法案の解説
「船荷証券」とは
船荷証券(ふなにしょうけん)とは、外国との貿易で船が貨物を運ぶ際に、運送人(船会社)が貨物を受け取ったことを証明し、その貨物を引き取る権利を表す重要な書類です。この証券を荷物の受取人に渡すことで、受取人は港に到着した貨物を引き取ることができます。
改正案のポイント
- デジタルの船荷証券を法律で認め、紙と同じ効力を持たせます。
- コンピュータ上で荷物の持ち主を変えたり、お金を借りる時の担保に使ったりできるようにします。
- 紙からデジタル、デジタルから紙に切り替えることを認め、使う人が選べるようにします。
- 国連が作った世界共通のデジタル化ルールに合わせることで、外国の企業と取引がスムーズになります。
法改正が必要な理由
- 紙の船荷証券は、送るのに国際郵便で数日かかり、船がすでに港に着いているのに、書類がまだ届かず、荷物を受け取れないことがありました。
- 紙は、なくしたり偽物を作られる危険があるため、その対策に時間とお金がかかっています。
- 世界の国々はデジタル化を進めていて、それに合わせないと、取引に時間がかかったり、費用がふえて、商品が高くなるおそれがあります。
- そこで、日本でも電子の船荷証券を使えるようにすることが必要とされています。ただし、電子化を強制するものではなく、紙と電子のどちらも使えるようにするのが今回の改正の特徴です。
意見がわかれるところ
Q1 手続きの速さ vs 新しい仕組みの負担
👍 期待される効果
電子化で権利のやり取りがすぐできるようになり、港での引き渡しも早くなります。
🤔 心配なところ
小さな会社には新しいシステムを入れるためのお金や学ぶ時間が負担になります。
Q2 安全性 vs サイバー攻撃の危険
👍 期待される効果
電子化によって、なくしたり偽物を作られる心配が減り、紙より安全になると考えられます。
🤔 心配なところ
サイバー攻撃や情報もれの危険は残るため、心配する声もあります。
Q3 世界のルールに合わせること vs 日本の会社の負担
👍 期待される効果
世界のルールに合わせることで、日本の会社も国際的にスムーズに取引できます。
🤔 心配なところ
国内の会社は新しい仕組みに慣れるまで時間がかかり、コストもかかるという問題があります。
法改正で影響を受ける可能性がある人、団体
- 海運会社や商社:船荷証券を電子化することで、国際取引のスピードが上がり、書類のやり取りが減ります。一方で、すでに使っているシステムとの整合性を取る必要があります。
- 貿易会社:手続きが便利になる一方で、導入するためのお金や、新しい仕組みに対応するための学習の負担がかかります。
- 銀行や保険会社:船荷証券を担保にしてお金を貸したり、貿易保険を扱ったりする際の事務がスピードアップします。ただし、システム障害やサイバー攻撃への対策を強化する必要があります。
- 消費者:貿易のスピードが上がることで、輸入品が早く届きやすくなり、物流コストが下がる可能性があります。ただし、電子システムにトラブルが起きた場合、取引の遅れが生じ、品不足や値上がりにつながるおそれもあります。
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