🎯この法律のポイント
ワクチン以外の薬も予防接種に使えるようになる
いまは予防接種に使えるのは「ワクチン」だけです。この法律で、ワクチンと同じくらい効果が長く続く別の薬も予防接種に使えるようになります。
新しく使えるようになるのは「抗体製剤」と呼ばれる薬です。病気のもとになるウイルスや細菌に結合する成分(抗体)を、薬として体に直接入れるタイプの薬です。ワクチンは体の中で抗体をつくらせる仕組みですが、抗体製剤はその抗体そのものを薬として入れる点が違います。
RSウイルス対策の選択肢が広がる
いまは妊婦が打つワクチンだけが国の費用で受けられる予防接種(定期接種)の対象ですが、この法律が成立し、専門家会議で認められれば、乳児に直接打つ抗体製剤も将来的に定期接種の対象にできるようになります。
妊婦へのワクチンに加えて抗体製剤も選べるようになれば、RSウイルスへの対策の幅が広がります。
関係するほかの法律もあわせて整える
予防接種法だけでなく、新型インフルエンザなどに備えるための法律にも「予防接種に使える薬はワクチンのみ」という前提で書かれているところがあります。今回の改正にあわせて、こうした法律も書き換えることで、ワクチン以外の薬も使えるようにします。
✏️この法律が必要な理由
ワクチンと同じくらい予防に役立つ薬ができている
医薬品をつくる技術が進み、ワクチンに頼らなくても病気を予防できる薬(抗体製剤)が開発・承認されています。代表的なものがRSウイルス感染症を予防するための抗体製剤です。
乳幼児がRSウイルスで重い病気になるのを防ぐ必要がある
RSウイルス感染症は風邪のような病気ですが、生まれたばかりの新生児や乳児がかかると重くなりやすく、肺炎などで入院することも多い病気です。
国立成育医療研究センターの推計では、毎年12〜14万人の2歳未満の子どもがかかり、約3万人が入院しています。
妊婦向けのワクチンは2026年4月から定期接種になりましたが、生まれた乳児に直接打つ抗体製剤も使えるようにすれば、より広く重い病気を防げます。
いまの法律ではワクチン以外は予防接種に使えない
予防接種法はいま、「ワクチンを人体に打つこと」を予防接種と決めています。この決まりを変えないと、抗体製剤は予防接種として使えません。法律の根本のところを変える必要があります。
👀意見が分かれるところ
抗体製剤を予防接種に組み込んで支障はないか
ワクチンと抗体製剤は、体の中でのはたらき方が違います。
専門家会議でも「ワクチンと一緒に扱うのは難しい」という意見と「同じ枠組みで扱える」という意見の両方が出ていました。
仕組みが違う薬を同じルールで扱うため、副反応の評価や健康被害の救済の仕組みに新しい工夫が必要との指摘もあります。
RSウイルスへの定期接種化はすぐに進むのか
この法律ができても、すぐに抗体製剤が無料で接種できるようになるわけではありません。
法律が変わったあとに専門家会議で改めて議論し、効果や費用、ワクチンとの使い分けなどを確認したうえで決まる流れです。
具体的にいつから定期接種になるかはまだ決まっていません。
公費でどこまで負担するのか
抗体製剤はワクチンよりも値段が高い傾向があります。
公費でどこまで負担するか、自治体の負担をどうするか、十分な量を安定して用意できるかなど、運用の面で決めることが残っています。
予防接種のあとに体調が悪くなったときの対応は十分か
予防接種のあとに起きる体の不調(副反応)について、ワクチンと抗体製剤では体の中でのはたらき方が違います。
副反応が起きたときに国が治療費などを負担する仕組みの対象にはなりますが、抗体製剤にあわせた評価の方法を整える必要があるとの指摘もあります。
よくある質問
Q. 妊婦向けのRSウイルスワクチンと何が違うのか
A. 妊婦が打つワクチンは、妊婦の体の中でつくられた抗体が胎児に移ることで、生まれてくる乳児を守ります。一方、抗体製剤は生まれた乳児に直接打って守る仕組みです。
両方使えるようになれば、状況に応じて選べる幅が広がります。
🙋影響を受ける人
- 乳幼児とその家族:抗体製剤でRSウイルス感染症を予防できる選択肢が将来広がる可能性があります。
- 妊婦:いまの母子免疫ワクチンに加え、生まれた乳児に抗体製剤を打つ選択肢が将来増える可能性があります。
- 小児科などの医療機関:予防接種として使える薬の種類が広がり、診療の選択肢が増えます。
- 市町村:定期接種が増えると、案内や接種体制の整備が必要になります。
- 抗体製剤の製造販売業者:定期接種に組み込まれた場合、安定して供給する責任が課される可能性があります。
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