🎯この法律のポイント
この法案は、皇族数の確保を目的にしています。
柱は2つです。
女性の皇族が結婚しても皇族のままでいられるようにすることと、旧皇族の男系の男性を養子に迎えて皇族とする仕組みをつくることです。
女性の皇族が結婚しても皇族のままでいられる
今は、女性の皇族が天皇や皇族以外の男性と結婚すると、皇族の身分を離れることになります(皇籍離脱)。
そのため、結婚が続くと皇族の数が少なくなっていきます。
この法案では、女性の皇族が結婚しても皇族のままでいられるようにします。
この結婚は、皇室会議(皇室に関する大事なことを話し合う会議)での議論を経ることになります。
今すでにいる女性の皇族については、本人が希望すれば、これまでどおり結婚と同時に皇族の身分を離れることも選べます。
旧皇族の男系の男性を養子に迎えられるようにする
今の皇室典範は、皇族が養子をとることを認めていません。
この法案では、皇室会議での議論を経て、旧皇族の男系の男性を養子に迎えて皇族とすることができるようにします。
養子の対象になるのは、旧皇族(戦後に皇室を離れた家系)の男系の子孫にあたる男性で、今は皇族ではない15歳以上の人のうち、結婚しておらず子どももいない人です。
つまり、もともと皇族だった人が皇族に戻るのではなく、旧皇族の家系に生まれた男性を、新たに皇族として迎える仕組みです。
養子になった人は、その時から皇族になります。
ただし、この養子になった人自身は、皇位(天皇の位)を継ぐ資格は持ちません。
(一方で、養子になったあとにその人に生まれた子どもは、皇族として生まれるため、男の子であれば将来、皇位を継ぐ資格を持つ見通しです。)
✏️この法律が必要とされる理由
結婚が続くと皇族の数が少なくなっていく
今は、女性の皇族が天皇や皇族以外の男性と結婚すると皇族の身分を離れることになります。
そのため、結婚が続くと皇族の数が少なくなっていきます。
皇室の活動を支える皇族の数をどのように確保するかが課題になっています。
皇室の外から新たに皇族を迎える方法がない
今の皇室典範は皇族が養子をとることを認めていないため、皇室の外から新たに皇族を迎える方法がありません。
そこで、旧皇族の男系の男性を養子に迎えられるようにして、皇族数を確保する新しい方法を設けます。
👀意見が分かれるところ
生まれながらの女性皇族と、養子で皇族になる人とで扱いが分かれることをどう考えるか
女性の皇族は結婚しても皇族のままでいられますが、その配偶者や子どもは皇族にはなりません。
一方で、旧皇族の男系の男性が養子になって皇族になると、その配偶者は皇族になり、子ども(男の子)は将来、皇位を継ぐ資格を持つ見通しです。
皇族として生まれた女性の子どもは皇族にならないのに、養子として皇族になった人の子ども(男の子)は将来、皇位を継ぐ資格を持ちうる、という扱いのちがいについて、国民の理解を得られるのかという指摘があります。
皇族が養子をとれるようにすることをどう考えるか
皇位の継ぎ方には踏み込まずに皇族の数を確保できる現実的な方法だという意見があります。
一方で、もともと皇室典範は養子を認めてこなかった経緯があります。
家柄によって特定の人だけが皇族になれる仕組みが、平等を定めた憲法との関係で問題になりうるという指摘もあります。
皇位の継ぎ方そのものの議論を先送りしていないか
この法案は皇族数の確保に絞っていて、皇位を継ぐ資格のあり方(女性天皇や女系天皇を認めるかなど)には踏み込んでいません。
テーマを絞って進める現実的なやり方だという意見があります。
一方で、皇位の継ぎ方こそ正面から話し合うべきで、大事な点が先送りされているという指摘もあります。
よくある質問
Q. 女性の天皇や女系の天皇を認める内容は入っているのか
A. いいえ、入っていません。
この法案は皇族数の確保が目的で、皇位を継ぐ資格のあり方には踏み込んでいません。
養子になった人も、皇位を継ぐ資格は持ちません。
Q. 養子になった人や、その子どもは皇位を継げるのか
A. 養子になった人自身は、皇位(天皇の位)を継ぐ資格を持ちません。
ただし、養子になったあとにその人に生まれた子どもは、皇族として生まれるため、男の子であれば将来、皇位を継ぐ資格を持つ見通しです。
Q. 皇室会議とは何か
A. 皇室に関する大事なことを話し合う会議です。
皇族のほか、衆議院・参議院の議長と副議長、内閣総理大臣、宮内庁長官、最高裁判所の長官など、合わせて10人で構成されます。
この法案では、女性の皇族の結婚や、旧皇族の男系の男性の養子について、この会議での議論を経ることとされています。
Q. 今すでにいる女性の皇族は、必ず結婚後も皇族のままになるのか
A. いいえ。
今すでにいる女性の皇族は、本人が希望すれば、これまでどおり結婚と同時に皇族の身分を離れることも選べます。
Q. この法案は、どのような経緯で提出されたのか
A. きっかけは、2017年(平成29年)に成立した「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」です。
このとき国会は、政府に対して、安定的な皇位継承を確保するための課題を検討し、早めに国会へ報告するよう求めました(附帯決議)。
これを受けて政府は有識者会議を開き、2021年12月に報告書をまとめました。
報告書は、「誰が天皇の位を継ぐか」に今すぐ結論を出すのではなく、まずは皇族数の確保に取り組むべきだという考え方を示しました。
その方法として、①女性の皇族が結婚後も皇族のままでいられるようにする案と、②旧皇族の男系の男性を養子に迎える案が示されました。
その後、衆参両院の議長のもとで各党・各会派による全体会議が開かれました。
女性の天皇や女系の天皇の是非など意見が大きく分かれるテーマはいったん置いて、この2つの案を中心に話し合われました。
2026年6月にこれらの検討結果がまとまり、それを受けて政府がこの法案を提出しました。
くわしい資料は、下の「関連リンク」にある有識者会議・衆議院の全体会議の報告をご覧ください。
🙋影響を受ける人
- 女性の皇族:結婚後も皇族のままでいられます。今いる人は、本人が希望すれば皇族の身分を離れることも選べます。
- 旧皇族の男系の男性:15歳以上で結婚しておらず子どももいない人は、皇室会議での議論を経て、養子として皇族になる道が開かれます。ただし養子になった人は、皇位を継ぐ資格を持ちません。
- 皇室会議:女性皇族の結婚や養子について話し合う役割を担います。
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