🎯この法律のポイント
都道府県に属さない新しい市「特別市」をつくれるようにする
いまの大きな市(政令指定都市)は、都道府県の中にあって、都道府県の仕事の一部を任されています。
この法案は、大きな市を都道府県から独立させ、都道府県と市の両方の仕事を一つの市がまとめて担う「特別市」をつくれるようにするための準備を進めるものです。
この法律ですぐに特別市ができるわけではなく、まず基本的な考え方と方針を決めて、国に必要な制度づくりを求めます。
対象は人口100万以上の大きな市
特別市になれるのは、人口100万以上の政令指定都市です。
一つの指定都市と、となりの市町村を合わせて人口100万以上になる場合も対象になります。
政令指定都市とは、国が政令で指定した人口50万以上の市で、横浜市や大阪市、名古屋市などが当てはまります。
特別市をつくるには住民投票などの手続きが必要
特別市をつくるには、対象の市と都道府県が一緒に申請し、内閣が国会の承認を得て決める仕組みです。
申請の前に、それぞれの議会で承認を得たうえで、住民投票を行い、賛成が過半数になる必要があります。
多くの人の合意を得てはじめて特別市をつくれる仕組みになっています。
特別市には議会や市長を置き、区に分ける
特別市には、議会と市長・副市長などを置きます。
市長の仕事を分けて担わせるため、条例で市の区域を「区」に分けて、区ごとに区長を置きます。
区長は、市長が議会の同意を得て選びます。
都道府県との仕事の分担やお金の調整も決める
特別市は、市の仕事も都道府県の仕事もまとめて担います。
広い範囲で行う仕事は、都道府県と協力して進めます。
特別市が抜けたあとの都道府県との間で、お金のバランスを取るための財政調整のしくみも検討します。
✏️この法律が必要とされる理由
市と都道府県の仕事が重なる「二重行政」があるから
いまの大きな市には都道府県の仕事の一部が任されていますが、権限やお金がまとまって移っているわけではありません。
このため、同じような仕事を市と都道府県が重ねて行う「二重行政」が残っているとされています。
法案は、この市と都道府県の役割分担がはっきりしない状態をなくし、むだのない行政をめざしています。
少子高齢化や人口減少に合った新しい大都市の仕組みが求められているから
少子高齢化や人口の減少が進むなかで、地域の中心となる都市の力を高めることが課題になっています。
法案は、こうした変化に合わせて、地域の実情に応じた新しい大都市の仕組みを整えることが重要だと考えています。
👀意見が分かれるところ
二重行政の解消や効率化が本当に進むか
この法案は仕組みの骨組みと考え方を決めるもので、具体的な仕事の分け方やお金のしくみはこれから決まります。
枠組みを決めるだけでは、二重行政の解消や効率化がどこまで進むか分かりにくいのではないか、という見方もあります。
都道府県のお金や広い範囲の調整が弱まらないか
大きな市が都道府県から独立すると、その分の税収や権限が都道府県から離れます。
税収の多くを大きな市の区域が占める県では、数百億円規模のお金が足りなくなるとの試算を示し、慎重な立場をとる例もあります。
医療や水などを地域全体で調整する働きが弱まり、大きな市以外の市町村でサービスを保ちにくくなるのではないか、という心配の声もあります。
よくある質問
Q. この法律ができると特別市がすぐにできるのか
A. いいえ。これは特別市をつくる準備を進める法律で、法律自体が特別市をつくるものではありません。
実際に特別市をつくるには、国が別の制度を整えたうえで、市と都道府県の申請・議会の承認・住民投票などの手続きが必要です。
Q. 「特別市」と、東京23区のような「特別区」は違うのか
A. 違います。特別市は都道府県に属さず、都道府県と市の両方の仕事を一つの市がまとめて担います。
特別区は都道府県(東京都)の中にあって、都と役割を分け合う区です。特別市は都道府県から独立する点がちがいます。
🙋影響を受ける人
- 人口100万以上の大きな市とその住民:将来、都道府県から独立した特別市になる道が開かれます。
- 大きな市がある都道府県:特別市ができると、その区域の税収や権限が都道府県から離れます。
- 大きな市のとなりの市町村:合わせて人口100万以上になる場合、一緒に特別市になる対象になることがあります。
- 大きな市以外の市町村とその住民:都道府県のお金や調整の働きが弱まった場合、行政サービスへの影響が心配されています。
- 国(内閣・政府):特別市の手続きや組織、お金の調整などのしくみづくりが求められます。
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