飲食料品の消費税を2年間1%にし、中低所得の働く人に支援金を配る法案
お店で買う食べ物や飲み物の消費税を2年間1%に下げます。あわせて、収入が一定の額以下の働く人に、毎年お金を配る仕組みを作ります。
租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案
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👉 審議のステータス
🎯この法律のポイント
食べ物や飲み物の消費税が2年間1%に下がります
今、消費税はふつう10%です。お店で買う食べ物や飲み物と、定期購読の新聞には、低い8%の消費税がかかっています(軽減税率)。
2027年4月から2029年3月までの2年間、食べ物や飲み物の税率が1%に下がります。新聞は8%のままです。
対象は、今8%になっている食べ物や飲み物で、範囲は変わりません。
消費税の一部は都道府県や市区町村の収入になっています。税率を下げて減る分は、国が新しい交付金で補います。
お店や農家が税率の切り替えに対応しやすくします
お店や農家は、売り上げで受け取った消費税から、仕入れのときに払った消費税を引いて、残りを国に納めます。
売り上げの税率が1%に下がると、仕入れで払った消費税のほうが多くなることがあります。このときは、多く払った分を国から返してもらえます。
ただし、小さなお店や農家の中には、この「返してもらう」ことができない事業者がいます。
1つは、売り上げが一定の額より少なく、消費税を納めなくてよい事業者です(免税事業者)。
もう1つは、仕入れの消費税を実際に払った額ではなく、売り上げに決まった割合をかけて計算する事業者です(簡易課税)。
簡易課税は計算の手間が少ない代わりに、仕入れの消費税が多くても返してもらえません。
この法律では、こうした事業者が、実際に払った仕入れの消費税で計算する方法に移りやすいようにします。この方法なら、多く払った分を返してもらえます。
簡易課税を使い続ける事業者が食べ物や飲み物を売った場合は、納める消費税が出ないようにします。
すぐに値札を変えられないお店は、税率が変わる前後の最大2か月ずつ、8%と1%のどちらで計算した税込価格でも表示してよいことにします。
実際に払う額と誤解させないことが条件です。
働く人に毎年「就業者負担軽減支援金」を配ります
2027年4月から、住んでいる市区町村が年に1回、働く人にお金を配ります。
この支援金は2年間だけのものではなく、2029年度以降も毎年続きます。
働き方は問わず、会社員やパートだけでなく、個人事業主やフリーランスも対象です。ただし、働く人すべてが受け取れるわけではなく、次の条件に合う人だけです。
受け取れるのは、前の年に働いて得た所得が一定の額を超え、全体の所得が上限以下の人です。上限は子どもの人数によって変わります。
住民税と社会保険料の負担から年金の収入を引いた額が、一定の額を超えていることも条件です。これにより、働いて現役世代と同じくらいの負担をしている高齢者も対象になります。
2029年度からは、配偶者の所得が一定の額以下であることも条件に加わります。
金額は所得と子どもの人数で決まり、あとで政府が決めます
支援金の額は、前の年の所得と、養っている子どもの人数によって決まります。子どもは19歳未満が対象ですが、2028年度までは16歳未満です。
年収が一定の額を超えると社会保険料を払うことになり、手取りが減ることがあります(年収の壁)。こうした人の負担を考えて、支援金を上乗せします。
所得の線引きや金額は法律では決めず、あとで政府が政令で決めます。政府は、これらの額を定期的に確かめて、必要なら変えます。
2年間は「消費税1%分」を支援金で返します
2027・2028年度の支援金の合計は、食べ物や飲み物の消費税1%分の収入を超えないように決めます。
政府は、税率を1%に下げ、残りの1%分を支援金で返すこの組み合わせを、食べ物や飲み物の消費税の「実質ゼロ」と説明しています。
税率が8%に戻る2029年度からは、支援金が本格的な仕組みに切り替わります。
本格的な仕組みは、所得に合わせてきめ細かくお金を配る支援金を、期限を決めずに毎年続けるものです。2年間の支援金とは、主に次の点が違います。
- 所得の多い配偶者がいる人は、対象から外れます。
- 子どもに応じた上乗せが、16歳未満から19歳未満の子どもまで広がります。
- 「消費税1%分」までという金額の枠はなくなります。
- 金額は、ほかの国と負担をくらべ、ずっと使えるお金とあわせて決めます。
政府は、今回の支援金を本格的な仕組みへの第一歩としています。
切り替えをなめらかにするため、2028年度に受け取った人には、2029年4月に上乗せして支払います。
