会社を実際に動かしている人を国が記録し、悪用を防ぐための法案
会社などの法人に、その法人を実際に動かしている人の情報を法務局へ届けるよう義務付ける法案です。犯罪のお金の隠し場所に法人が使われるのを防ぎます。
法人等の実質的支配者に係る情報の把握等に関する法律案
👉 審議のステータス
🎯この法律のポイント
会社を実際に動かしている人を、法務局に届けるルールができます
会社の持ち主は株主ですが、株主が別の会社だったりすると、最終的に誰がその会社を動かしているのかが外から見えにくくなります。
この法律では、会社を実際に支配している人を「実質的支配者」と呼びます。
上場している大企業などを除く全ての法人は、実質的支配者の名前や住所などを調べ、会社をつくってから30日以内に法務局へ届けます。
株式会社だけでなく、合同会社や一般社団法人なども対象です。
すでにある法人も、法律が始まってから30日以内に届けます。
法律の大部分は、公布されてから1年6か月以内に始まります。
実質的支配者が替わったときや、名前や住所など届けた内容が変わったときも、知ってから30日以内に届けます。
株式会社では、議決権の25%を超えて持つ人が「実質的支配者」です
会社の大事なことは、株主の投票(議決権)で決まります。
この投票の25%を超える分を、自分で、またはほかの会社を通して持っている人が、実質的支配者に当たります。
当たる人が2人以上いるときは、その全員を届けます。
そういう人がいない場合は、お金の貸し借りや取引を通じて会社を動かす力を持つ人が当たります。
それでも見つからない場合は、会社の代表者が実質的支配者になります。
一般社団法人や合同会社など、株の数で議決権が決まらない法人では、もうけや財産の4分の1を超える分を受け取れる人や、法人を動かす力を持つ人が当たります。
法務局が情報をまとめた名簿をつくります
法務大臣は、届けられた情報を法人ごとに記録した電子データの名簿(公簿)をつくります。
内容が変わったときは、変わる前の内容と日付も残します。
記録に誤りがありそうなときは、法務局が法人に届けるよう求めます。
名簿を見られるのは、役所と金融機関などに限られます
この名簿は、誰でも見られるわけではありません。
見られるのは、国や自治体の役所と、法人の同意を得た金融機関や士業などの事業者です。
役所は、犯罪の捜査など、法律で決められた仕事に必要なときに見られます。
事業者は、取引の相手の法人を実際に動かしているのが誰かを確かめる役目があります。
ただし、銀行など一部の金融機関は、法人の同意がなくても見られます。
役所がどれだけ名簿を見たかは、年に1回公表されます。
犯罪捜査のために見た分は、公表の対象外です。
届けない法人は、会社の登記を閉じられることがあります
届ける期限から3年たっても届けない法人は、法務局で会社の登記を閉じられることがあります。
正当な理由なく届けなかった法人の代表者には、100万円以下の過料(ルールを破ったときに払うお金)が科されます。
うその届けをした場合や、法務局から求められた期間内に正当な理由なく届けなかった場合は、刑事罰の対象になります。
土地を持つ法人の調査や、信託にも使われます
重要な施設の周りや国境の離島などにある土地の利用状況を、国が調べる法律(重要土地等調査法)があります。
この調査をする内閣総理大臣から求められたときは、法務大臣が、土地を持つ法人の実質的支配者の情報を渡します。
また、財産を人に預けて管理してもらう仕組み(信託)でも、預かった人(受託者)は、関係する人の情報を調べて記録し、保存しなければなりません。
✏️この法律が必要とされる理由
中身のない会社が、犯罪のお金を隠すのに使われています
実際には活動していない会社を使って、犯罪で得たお金の出どころを隠す(マネー・ローンダリング)事例が多く見つかっています。
メンバーが入れ替わりながら動く匿名の犯罪グループは「トクリュウ」と呼ばれます。
こうしたグループへの対策としても、会社の裏にいる人を調べられるようにすることが求められています。
今の仕組みでは、国が全体を把握できません
今も、株式会社が自分から申し出れば、法務局が実質的支配者のリストを預かる仕組みがあります。
ただ、使うかどうかは会社の自由で、株式会社以外は使えません。
G7の中で、こうした届けを義務にしていないのは日本だけです。
国際的なルールへの対応が求められています
犯罪のお金の対策について国際的なルールをつくる会議(FATF)が、こうした仕組みをつくるよう各国に求めています。
日本は2028年夏ごろにFATFの審査を受ける予定で、それまでの対応が必要とされています。
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👀意見が分かれるところ
名簿を一般に公開しなくてよいのか
名簿には、個人の住所や生年月日なども記録されます。
そのため、見られる人を役所や金融機関などに絞っています。
一方で、法人を透明にするという目的からみて、どこまで公開するかは考え方が分かれます。
犯罪捜査のために役所が見た分は公表されないため、役所の使い方をどう確かめるかも問われます。
全ての法人に届けを求めて、うまく回るのか
小さな会社や一般社団法人も対象になるため、手間がかかります。
届け漏れをどう防ぐかも課題です。
誰が実質的支配者に当たるかは、ほかの会社を通じた持ち分の計算などで決まり、細かい計算方法は政令で決まります。
法人が判断に迷う場面で、罰則をどう使うかも問われます。
届けの中身が正しいかを、どう確かめるのか
名簿は、中身が正しく最新でなければ役に立ちません。
法案では、届けるときに証明書類を出すことや、銀行などが誤りに気づいたら法務大臣に知らせることを定めています。
ただ、法務局がどこまで確認できるかは、今後決まる細かいルール次第です。
犯罪対策以外の目的にどこまで使うのか
名簿は、土地の調査など、犯罪対策以外の役所の仕事にも使えるようにします。
使い道が広がれば、役所の仕事は効率的になります。
一方で、個人の情報がどの役所でどう使われるかは、見えにくくなります。
大事なことを政令に任せすぎていないか
届ける項目の一部や、同意なしで名簿を見られる金融機関の範囲などは、国会ではなく政府が決める政令や省令で定めます。
どこまで法律で決めておくべきかも問われます。
よくある質問
Q. 名簿は誰でも見られるのか
A. いいえ、見られません。
- 見られるのは、国や自治体の役所と、法人の同意を得た金融機関や士業などの事業者です。
- 銀行など一部の金融機関は、法人の同意がなくても見られます。
- 法人自身と、記録された本人も見られます。
Q. 小さな会社の株主も、手続きが必要になるのか
A. 届けをするのは会社で、株主自身が届ける必要はありません。
- 25%を超えて持っている場合、名前や住所が名簿に記録されます。
- 会社から問い合わせがあれば、答える義務があります。
🙋影響を受ける人
- 会社などの法人:実質的支配者を調べて法務局に届けます。
- 会社の大株主など:名前や住所が名簿に記録されます。
- 金融機関や士業などの事業者:取引の相手の法人を動かしている人を、名簿で確かめられます。
- 信託で財産を預かる人:関係する人の記録を残します。
- 役所:仕事に必要な範囲で名簿を見られます。
説明の詳しさを
いつでも切り替えられます

🌐関連リンク
- 内閣官房:法律案の概要(PDF)
- 内閣官房:法律案要綱(PDF)
- 内閣官房:法律案・理由(PDF)
- 内閣官房:国会提出法案(第222回臨時国会)
- 法務省:実質的支配者リスト制度の創設
- 衆議院:議案の経過情報
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掲載されている法案情報は、国会に提出された議案などの公開情報を基に、チームみらいがAIを活用しながら背景情報を整理したものです。掲載法案は主に、内閣提出法案(閣法)を対象としております。
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