まとめ
- 狙いは、ガソリン代を下げて、暮らしの負担を減らすことです。
- 急にガソリンの値段が変わることでガソリンスタンドなどが在庫のガソリンを売ることで損が出ないように、国が支援を行います。
- 自治体(市区町村・都道府県)の収入が減る分は、国が補います。
この法律の大事なところ
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上乗せの税金をやめる
長く続いてきた上乗せ分の税金(1Lあたり25.1円)をなくします。ガソリンの小売価格が下がる可能性があります。
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在庫で損が出ないように国が支援を行う
上乗せの税金をなくす時点でガソリンスタンドや会社が持っているガソリンについて、税金の差額で損しないよう、国がお金を出します。
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自治体の収入減は国が補う
ガソリン税の一部は自治体の収入です。税が軽くなると、自治体の収入が減ります。
法律案では、減ったぶんを全部国が補うと定めています。詳しい方法や時期は、これから政府が決めます。
なぜこの法律が必要なのか
- ガソリン代が高いと、自家用車を利用する家庭の通勤・通学・通院などの負担が大きくなります。
- 政府はこれまで補助金で値上がりをおさえてきましたが、補助金をずっと続けるのは難しいという意見があります。
- 元々の法律には、ガソリンが高くなったときに自動的に上乗せ分の税金を停止する「トリガー条項」という仕組みがあります。
しかし、2011年の東日本大震災のあとにこの仕組みは止められていて、いまは使えません。
- 今回の法律案は、「トリガー条項で一時的に下げる」のではなく、そもそもの上乗せをなくしてしまうという内容です。
トリガー条項とは
ガソリン価格がとても高くなったときに、自動的に上乗せ分の税金を停止するルールです。
- 発動の条件:全国のガソリンの平均価格が 3か月連続で160円を超えたとき
- 効果:上乗せ分(25.1円/L)を止めて、税金を軽くする
- 元に戻す条件:3か月連続で130円を下回ったら、また上乗せを再開する
- 状況:東日本大震災(2011年)後に「復興のための財源確保」を理由に止められたままです。
つまり、トリガー条項は今も動いていません。
今回の法律は、それを再開するのではなく、税金の上乗せをそもそもなくすという内容になっています。
意見がわかれるところ
Q1:暮らしを助ける vs 財政が苦しくなる
👍 期待される効果
ガソリン代が下がると、車を使う人の生活費の負担が軽くなります。
🤔 心配なところ
国と地方の税収が減ります。見込みでは合わせて毎年1兆円ほど減るとされています。その分をどうやって補うのか、お金のやりくりが課題になります。
Q2:自治体の負担がない進め方 vs 国の対応の遅れ
👍 期待される効果
法律案では「自治体の減収は国が全部補う」としています。地域のサービスが急に減るのをふせげます。
🤔 心配なところ
いつ・どうやって補うかは政府がこれから決めます。対応が遅れると、自治体の予算が苦しくなる心配があります。
Q3:環境への影響
👍 期待される効果
ガソリンが安くなると、車を使いやすくなり、地域の経済が元気になります。
🤔 心配なところ
ガソリン価格が下がると車の利用がふえて、CO₂(二酸化炭素)が増えるおそれがあります。環境対策とのバランスが必要です。
Q4:わかりやすい仕組み vs 手続きのたいへんさ
👍 期待される効果
ガソリンスタンドなどが高い税率のときに仕入れた在庫で損をしないよう、国がそのぶんのお金を出します。これで、価格が急に変わるときの混乱をふせぐことができます。
🤔 心配なところ
会社が在庫を調べて申請したり、国が金額を確認したりする作業がふえます。不正を防ぐチェックも必要です。
Q5:地域や家庭の違い
👍 期待される効果
車が生活に必要な地方では、家計の助けになります。観光にも良い影響があります。
🤔 心配なところ
都市に住む人や車を持たない家庭には恩恵が少ないです。公平さの面で注意が必要です。
この法律で影響を受ける可能性がある人や組織
- 石油メーカー・ガソリンスタンドなどの販売業者:値下げでお客さん・売上が増えるかもしれませんが、一時的に事務作業が増えます。
- 地方自治体:収入が減る可能性があります。国の補てんがいつ・どのように行われるかが重要です。
- 国民(車を使う人):ガソリン代の負担が減る見込みです。
- 国(政府):税収減への対応や、環境とのバランスを考える必要があります。
議案提出会派
立憲民主党・無所属, 日本維新の会, 国民民主党・無所属クラブ, 日本共産党, 参政党, 日本保守党
議案提出者一覧
重徳和彦, 階猛, 大西健介, 青柳仁士, 斎藤アレックス, 田中健, 岸田光広, 辰巳孝太郎, 鈴木敦, 島田洋一, 新垣邦男
議案提出の賛成者一覧は衆議院の議案情報のページをご覧ください。
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