申し込まなくても受け取れる人がいます
支援金を受け取るには、原則として、住んでいる市区町村に申し込みます。
国からのお金を受け取るための口座(公金受取口座)を登録している人は、条件がそろえば市区町村が支給を決められるため、申し込まなくても受け取れます。
支援金は、支給が決まってから2か月以内に支払われます。
うそをついて受け取った人は、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金になります。
費用は国が3分の2以上を出し、残りを都道府県と市区町村で半分ずつ出します
支援金のお金は、国が3分の2以上を出し、残りを都道府県と市区町村が半分ずつ出します。
2027・2028年度は、市区町村が出す分に当たるお金を、国がすべての市区町村に交付金として配ります。
2029年度からは、市区町村も自分の分のお金を出します。
ただし、国から地方交付税(地方の収入の差をならすために国が配るお金)を受け取らない見込みの市区町村には、当分の間、国が交付金を配ります。
国の中で支援金の制度を受け持つのは内閣府です。内閣府に、税金や社会保険料の負担についてまとめて調整する新しい本部を作ります。
お金は国の借金に頼らずに用意すると決めています
国が出すお金や、消費税が減る分のお金は、国の借金(赤字国債)に頼らずに用意すると決めています。補助金や、税金を軽くする特別な仕組みを見直すなどして確保します。
2027・2028年度は、これに加えて、税金以外の新しい収入も使います。
ただし、何をいくら見直すのかは、法律には書かれていません。
これから見直すことも決めています
政府がこれから検討することも、法律に書かれています。
たとえば、預金や株などから得た利益や持っている財産を、支援金の判定に入れることです。給付だけでなく、税金を差し引く仕組みと組み合わせることも検討します。
支援金の対象にならない収入の少ない人や、病気などで働けない人への対応は、2028年度中に結論を出します。
✏️この法律が必要とされる理由
日本の働く世代は、税金や社会保険料の負担が重くなっています
政府は、税金と社会保険料から児童手当などの給付を引いた額が収入に占める割合を、「純負担率」と呼んでいます。
政府の試算では、収入が多くない共働きで子ども2人の家庭は、この割合がアメリカ・ドイツ・フランスの平均より高くなっています。
子育て中の家庭も、ほかの国より負担が重いとされています。
政府の会議では、こうした比較から、働く世代の負担を軽くし、所得に合わせて手取りが増えるようにする必要があるとされました。
「年収の壁」で働く時間をおさえる人がいます
年収が一定の額を超えると社会保険料を払うことになり、手取りが減ります。そのため、働く時間をおさえる人がいます(働き控え)。
政府は、働くほど支援金が増える仕組みにして、働き控えを減らすことを急いで取り組むべき課題としています。
物価が上がる中で、本格的な給付が始まるまでのつなぎが必要です
物価が上がり続けているため、法律では、食べ物や飲み物の消費税を一時的に下げるとしています。
一方で、所得に合わせてきめ細かくお金を配るには、行政が新しい情報をつかむ仕組みが必要です。
たとえば、所得の多い配偶者がいる人を対象から外すには、配偶者の所得を知る必要があります。
また、本格的な支援金では、19歳未満の子どもの人数に応じて額を増やすため、16〜18歳の子どもの情報も必要になります。
政府は、こうした準備が整うのを2029年度と見込んでいます。
それまでの2年間は、消費税の引き下げと、今ある所得の情報でできる範囲の支援金を組み合わせて対応します。
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👀意見が分かれるところ
消費税を下げると、収入の少ない人の負担は軽くなるのか
- 消費税を下げると、収入の多い人ほど減る税金の額が多くなるという課題が指摘されています。
- 税率を下げても、その分ほど値段が下がらない可能性も指摘されています。
- 一方、1%分の支援金を組み合わせれば、この課題に対応できるという意見があります。
- 消費税を下げれば買い物が増える効果もあり、給付より優れているという意見もあります。
消費税を下げるより、お金を配るほうがよいのではないか
- 政府の会議では、一時的に消費税を下げるより、お金を配るべきだという意見が複数出ました。
- お金を配れば、農家や外食のお店への対策がいらなくなるという意見もありました。
- 反対に、財源を用意して、ずっと消費税を下げるべきだという意見もありました。
- 2029年度に本格的な支援金が始まるまでのつなぎの方法は、会議でまとまりませんでした。
- 本格的な支援金は、配偶者の条件などが加わり、毎年続く仕組みです。
