありますが、農地によっても異なります
状況によって変わるのですね。 では、これまでに実際に「耕作放棄地に近い圃場を引き受けた/引き受けかけた」経験があれば、そのときに一番大きかった負担は何でしたか?
雑草の管理です
雑草管理が一番の負担だったのですね。現場だと相当効いてきそうです。 その雑草管理の負担というのは、具体的にはどんな形で重くなりますか?
稲が雑草に呑み込まれほとんど収穫できなくなる
収穫がほとんど取れなくなるほど影響が出るのは、かなり深刻ですね。 その状況は、雑草が増え始めた段階で手を入れても立て直しが難しい感じでしょうか?
手で草刈りをするのには限界があります。その作業は真夏に行われますし、2haという規模を5人で管理しています。
規模と時期を考えると、真夏に手作業中心で回すのは現実的に限界が来ますね。2haを5人で、という前提がある中での負荷は重いと思います。 この法案でいう「需要に応じた生産」を進めるにあたって、生産者側の現実に合わせるなら、どんな支援や仕組みがあるとまだ現実味が出ると感じますか?
米が2025年に不足したように、実際には生産者は高齢化により減り需給バランスは取れていくと思います。不足するよりは量によりますが余るくらい作られた方がいいですよね。生産者としては最低価格を保証して余った米は備蓄や輸出などに回して欲しい。
ありがとうございます。生産者が減っていく中で、需給はむしろタイトになり得るので、「需要に応じた生産」でギリギリを狙うより、ある程度余るくらい作って、最低価格の保証をした上で、余剰分は備蓄や輸出に回す設計が望ましい、というお考えですね。 最後に、この制度を設計する人に、何か一つ伝えるとしたらそれは何ですか?
農業の現場をよく知らないと設計できないと思います
おっしゃる通りで、机上の想定だけだとズレが出やすい分野だと感じます。 「現場をよく知る」を制度設計に落とすとしたら、どんな形(例:現場ヒアリングの頻度、地域別の実証、農家が入る審議体など)があると一番効果的だと思いますか?
全部ですね。ずさんだった作況指数や耕作地の正確なデータを出すことなども重要だと思います
ありがとうございます。現場の声を吸い上げる仕組みと同時に、作況指数や耕作地などの基礎データ自体の精度を上げないと、制度も判断も成り立たない、ということですね。 では、ここまで伺った内容をまとめ、レポートを作成します。
お話しいただき、ありがとうございました。伺った内容をもとにレポート案をまとめました。内容に抜け・誤解がないかご確認ください。
