🎯この法律のポイント
事業の許可を出すとき、会社を実際に動かす人もチェックします
警備会社や建設会社、不動産会社などは、国などの許可や登録を受けて仕事をします。
今は、会社の役員などに許可を受けられない理由がある人がいると、許可や登録を受けられません。
この法律で、会社を実際に動かしている人(実質的支配者)も、役員と同じようにチェックの対象になります。
実質的支配者とは、たとえば会社の議決権の25%を超えて持っている人のことです。
新しい法律で国に届け出られた情報を使います。
会社を作るときの申告が、届け出の代わりになります
株式会社などを作るときは、会社のルールをまとめた書類(定款)を公証人に確認してもらいます。
公証人とは、国から任命されて、大事な書類が正しく作られたことを確かめる法律の専門家です。
この法律で、そのときに実質的支配者になる人を公証人に申告することが、法律で決まった義務になります。
申告した情報は国に送られ、会社ができたときに記録されます。
そのため、新しい法律で求められる会社を作ったときの届け出を、もう一度する必要はありません。
うその申告をすると、罰則の対象になります。
今は、電子の定款でも、公証役場に行くか、テレビ電話で公証人と顔を合わせて確認を受けます。
この法律で、決まった形の簡単な電子の定款なら、こうした顔を合わせての確認なしで認証を受けられるようにします。
ただし、公証人が調べて、悪用されるおそれが少ないと判断した場合に限られます。
銀行などが確かめる内容を新しい制度にそろえます
銀行などは、お金のやりとりをする相手の会社について、実際に動かしている人を確かめています。
この確かめる人の範囲を、新しい法律の決め方にそろえます。
ほかに、投資のための組合(投資事業有限責任組合など)も会社と同じように確かめます。
財産を人に預けて管理してもらう信託という仕組みでは、利益を受ける人なども確かめます。
大事な土地を買う会社も、実際に動かす人をチェックします
重要な施設の周りや国境近くの離島などで国が指定する区域の土地を買うときに、国の許可を求める仕組みを、別の法案(重要土地等調査法の改正案)で作ろうとしています。
この法律で、その許可の申請に、会社を実際に動かしている人の情報を書かせます。
外国の政府などが実際に動かしている会社には、原則として許可を出しません。
その区域の土地を持つ会社の実質的支配者が変わったときも、国への届け出が必要になります。
✏️この法律が必要とされる理由
中身のない会社がお金の洗浄に使われています
犯罪で得たお金を、出どころがわからないようにする行為を、マネー・ローンダリングといいます。
活動の中身がない会社を使って、こうしたことをする例が見つかっています。
そのため、会社を実際に動かしている人を知る必要があるという考えが、世界で強まっています。
政府は、名前を隠して集まったり離れたりする犯罪グループへの対策にも、この情報を使うとしています。
こうしたグループを、警察庁は「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」と名付けています。
G7で日本だけ、届け出の仕組みがありません
マネー・ローンダリング対策の国際的な基準を決める会議(FATF)は、各国にこの情報を集める仕組みを求めています。
日本は2028年夏ごろに、この会議の審査を受ける予定です。
政府によると、G7の国の中で、届け出を義務にする仕組みがないのは日本だけです。
今も、株式会社が自分から情報を国に預ける仕組みはありますが、義務ではありません。
新しい情報を使うには、たくさんの法律を変える必要があります
新しい法律で、会社を実際に動かしている人の情報が国に集まります。
この情報を事業の許可や銀行の確認、土地の審査で使うには、それぞれの仕組みを決めた法律を変える必要があります。
この法律は、97の法律をまとめて変えるものです。
👀意見が分かれるところ
届け出の情報が正しくないとき、チェックは役に立つのか
- 許可や土地の審査は、届け出られた情報をもとに行います。
- 情報が古かったり間違っていたりすると、チェックが働きにくくなります。
- 国の機関や銀行などは、間違いに気づいたら国に知らせる決まりです。
顔を合わせない会社作りで、悪用を防げるのか
- 会社を作る人の手間は減ります。
- 一方で、会社の悪用を防ぐ最初の関門の確認を、ゆるめることにもなります。
- どう調べるかは国が後で決めるため、その中身が十分かが問われます。
個人の情報はどこまで使われるのか
- 会社を実際に動かす人の情報が、97の法律の手続きで使われます。
- 見られるのは、仕事で必要な国や自治体の役所と、会社の同意を得た、金融機関などの決められた事業者です。
- 銀行や信用金庫などは、お金のやりとりの確認に必要なら、会社の同意なしで見られます。
- 見た情報をほかの目的に使うことは禁止されています。
- 使う場面が広がる中で、個人の情報をどう守るかが問われます。
よくある質問
Q. 実質的支配者とは何か
A. 会社の名前の裏で、実際にその会社を動かしている人です。株式会社なら、議決権の25%を超えて持つ人などが当たります。
Q. 会社を作るとき、届け出は2回必要か
A. いいえ。定款の確認のときに申告すれば、会社ができた日に届け出たことになります。
🙋影響を受ける人
- 許可を受けて仕事をする会社:実際に動かしている人も、許可のチェックの対象になります。
- 株式会社などを作る人:実際に動かす人の申告が義務になり、うその申告は罰則の対象です。
- 銀行などとその会社の客:銀行などが確かめる人の範囲が変わり、信託も対象になります。
- 大事な土地を買う会社:実際に動かしている人を、許可の申請や届け出で示します。
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