2年後に税率が8%に戻るとき、負担が急に増えないか
- 税率が1%から8%に戻る2029年度には、負担が増える人が多いという意見があります。
- 政府は、2028年度に受け取った人への上乗せなどで、本格的な支援金に切り替えます。
- ただ、支援金の対象外の人は、実質的に増税になるという指摘もあります。
国の借金に頼らずにお金を用意できるのか
- 法律は借金に頼らないと決めていますが、何をいくら見直すかは書かれていません。
- 消費税の引き下げと支援金には、年5兆円ほどのお金が必要という指摘もあります。
- 2029年度からの本格的な支援金のお金の確保策も、まだ決まっていないという指摘があります。
金額や対象者の線引きを、あとで政府が決めてよいのか
- 対象者の所得の線引きや支援金の額は、すべて政令で決めることになっています。
- 政府は、状況に合わせてすばやく見直せるようにするためと説明しています。
- 一方、線引きや金額を早く示すよう求める意見もあります。
- 所得の下限は、給与収入で約106万円、74万円、約53万円などの案が出ていますが、未定です。
支援が必要な人が対象からもれないか
- 支援金の対象は、一定の額を超えて働いて得た所得がある人に限られます。
- 病気や障害で働けない人や、働いていない高齢者への対応は、これから検討します。
- 最も支援が必要な人が対象外になりやすく、対応が後回しになっているという指摘もあります。
仕組みが複雑で、正しく配れるのか
- 収入が少ない人の所得は、行政が正確につかみにくく、配り間違いが起きるおそれがあります。
- そのため政府は、この収入の人には、所得にかかわらず同じ額を配るとしています。
- 前の年の所得で決めるので、今の収入の変化が反映されないという指摘もあります。
- 配偶者の所得の条件が、新たな「年収の壁」を生む可能性も指摘されています。
市区町村の仕事や負担が重くなりすぎないか
- 支援金を配る仕事は市区町村が受け持ち、費用の一部も都道府県と市区町村が出します。
- 政府は、システムの費用を国が出し、コールセンターを作るなどして負担を減らすとしています。
- 一方、過去の給付金では市区町村の事務の費用がかさんだという指摘があります。
- 仕組みが複雑で、申し込みもれや詐欺の被害が起きるおそれも指摘されています。
- 公金受取口座の登録は5割ほどで、申し込まずに受け取れる人をどう増やすかも課題です。
農家や外食のお店への影響をどうおさえるのか
- 仕入れの消費税を返してもらえない農家などは、税率が下がると負担が増えます。
- 政府は、こうした農家などにお金を配る仕組みを作る方針です。
- 外で食べる料理と持ち帰りの税率の差が広がる外食のお店も、支援する方針です。
- ただし、これらの支援はこの法律に含まれておらず、中身は予算を作る中で決めます。
よくある質問
Q. お店の中で食べる外食の消費税も下がるのか
A. いいえ、下がりません。引き下げの対象は、今8%になっている食べ物や飲み物だけです。
Q. 2029年度からの「本格的な支援金」は、今の支援金と何が違うのか
A. 働く人に所得に合わせて毎年お金を配る点は同じです。
2029年度からは、所得の多い配偶者がいる人が対象から外れ、子どもに応じた上乗せが19歳未満まで広がります。
「消費税1%分」までという金額の枠はなく、具体的な金額はこれから政令で決めます。
Q. 年金で暮らしている高齢者は支援金を受け取れるのか
A. いいえ、働いていない場合は対象になりません。働いていない高齢者への対応は、これから検討するとされています。
🙋影響を受ける人
- 買い物をする人:2年間、食べ物や飲み物の消費税が8%から1%になります。
- 収入が一定の額以下の働く人:所得などの条件に合えば、毎年支援金を受け取れます。
- 子育て中の家庭:子どもの人数に応じて、支援金の額が増えます。
- 「年収の壁」の近くで働く人:社会保険料の負担を考えた上乗せを受けられます。
- 食べ物を扱うお店や農家:レジや値札、税金の計算方法を変える必要があります。
- 市区町村・都道府県:支援金を配る仕事を受け持ち、費用の一部を出します。
説明の詳しさを
いつでも切り替えられます

🌐関連リンク
- 内閣官房:法律案の概要(PDF)
- 内閣官房:法律案要綱(PDF)
- 内閣官房:「飲食料品に係る消費税率の引下げ」及び「給付付き税額控除」について
- 内閣官房:「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針(PDF)
- 衆議院:第222回国会 議案の一覧
- 衆議院:議案の経過情報
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